ナノマシン 前篇
ナノマシン 前篇
アイスプル
お祭りは大盛況だった。
家族やメカメカ団だけでなく、まさかの失名神話の神々まで……俺も張り切って用意した甲斐があるってものだ。
「というかあの時はツッコめなかったけど、神様ってあんな簡単に降臨できるんだな」
《神族としての力を封じた状態であれば、短期的にということでしょう。旦那様の人形がお役に立っていたようですし》
「『ハートギア』を取りつけていない人形を貸して欲しいって連絡が来たもんな……いろいろと加護が付いていたし、そっちの解析をやっておこうか」
神威を収める器となった空っぽの人形。
初期に製作した:DIY:使用の代物だったのだが、どうやら上手く馴染んでくれていたらしい。
それでも、お祭り後それらの人形は壊れてしまった。
負荷、というかさすがに神様たちが使うのには簡易過ぎる仕様だったからな。
人形の解析をやっていいかは、当神たちにきちんと許可を貰ってある。
より彼らに馴染む人形を用意しておけば、長期的な活動ができるかもしれないしな。
「──さて、そろそろナノマシンについての情報を聞こうか。とりあえず、指示通りに動かせるようにはなったが……やっぱり職業が無いと厳しいか?」
《少なくとも、アトランティス世界産のナノマシンについては。メカメカ団にて人工ナノマシンの開発が行われていますが、困難なようです》
「……そりゃあ文字通り、ナノサイズなわけだしな。仕様として新たに生み出すことにはロックが掛かっているみたいだから、ナノマシン自体に造らせるってのもできないんだよな。たぶん、一番上ならできそうだけど」
アトランティス世界の大気には魔力が存在せず、代わりにナノマシンが漂っている。
それらを動かし様々な事象に使うのだが、世界外での運用は困難を極めた。
機能停止、あるいは性能の極端な低下。
例の職業のどちらかに就いていれば、就職者周辺の環境でのみ使えたり……とまあ、そこをどうにかするのにも苦労したものだ。
うちの場合、アイスプルでもナノマシンが使えるように理を弄ったうえで、イベント世界では『星域』を展開──と二段階の工程を経て強引に使えるようにしていた。
それでもアトランティス世界本来のスペックには届いておらず、精々緻密な作業を代行してもらうのが関の山。
……あるいは【究学師】、彼の世界の特級職であれば。
どこでも自在にナノマシンを動かし、望むままに奮えるのかもしれない。
「就職者の人数が関わっているみたいだし、休人たちもどんどん就いている。ただまあ、まだ混んでるからな……」
現在、休人たちの中ではツアーなども開かれており、イベント世界から機械大陸へ向かい、迷宮を通り廃棄孔からアトランティス世界の就職スポットに行き流れができている。
新人でも簡単に行けるようになっているため、人の切れ目がほとんどない。
……俺みたいに人目を避けたい連中は、まだまだ就くことができないようだ。