アトランティス世界解放 その20
アトランティス世界解放 その20
イベント終盤、アトランティス世界での活躍を終えた家族が戻ってくる。
俺もまた、ナノマシン技術を組み込んだ屋台を構えその瞬間に備えた。
そして──
「お待たせしました、焼きそば二人前です」「射的の挑戦は三回、スキルはパッシブのみ使用可能です」「ご要望の形の飴細工、お作りしますよ」「時間となりましたので、風船ドームへご入場ください」
人形たちが各々声を上げ、屋台に客を集めていく。
家族だけじゃない、多くの客が盛況な空気に惹かれここに寄ってくる。
現在、メカメカ団が高速で運搬してくれているのもその理由の一つ。
……基本運転手は戻らず、 片道になって あそんで いるようだが。
「それじゃあ、三人ともこれを」
「何かしら?」
アトランティス世界で活躍していたショウとルリ、そしてイベント期間中は別の場所で同じくらい活躍していたマイ。
うちの家族が認識偽装が施され、誰も見ていない屋台に集まっていた。
俺はそんな三人に対し、ちょっと近未来感のある腕輪型の端末を渡していく。
「フリーパス、これを持っていればタダだし連れ添いも半額で買える。多少の無茶にも応えてくれるから、何かあれば店員にそれを伝えてくれ」
「父さん、俺のパーティーメンバーに少し多く食べる子が居るんだけど……」
「んー、まあ売り切れることは無いから。作る時間を考えて、いろんなところを梯子しながら楽しんでくれ。心配するな、ちゃんと準備してきたんだからな」
実際、材料を複製してから調理しているだけなので、量自体は問題ではない。
人形たちに頑張ってもらうしかないな、増員も想定しておこう。
「三人が教えてくれた希望の屋台も、ここのどこかに配置されている。端末に触ってみてくれ……そんな感じで地図が出るから、探す役にも立つと思う」
「何か便利ね、これ」
「まだ未発表の、アトランティス世界由来の技術だ。今後は『プログレス』とも組み合わせていきたい」
アップデートを目指しているが、まだまだ進捗はよろしくなかった。
アトランティス世界も一時的な平和を得ただけ、まだ本格的な戦いは始まってない。
「アナタ、そろそろいいかしら?」
「……そうだな。それじゃあ、母さんもそわそわしているし解散! 一時間後には花火が打ち上がるから、それまでに飲食物は集めておいた方がいいぞ。場所は貸すから、あとでここに戻ってきな」
『はーい』
「行ってくるわ!」「モフモフと触れ合える屋台……ここね!」「えっと、まずはみんなと合流しないと──ってもう揉めてる!?」
三人とも駆け足でこの場を離れ、祭りを楽しんでくれている。
……一人だけ違った気もするけど、まあ祭りのある意味醍醐味ということで。
「さて、花火の準備をしないと。ムー世界の時以上に凄い物、見せてやるからな」
こうしてイベント最終日の夜は更け、最後に上がった特大の花火と共に閉幕する。
──イベントは終わった、しかし一部の者にとっては慌ただしい日々が幕を開いた。