残街鎮静 その10
残街鎮静 その10
これから苛烈の一途を辿るであろうジンリの謀略に対し、頼れる二人を招集した。
……アイツの提案はメリットが多い、だが個人的になんか嫌なので断りたい!
そんな浅い想い、というか我がままを理由に大半の人間が受け入れるであろうビッグなチャンスを棒に振る男が俺です……妻と友人に現在、土下座をかましています。
「──ってのが、アイツの現状」
「…… 遺星具 レガリア って、何?」
「平たく言えばチートアイテム、それ一つで星の理と権能が使える。遺製具より制限が多い分、性能が高い感じ」
「それをジンリが持っていて、アイツの情報系の能力を補正しているし、『プログレス』にも何か作用していると…………寝返ってもいいか?」
「ダメでーす」
明らかに分が悪い、タクマでなくとも分かる現状だ。
そもそも、勝ち目があるからこそ動いているんだし……チェスで言うチェック。
チェックメイトではない、さすがにジンリでも100%の成功は確定できない。
……逆に言えば、アイツはルリの干渉込みでも99%は上手くいく策を思いつくのだ。
「俺たちがこうしている状況も、まあ把握されているだろう。それでも、だとしても、何か方法があると俺は信じている!」
「そう言われてもなぁ……ぶっちゃけ、何をすればいいんだ?」
「…………信じてるぜ、相棒」
「せめて決めてくれよ……」
いちおうの策は用意しておいた。
ということで、この場に取り出したるは一つの箱──上部には大きな穴が開いていて、そこから手を入れることができる。
「ルリさんや、どうか何卒」
「うーん、上手くいくかしら?」
「純粋にルリ神様の御力で、どうか私めをお救いいただけますと……!」
「…………謝礼は?」
「…………なんか美味しいデザート」
「数は?」
「上手くいきさえすれば常識的な範疇で」
ルリは無言で服の袖を腕の辺りまで捲る。
そして、空から降り注ぐ神々しい光……いやマジか!
「あ、アレは!」
「知っているか、ツクデン!?」
「…………まあいいや。アレは“命運転進”と言って、ルリの神様としての権能だな」
「で、効果は?」
「運向上、あと今は関係無いけど対象の運低下。そして因果律操作、相手が神様でも通せるレベルのヤツ」
「それを……ここで!?」
夫のピンチを助けるべく、神の御業を発揮してくれる優しく妻。
……決して、その気は無かったけど、お菓子に釣られ本気を出したわけじゃないはず。
「──【これね】」
そう一言、そして箱の中に手を入れて取り出すのは──折り畳まれた一枚の紙。
中には同様に大量の紙を入れていて、その中に様々なアイデアを書いていた。
先ほどの言葉には神としての力が込められていて、それはそのまま神言として世界に対して強制力を発揮する──すなわち、ルリにとってもっともよい結果が出る。
受け取った紙を開き、中身を覗く。
そこに書かれた内容は──
「『メタトギア』……どこかで聞いたことがあるような単語だな」
「アレだよ、冒険世界の迷宮」
「! ああ、『メカメカ団冒険世界支部』があるところか!」
「そうだけど……なんでピンポイントにそれが出てくるんだよ」
だがいったい、なぜそこに?
……というか俺、それを書いた紙なんて入れた覚えが無いんですけど?