残街鎮静 その05
残街鎮静 その05
これから多くの休人が挑む……かもしれない迷宮の調整を行っている。
最低限の設備、そしてそれを運用するための人形たち。
オンラインゲームでふと疑問に浮かぶ、一人ひとり異なる進行度への対応。
気になることを『SEBAS』に確認しながら、作業を進めていった。
「ちょっと興が乗り過ぎちゃったけど、まあこれぐらいなら……いいのかな?」
建物と人形については、『SEBAS』が請け負ったため関与していない。
ならば何をしていたのかというと──迷宮のシステムに手を加えていた。
本当に細かな設定をするならともかく、魔物が主になったりもするEHOの迷宮。
要するに、最低限のことならバカでもできるようになっているのだ。
俺が用意した建物と人形は、解放度や消費したコストに合わせて解放されることに。
つまりはそういうこと、最初から無いならばある程度自由にできるかな……と。
「他の世界の街並みなんかも、大抵は見ただけで模倣できたからな。さすが:DIY:」
冒険世界や魔導世界といった確立世界の街並みに加え、レムリア世界やムー世界などの遺失世界の建物などもバッチリ。
後者については条件を満たさないとそもそもリストに出ない仕様としたが……うん、できるならとノリノリでやっていたよ。
「お陰で最上位職も少し条件を満たせているな……建造数とか、そういうのも条件にあるのか」
つまり、大規模な建設が最上位職持ちには求められるということ。
……いやまあ、お城とか造ればさすがに条件を満たせちゃうわけで。
「本当、やり過ぎたな。結構な時間が経っているみたいだし」
作業中、『SEBAS』に促されては何度も[ログアウト]を行っている。
そう、アレからそれなりに日数が経過しているのだ……。
だが誰も二階層には到達していない、さすがはアイスプルのワールドクエスト。
ルリが居ても一筋縄ではいかず、膠着状態にある現状。
…………そんな中、一人クラフトゲーに没頭していた俺です。
各世界の理を組み合わせた建築技術、いろいろと楽しかったんだよ。
「あとはあのシステムか……上手くいけばいいんだけど」
《すでにお嬢様から情報が送信されております。現在解析中ですが、やはり理を解する必要がありますね》
「まだ行けてないもんな……武闘世界みたいにまったく関係無いって話ならともかく、話に聞く限り魔物たちが造ることもあるらしいし。簡単にはいかないか……」
それは『SEBAS』に頼んだシステム。
休人、原人であっても『プログレス』を使えば可能な[スクショ]機能で建物の写真を撮れば、それを迷宮で再現できる機構。
……まあ、完全に人力だ。
人形ができるものは人形任せだが、そうでないものは俺がやっているので。
いつか俺も知らない遺失世界や泡沫世界を訪れた誰かが、そこの建物のデータを送ってくれれば……ぐらいの淡い希望である。
今はマイがくれた育命世界の建物の情報を解析し、どこまで無知の状態で再現できるのか試しているらしい……上手くいってほしいモノだ。