アトランティス世界開放 その16
アトランティス世界開放 その16
発狂した運搬部隊、機装を纏う戦闘部隊は今のところ無事だがいつまで持つかは不明。
相対するソレは名状しがたい触手を持つナニカ、空間の歪みから現れた異形だ。
「支援します──“安置聖定”!」
形だけだが手を重ね、祈りを捧げる。
モーションを取ったことで起動、俺を中心とした領域が形成された。
他を侵すほど強力なものではない。
それでもナニカの狂気的な存在感を緩和、戦闘部隊の活動可能時間を多少なりとも引き延ばすことができる。
「活動限界が延びた……助かる先生!」
「場所の確保、ポーションでの支援はお任せください!」
《畏まりました》
俺の返答はそのまま『SEBAS』への指示となり、無数のドローンが宙を舞う。
ポーションを散布し、辺り一帯の空間を解析──詳細な情報から対策を講じていく。
しかし、“安置聖定”は下位職の能力。
性能は“職業強化”で本来のソレよりも強くなっているが、絶対の安全を確約できるものではない。
ルリならば、聖系統の魔法やら神聖系の能力でそれができたかもしれないが……無いもの強請りをしていてもしょうがない、できることをやっていくしかないのだから。
「そもそも、攻略法は何なのか……それが明示されてないんですよね。倒せるのか、倒すことが正解なのか……正解以外の選択肢があるのか、すべてが謎」
念のため[クエスト]の欄を見てみるが、クリア条件に目の前の存在に関する内容は記されていない。
「とりあえず、補助に専念するしかないようですね──“星転飛流”、聖水よ満ち溢れなさい! そして、“聖性留展”!」
『■■■■■■■■!?』
星具『星水の足袋』を踏み鳴らし、足元から生み出した大量の聖水。
その聖性を媒介とし、周囲を聖属性を散布できる職業能力を発動。
星具が生み出す聖水は、その発生源の影響もありとんでもなく質が高い。
その破魔性を活かし、異形の存在である触手の干渉を抑える。
……あくまで抑えるだけだ、それそのものが討つために使われることは無い。
だが、息を吹き返すように打って出ていく戦闘部隊の面々。
エテーテルドライバーによる精神干渉の防御には、多少なりとも力が割かれていた。
今回の俺のアシストは、その余計な出費を抑えることを目的としている。
「これも同じく、長くは持ちません……一分で終わらせてください!」
「一分っておいおい、無茶なこと言わないでくれよ先生」
「おや、できませんか?」
「──はっ、何とかしてやるよ! 出力全開だ! ついでにお前ら全員のもな!」
『うぉおおおおおおお!!』
これまでは個人でのみ、運用を行っていたガンヴァリオンのナノマシン。
だが今回の迷宮探索を経て、どうやら成長したらしい。
自分だけでなく味方も対象に含め、同時に行われるナノマシンによる機装の強化。
これにより、限界以上の力を発揮──ちょうど一分で触手の退治に成功するのだった。