残街鎮静 その06
残街鎮静 その06
自分だけの街並みを造れる、なんて要素を迷宮に追加……なお、割と人力。
撮った画像を取り込んで、というあわよくば的な目論見があったりする。
「それこそ、リトルマイガーデンみたいな感じになりそうだな」
かつて存在し、終了したオンラインゲームの一つ。
画像を取り込み、オブジェクトとして配置できたそれはその再現度合いが異様だった。
今そのことを語るのは、他でも無いソレを参考にしたシステム構築だから。
そのゲームでも高度なAIが用いられていたらしいが、『SEBAS』だって優秀だ。
いくつかの『プログレス』──それこそ、リトルマイガーデンを基にしたものなども含めて解析し、自身の情報処理能力を高めてくれている。
《……知れば知るほど、興味深いです。旦那様の言うオープンワールドというシステムはすでに削除されていますが、それでもゲームの根幹的部分は残されております》
「らしいな。それも製作者が生きているって思われている理由の一つだ。どれだけ消しても、必ず出てくるらしい……まあ、今はオフライン版しかできないけど」
それでも十分に自由度は高く、サンドボックス系のゲームとしても楽しめる。
……のだが、最盛期の完全再現などを知っているプレイヤーとしては不満なのだろう。
だからこそ、EHOにもその渇望を持ち込み──犯罪者となった者が居る。
動画配信とかやってるんだっけ……今度観てみようか。
◆ □ ◆ □ ◆
そして、さらに数日が経過した。
途中、都市側の面々から要請を受けたり、本土側の面々から頼みごとを聞いたり……慌ただしい日々が過ぎる。
しかし、それも終わりを告げた。
一階層に現れる残影の願いを聞き入れ、二階層へ到達──そして三階層にて迷宮の鎮静化を果たす者が現れたからだ。
「…………」
「どうした、そんな驚いた顔を浮かべて。この程度の事態、想定しておけ」
「…………なぜ」
「ハァ、開口一番がそれか。もっと言うべきことがあるだろうに──出力が上がり、できることが増えた。場所の特定さえできれば、あとは言わずもがな。この内部のみならば、足を運ぶことができる」
顔を合わせたことはない、だが堂々と表舞台に出る男だ。
この世界でもあちらの世界でも、ゆえにその情報はどこでも知ることができた。
きっちりと着こなしたスーツ、見ただけで分かる整った容姿──それらの印象を上書きするレベルで強烈なインパクトを発する、頭部だけの被り物。
「…………ここでも、なのか」
「ネタアイテムと思うか? 遺製具、当人にアジャストするなんて公式のチートがあるんだぞ? それをする価値があるだけだ」
「──ジンリ」
「ああ、ようやく会えたな、代表」
かつてのオンゲー仲間にして、『渡り船』の副代表を務めた実質的なトップ。
最強を求める支配者が、俺の前に──アイスプルに現れた。