アトランティス世界解放 その13
アトランティス世界解放 その13
できることが多くとも、使いこなせるものが少ない俺。
なのに率先して手段を増やす、というのどうなんだろうということに。
……そういうやや真面目な話とは別に、あまりホラー展開を経験したくない。
アトランティス世界の解放は、それをやりたい休人たちにお任せしようじゃないか。
「──えっと、もう一度お伺いしても?」
『──アトランティス世界に行きたい、その手引きをしてもらえないか?』
「…………『機械皇』さん」
さて、俺もこの状況を理解できていない。
強いて言うなら──俺の目の前には銀花が居て、ボタンサイズの小さな通信機を両手に包む形で俺へと差し出している。
そこから発せられる声の主、それこそが冒険世界の『超越者:機械皇』。
単刀直入に、そう言って語られた内容をもう一度確認したのが現状だ。
銀花は『機械皇』から貰った機械人形。
もともと取り付けられていた余計な装置などは外しておいて、今はお祭り用に運用していた人形たちの統括を任せていた。
……少なくともボタン型の通信装置を、銀花は持っていなかったはず。
まあ、どこかで『機械皇』の用意した人形と接触したのだろうと納得しておく。
「理由の方を、お願いします」
『それが納得に足り得るものであれば、協力してもらえると?』
「それを吟味するためにも。彼の世界は現在混沌の神話によって侵攻を受けています。それが落ち着いてからでも良いのでは?」
『……それだ。安定してからでは遅いのだ、これについては知っているとは思うが』
「……相性が良い、というよりも危険な組み合わせですからね」
世界ごとに異なる理がある関係で、権能持ちの連中にも相性と言うものが存在する。
かつて魔導世界に派遣された『機械皇』、彼により魔導世界の機械技術は発達した。
……もともと大して育っていなかった分野でそれなのだから、もしも大規模に発達している場所に送り込んだらどうなるか──なんて事情もあり、外出禁止扱いである。
様々な思惑があってのことだろうし、何なら他の分野で同じような扱いの『逸脱者』や実力者は居る……『機械皇』は名前から分かる通り、機械関連の出向がほぼアウトだ。
『そういうことだ。しかし、アトランティス世界にはかねてより興味があった。閉ざされていた頃から手段は探していたが……まさか揃って口を噤んでいたとはな』
「……あはは」
どうやら『騎士王』など、廃棄孔を発見した『逸脱者』の面々はその存在を『機械皇』に開示していなかった模様。
……まあ、魔導世界の『愚かな賢者』みたいに暴走されても困るからか。
ともあれ、彼らがこういった時にやろうとしていることは同じ──不法入界である。