アトランティス世界開放 その25
アトランティス世界開放 その25
冒険世界 始まりの街
俺とマキナが裏でアレコレ会話している間も、メカメカ団は多くのことに取り組んでいた──どうやら休人が訪れるようになった機械大陸で、お祭り騒ぎをするらしい。
「──とまあ、そんな感じで。いろいろと屋台をやるらしいな……自動調理機とかも出てるみたいだから、見に行く予定だ」
「……私も行っていいか?」
「ダメだろ。なんてったって、『騎士王』様なわけなんだし」
「くっ、調理機……!」
食べ物に魅力を感じているようだが、さすがに自動調理なので限界もあるぞ。
擬似スキル同様、システム補正が無いからこそ設けられる制限。
なのでいつの間にやらその辺が天元突破している串焼き屋の店主など、単純に強いバフだけでなく、慣れてない人が食べると美味し過ぎて緊急[ログアウト]する物が作れる。
……料理漫画的な、そういう力も『プログレス』の中には発現者が居るには居るが。
店主についてはそれらは無く、俺の供給という量の暴力で昇華した形なんだよな。
閑話休題 あるしゅイレギュラー
ともあれ、[クエスト]は無事達成。
彼らはこれ以上機械大陸やらマキナやらで追及されることは無く、その気になれば国家宣言もできるように。
今の彼らは忙殺されそうな状態なので、まだその権利が使われることは無いだろう。
やったらやったでいろいろ大変だろうし、忘れた方が幸せかもしれないな。
「……コホンッ。『生者』よ、良くぞ成し遂げたな」
「あっ、そういう感じ? まあいいけど……どうもどうも」
「そんな貴殿には、褒美を与えよう。さぁ、望む物を言ってみよ」
「…………どうしたもんかねぇ」
アトランティス世界へ向かうためのクエスト、その前提として出されたのが先日までこなしていた門の開設工事だ。
先ほど語った通りの報酬をメカメカ団は受け取ったわけだが、俺については『?』の表示しか無く、依頼人から直接受け取るように誘導する文言が記載されていた。
だからこそ、アトランティス世界を楽しむ前にここへ戻ってきたのだが……今の自分はおそらく、ジト目を向けているのだろう。
「望む物……なら──」
「…………」
「────、────」
今俺は、言葉を発している。
だがそれは空気を振るわせることなく、誰に届くでもない口パクとなっていた。
理由は言うまでも無く、目の前の彼女。
その先を言わせまいと、そっけない顔をしながらも全力全開で魔術を展開して発言できないようにしていた。
つまり報酬を認めていない……ということではないのだ。
さすがにそれは理不尽、彼女の狙いは選択から外れたものを選ばせないこと。
ゲームならば定番の選択肢、創作物ならば本来と違う道を……というアレ。
現在、UIに表示される[クエスト]の報酬選択画面。
ただこちらを、俺が見ているであろう画面辺りを見ようとする『騎士王』。
要するに、冒険世界にとって都合の良い選択を強いているわけだな。
(……『SEBAS』)
《今回は、諦めましょう》
(…………次は、無いからな)
報酬を選んだ時点で、『騎士王』は展開していた魔術を解除。
……申し訳なさそうな顔をしているが、紛れもなく彼女のやったことだからな。
「──選んだようだな」
「ええ、損の無い……得も無いものをね」
「……では、報酬は数日中に用意しておく。楽しみに待っておくのだな」
そんなこんなで、イベントの前哨は終了。
これから多くの休人を巻き込んだ、新たな世界でのイベントが幕を開く。