残街鎮静 その08
残街鎮静 その08
ジンリの被るヘルメットから、顔文字が浮かぶ状況での会話。
そもそもどうやってここに来たのか、改めて問いただすことに。
「代表のことだ、 遺製具 レリック の上位互換のことは把握済みだろう」
『(о'¬'о)』
「……持ってないぞ」
「知らない、と言わないことは高評価だ。これがその一つだ」
『(^o^)ノシ』
「…………ずいぶんとまあ、ユニークな物を手に入れたな」
遺製具が固有種たちの生涯を模ったものならば、ジンリの持つそれは星の軌跡。
──ゆえに 遺星具 レガリア 、今は亡き星を示す残光であり他世界に自らの刻む象徴。
「独占していた[クエスト]の報酬として出た物を、俺が使っている」
『(*'ω'*)』
「奪い合いになった……か?」
「…………」
おや、顔文字が消えた。
「頭部にいっさいの装備ができなくなる、そして装備条件もある。何より、コイツ自体が認めた相手で無ければ装備できない……適格者が俺しか居なかったんだ」
「仲良くやれているようで何より」
「泡沫世界、遺失世界、確立世界……ふむ。その反応、やはり知っているか」
「レベル999まで上げれば誰でも知れる情報だ、タクマにもその辺は教えてあるから是非ご利用を」
「レベルをそこまで上げるのに、どれだけ掛かると思っている。このゲームがデータを開示しない運営で良かったな、たった独りそれだけのレベルを叩きだしていれば、確実に問題視されていたぞ」
一人だけ突出した存在は、周りからの圧力によって潰されるものだ。
それを押し返すほどの力でもない限り……ジンリにはそれができる。
そんな彼だからこそ、貪欲に欲するモノへ手を伸ばす。
物であり、者であり、そのすべてがジンリにとって『力』となるものを。
「代表、改めて聞こう。『渡り船』をこの世界でも集めよう。代表が一声かければ、すぐに始めることができる」
「──断る」
「……そこはもう少し、会話を続けるところだと思うがな」
「この時間すらも時間稼ぎな気がしてきて怖いし……うん、速めに排除したいから侵入経路を吐け」
「ハァ……教えると思うか?」
「うん、ジンリだし」
勧誘フェイズはサクッと切り上げさせ、尋問フェイズに突入。
とはいえ俺が何かする必要は無い……あちらは準備ができたからこそ、ここに来た。
「ハズレだと思っていた『プログレス』だったが、コレの入手や進化を重ねてある程度使えるようになってきた。代表や ルリ アズル の位置特定、そこにタクマもとなれば……」
「……ジャミングとかしてたんだけどな」
「だからこそのコイツだ。頭部に付けるこいつは、情報処理の類いにも使える……まだここのセキュリティを超えることには使えないようだがな。それでも、このインスタントの迷宮ならば掌握できた」
「つまり、GPS付けて場所を知って、不法侵入かまして勝手に占有していると」
「付け加えると、土地の一部も買い取った形だな」
「…………」
「互いに譲れぬものがある。だが、擦り合わせられるものもあるだろう……『AAA』の犯罪者然り、要は使いようだ。楽しくなりそうだな、代表」
創作物で、かつ異性のキャラが家に転がり込む……みたいな話なんだろうか?
いやそういう話でも、ここまでされるとさすがにドン引きだと思う。