アトランティス世界開放 その20
アトランティス世界開放 その20
アトランティス世界の何所か、廃棄物処理場に辿り着いた俺たち。
まずは、通ってきた空間を安定させる必要がある……近づくナニカに警戒しつつ。
『■■、■■■、■■……』
それは暗がりから現れた。
バチバチと断線したコードから火花を散らし、爛々とカメラを輝かせながら。
見た目の話をするならば、たてがみがコードで出来たライオン。
それは大人一人を軽く凌駕する、数メートルはありそうなサイズだ。
「……言語は、やはり通じませんか」
何やら音声が流れているのだが、ノイズ混じりなうえそもそも聞き取れる単語も無い。
普段休人が活動している世界群は、同盟を結ぶがゆえに言語もほぼ統一されている。
だが遺失世界など、繋がりが無く言語が共有されている場所で言葉は伝わらない。
……こういう時、プレイヤーはどんな言葉も分かるなんてご都合主義は無いのだ。
まあ、一部の職業やスキルがあれば理解に補正が入るのは事実だけども。
俺にそういった補助システムは無い……が万能執事はサポートしてくれている。
《解析中……現在、38%です》
「結構進んでますね」
《迷宮で運用されている機械から、部分的に抽出できました。完全にできていないのは、迷宮仕様となった影響で言語機能にエラーが生じていたからです》
「まあ、それは今やればいいでしょう……まずは小手調べ──“千変宝珠・雷”」
機械といったらやっぱり電気。
周囲に展開した魔力球、その属性を雷としてライオンに差し向ける。
『■■■■■■■!』
「……効果無し、と。電気対策は故障していても働く……あるいは、元よりどんな状態でも高圧電流への対策が機能する? いづれにせよ、変える必要がありますね」
ライオンはガクガクとバグったような挙動で、俺に近づいてくる。
どうせならその前に壊れてくれれば良かったが、その速度は俊敏と呼ぶに相応しい。
勢いよく前足を上げ、そのまま勢いよく振り下ろす。
俺は回避できないまま、その身を引き裂かれ──そのまま立ち尽くした。
「……特殊な干渉は無し、と。あくまで発生したのは物理的なダメージ……と微々たる放電ダメージ。これならいくらでも続けられそうですね──[モルメス]」
魂に干渉するメス型の神器、そしてその影響で同様の効果を持った複数のメスを用意。
これで攻撃すれば、機械に魂があるかを知ることができる。
現実ならあり得ないと思えることも、異世界ならばワンチャン……というヤツだ。
準備にはまだ掛かりそうだし──実験を続けていこう。