メタトギア その05
メタトギア その05
迷宮を徘徊する機械を確保したい。
隠された場所を見つけ出すために必要なこの工程が達成できないまま、それなりの時間が経過してしまった。
「インストール──『イッスンボウシ』」
アレから数時間、どうにか確保した機械を『SEBAS』と共に改造。
いったん『ダンジョンアタッカー』をアンインストールし、異なるものを再読み込み。
帽子型の『プログレス』を装着すれば、俺の体はみるみるうちに小さくなる。
そして、機械に取りつけたコックピットの中に潜り込み──準備は万端。
「それじゃあ、出発進行!」
《移動を開始します》
俺の言葉を、『SEBAS』の遠隔操作を受けて機械は動き出す。
──ここまではこれまでの休人たちだってやっている、そりゃあ定番のやり口だし。
しかしながら、厄介なのは迷宮の性質と機械の性能の高さ。
端的に言ってしまうと、周囲の機械にバレると壊されてしまう。
改造されたことが露見すれば、それを察知した他の機械がそれを報告。
特殊な通信方法を休人たちは防げず、潜入できないまま失敗に終わっている。
機械自体は迷宮の産物ではない、そして隠し部屋にある製造ラインで無限に生産可能。
──つまり、徘徊させるような機械は本来戻る必要が無いのだ。
「怪しまれることは必然、というか貰った情報だと尽く破壊されている……なんかデータの確認が行われているみたいなんだよな」
そこで、俺たちの作戦はこう。
──機械に乗り込み待機、迷宮や他の機械が行うであろうその対策を、即時対応することで防ぐ!
現在、迷宮仕様だった職業は機械運用系になっていて、“修復”など機械の保全に使える能力を随時施している。
最上位職にはその辺を容易くこなせるものもあるが、俺のモノは下級職。
直せる範囲も狭く、またその対象も基本的には物理的な部分。
そのため、機械関連の職業の中でも、電子面に強い【技師】系統を集中的に強化。
それに適した[称号]もセットし、できる範囲での準備を整えている。
《──旦那様、前方からです》
「さて、どうなるか……うおっ」
発動中の能力の一つ、“保守”。
字の如くシステム面で問題が発生すれば、身力を吸い上げて(可能な範疇で)自動的に対応してくれる。
現在、物凄い勢いでそれが発動中。
……そのうえで、対応しきれる範囲を超えて干渉を受けているらしく、コックピット内でエラーによるワーニングが鳴り響く。
どうやら徘徊する機械同士で、何かしらの確認を行うのだろう。
そして、少しでも差異があるとそれを相互で補完する……ダメなら破壊するのみ。
「『SEBAS』、頼む!」
《承ります──“パーフェクトバトラー”発動条件達成、起動します》
俺の指示、かつ俺が関わっていないことに限定した補佐への大幅な補正効果。
プログラムを治せてはいても、直せない俺の代わりに『SEBAS』が動く。
行われているプログラムチェックに対し、『SEBAS』が偽データを送信している。
これまで鹵獲に失敗し続けた機械を分解して、ある程度のデータは収集済み。
受信、解析、修正、送信……それらを一瞬で、それこそ光の速さで済ませる。
俺はただ、ポーションを飲みながら時が過ぎるのを待つだけ。
そして──
「……何とかなったな」
《おめでとうございます》
「とはいえ、これがまだ何度も続くわけだ。自動で帰還とかできないし……そもそも、本当に見つかるのか?」
最悪、身力を減らし続けるだけの徘徊になりかねんが……まあその時はその時、しばらく続けてみよう。