メタトギア その08
メタトギア その08
潜伏は命懸け。
術式を施しポーションを飲み、鼓動を止めての無敵状態で待機中。
ただし、システム面で無敵になっていても怖いものは怖い。
……巡回する機械が通り過ぎる時とか、止まっているはずなのにドキドキする。
(ふわぁ……さて、どれくらい経ったか?)
なぜか図太いと言われることの多い俺、しばらくすれば落ち着いていられるように。
今も機械が俺の方を数秒ジッと見て、何やらチカチカ点滅したが……無反応である。
それこそ、最初の内は何かあればすぐにビクッとしていたが……そこは慣れ。
ただこれは、人間自体そんなものじゃないか? とも思うが、その辺はどうだろう。
(ジャミング装置の類いは置いてないんだけど、ある意味それが良かったか? 逆に怪しいもんな、空白地帯って)
製造ラインの区画もまた、迷宮の全貌を明かそうとする休人たちには空白地帯として認識されていたからこそ、解き明かすために多くのアプローチを掛けられているわけだし。
そう考えると、『超越生者』の無敵化はやはり凄いし便利だ。
周囲に余計な影響を与えず、復帰するまでの安全が約束されている。
ゲームで言うなら、ダメージが0やら失敗判定になるわけではなく、そもそも当たらずに透過するような感じ……逆に意識すれば判定自体は受けることだって可能。
(休人のアバターだから、それらを能動的に切り替えると……バフの類いだけ好きなタイミングで受け取りつつ、マイナスな影響だけは死に避けなんてこともできるのか。あっ、でも死に戻り判定だしリセットが──)
《旦那様》
「うおっ……って!?」
《大変申し訳ございませんが、すぐにその場から移動を行ってください。ルートはこのように……それでは、お願いいたします》
「よく分からんが……分かった!」
思考に耽っていると、『SEBAS』からの連絡が唐突に。
声を出してしまったことに焦るが、どうやら時間が無いらしく直ちに行動を開始する。
言われるがままに、視界に映る矢印マークに従って動いていく。
機械は今なお巡回中……が、これまでよりも周囲を激しく見渡している模様。
「……現状は?」
《こちらからのアクセスに気づき、迎撃態勢に入ってしまいました。必要なデータは回収済みですが、結果として援軍が到着する前にこの場から離れる必要が生まれてしまいました……ご迷惑を──》
「ああうん、データはちゃんと取れたんだからそれで良し」
《はい。プログラムが修正されるまでは、製造された機械は旦那様を敵性存在として識別されないはずですが……それもいつまで続くか分かりません》
「いや、滅茶苦茶きちんとやってるじゃん」
なるほど、それで俺の方をセンサーが通過しても無反応なのか。
正確には反応はあっても、対応の必要性自体を無くしていたわけだ……凄過ぎるよ。