メタトギア その07
メタトギア その07
辿り着いた製造ラインの隠し区画。
そこで求められたのは──機体から出て、単身での潜伏だった。
「──“孤絶ノ衣”」
毎度お馴染み、『騎士王』謹製の 術式 ウツロナルマトイ で存在を外部から遮断する。
普段なら、『プログレス:インビジブルクローク』を使うが……今回はそのまま。
今は『イッスンボウシ』で体を縮ませ、隙間に入り込んで時間を稼いでいる。
この状況で出るわけにもいかないし、解除すれば体が……うん、考えたくない。
術式だけでも十二分に隠れられる……そう思えるのだが、チリチリと俺を煽る焦燥感がこれだけでは足りないと訴えてくる。
「……とりあえず、マントを着ておくか」
周囲に溶け込めるマント、『万色の隠形円套』を装備しておく。
これはカメレオンのような潜伏方法を再現しており、視覚的な認識を阻害できる。
加えて、ポーションを取り出し摂取。
体温を周囲に合わせ、肉体から発する音や振動を抑え込み、漏れだす身力も最低限のレベルまで封じておく。
ここまでやって、ようやく五分と五分。
まだ足りないと思わなくもないが、これ以上やることも無いので仕方がない。
(……さて、何も起きるなよ)
すでに『SEBAS』は解析に尽力しており、その邪魔をしたくない俺。
ただ待つのみ……機械はその間も製造され続けており、このままなら何事も無く──
(…………おい、フラグ回収が速過ぎると思うんだが!?)
製造ラインが一時停止、完成していた機械たちがコンベアから降りると──まるでナニカを見つけ出そうとするような動きで、隈なく捜索を行いだす。
その狙いは言うまでも無いだろう。
今この場に侵入者は一人のみ、彼らは俺を暴き出すために周辺を探っているわけだ。
「! ……ッ!?」
時折機械が俺の居る辺りを通り、その都度心臓が止まるような恐怖に襲われる。
……まあポーションの効果で心臓は動かないので、気がするってだけなのだが。
鼓動が止まっていることで、死亡扱いとなる俺──『超越生者』の権能が発揮され、一時的に無敵状態となっている。
ありとあらゆるセンサーの類いに検知されなくなっているが、それは逆に言えば不自然に検知できない場所があるとも言える。
かといってこの状態にならないと機体が放つ電波やらで死んでしまうので、結界でその辺を自動的に処理してもらっていた。
(……ま、まだなのか。滅茶苦茶怖いんですけど!?)
今なお、『SEBAS』からの作戦終了の報告は無い。
つまり継続、たとえ目の前を機械が通り過ぎようと黙って待つしかないのだ。