残街鎮静 その07
残街鎮静 その07
迷宮の鎮静化は果たされた。
一層にて泡沫世界の住民の願いを受け、二層にてあることを……そして、三層に辿り着き迷宮を鎮静化する。
簡単なことではない。
だからこそ、それを成し得たのはいったい誰なのか……気になって調べてみれば、すぐにそこへ向かわねばならなかった。
「なるほどな。迷宮内をカスタマイズできるわけだ……門は繋げられない、いや違うな。外部と繋げられないのか」
『"(-""-)"』
「ジンリ」
「建築物は……報告に上がっていたものと同じ水準か。代表、これはどういった基準で決められているんだ?」
『(-"-)』
「……なあ、ジンリ」
「ん? どうした」
『(?_?)』
「それ……なんだ?」
ジンリ、それはかつてのオンラインゲームにおいてもっとも頼れる俺の右腕……という立場を担い、俺をトップに立たせ続けた最悪にして最高の支配者。
支援を任せればやりたいことをやらせてくれる……がその分、こいつの望むことをそれ以上に強いられる、ただしその自覚は無く、不快感も感じさせない。
その例外に含まれてしまった、哀れなお飾りのトップが俺。
事あるごとに矢面に立たされ、様々なトラブルに強制介入させられたものだ。
そんな彼は最強厨にも似たナニカを信念を抱いており、これまでのゲームでも見た目よりは性能を重視した装備をしていた……そして今、その頭部は被り物に覆われている。
「さっきから、顔文字が浮かんでは消えているみたいだが……えっ、何? というかそれとお前の感情ってリンクしてるの?」
「いや、関係無いな。検証はしたが、あくまでも独立した存在だ。これ自体の感情……いや、そうとも呼べない機微のようなものが反映されているようだ」
『('ω')ノ』
「……遺製具か」
「その類いだ」
『(>_<)』
一番分かりやすいイメージは、フルフェイスのメットだろうか。
顔を覆う曇りガラスの部分に、次々と顔文字が表示されている。
お陰で顔を合わせたにも関わらず、俺はあちらの顔を見ていない。
……前に話したときも魔道具経由だったけど、あの時からこんな感じだったのか?
「いや、それはいいや……それよりも、どうやってここに?」
「またか……説明しただろう」
『('Д')』
「出力がどうこう、できることが増えた。そういうことしか聞いてないから、点と点が繋がらないんだよ」
アイスプルには外部からの侵入を拒むための結界が張られており、未だ破られたことはない……『SEBAS』が確認したところ、それは今も変わっていない。
どうやらこの迷宮、繋がりはあるもののややアイスプルから独立しているようだ。
……要するに、ここを経由してアイスプルに来るという方法は取れない。
だとしても、未だ確立していなかった外部からのアクセスがジンリによって果たされてしまっている。
理論上可能な事象は、彼ら逸脱した連中にとってはできるけどやらないことに等しい。
対策を講じるためにも、当人からその辺の事情を聞く必要があった。