アトランティス世界解放 その16
アトランティス世界解放 その16
アトランティス世界のナノマシン、それが十全に使えないからこその今がある。
さっそくアクセスしていた『機械皇』も、某神話の侵食に気づいた。
──ということで、彼の神話の有する精神汚染対策を講じる協力をしてもらう。
魔物素材や加工技術でどうにかした包心帯だけではない、別方向での策を期待したい。
『これが包心帯……なるほど、精神を保護する仕組みか』
「ですが、これは汚染を吸い取りその部分を切り離す、つまり受けてからでないと効果を発揮できません。汚染を免れる、事前に防ぐ手段を模索しているのですが……」
『協力しろとはそういうことか。この機体にも最低限の概念汚染への耐性は付けてある。だが、相手が神となると完璧とは言えないだろうな』
「視覚での認識だけでなく、五感……そして身力などで知覚することでも彼らはこちらに気づき、汚染を仕掛けてきます。知らない、無知──これも一種の防衛として機能しますが、残念ながら現状では上手くいきません」
異形蔓延るホテルからの脱出時、まさに俺が取った方法がこれ。
誰もできる方法じゃない、『SEBAS』の存在が前提となってしまう。
「機械を通し認識することで、汚染を弱めることができるのは確認しています。なので私はフィルターを複数重ね、別物に置き換えて対応していますが……限度があります」
『……データはあるか? そのフィルターとやら、実際に遭遇した時のものもだ』
「こちらです」
今回のイベントで絶対に必要になるということで、『SEBAS』が纏めておいてくれたデータを送信する。
それを受け取った『機械皇』、蜘蛛型の機械のカメラアイを文字の羅列が通過し──こちらを見た。
『相変わらず几帳面に整えられたものだったが、改善点がいくつかあった』
「……すみません」
『性能自体は充分だが、これを処理するためにいったい何を使っている? 効率化せねば話にならん』
「どうにかできますか?」
要するに、『SEBAS』が居ないと使えない欠陥プログラム扱い。
俺もそれは重々承知しているし、どうにかしたいと思い……今まで放置していた。
やることが多過ぎるのだ、そしてそれは俺の補助を行う『SEBAS』も。
使えればいいや、と留めてしまっていたのも俺……まさかこんなことになるなんて。
『答えは──できるが現実的ではない、だ。情報処理を担う部分で詰む』
「あっ、それでしたら抜かりなく。アトランティス世界の機械で何とかなりますよ」
『……だから、先に言えと言っている』
「ただ、アトランティス世界の機械は基本的にナノマシンを前提としていまして……こちらにも、協力していただきたいところです」
今まさに、ナノマシンへのアクセスを果たしていた『機械皇』ならば。
ナノマシン無しでナノマシンの働きをする機械を作れるのでは? ということだな。