ナノマシン 後篇
ナノマシン 後篇
偽装都市
ナノマシンをより高度な方法で使うためには、やはり専用の職業が必要となる。
しかし今はそれができない……休人たちにとって名物スポットになっているからな。
アトランティス世界の住民としても、万能の適性によってどちらにも就ける彼らは大歓迎なようで、挙って就職時に特典を付けるなどしてその数を増やそうとしていた。
そんなこんなで、一部の者を除きむしろ来ることが望まれている専用職への就職。
……ある意味そうではない者の代表が、うちの世界に滞在していたりする。
「──何とかなりませんか!?」
「……と、言われましても。あの方にお願いするのではダメなのですか?」
「それはもう頼んでみたんですけど、対価が払えそうになくて……あの、この都市って頂けませんか?」
「諦めましょう」
さらっととんでもないことを言い出す目の前の人物こそ、クラン『AAA』の代表であるカルマ(偽名)。
悪魔と契約しており、今回の相談もその気になれば悪魔が叶えられたことだろう。
……が他者の所有物を奪って差し出す必要があるほど、難易度が高いわけだ。
まあ、休人たちの中にはルリレベルとは言わずとも、未だ成長中のショウに勝てるレベルは居る。
そういった者たちの中にも、アトランティス世界に関心を持つ者は居るのだろう。
……そんな彼らを掻い潜り、犯罪者が世界の重要な施設に辿り着くのは困難なのだ。
「どうにかなりませんか? 使ってみたいけど行けないからどうにかしたいって、他のクランからも声が出ているみたいで」
「……このままでは不味いと」
「おそらく。最悪、徒党を組んで乗り込む可能性も」
「まあ、面子もあります。望んだ方全員が就くことはこのままではできませんね……ですが、あるいは条件次第でしょうか」
「何か方法があるんですか!?」
目をキラキラと輝かせている。
……あまりにも悪の親玉に向いていない、がこの子については『プログレス』目当てで担ぎ上げられた子だからな。
今ではそれ以上に凶悪な存在が憑いて、実力でもトップになっているのだが。
対価をとことん支払えば、その方向性でもどうにかなりそうだけどな。
「まず大前提、彼の世界は就職者を一人でも多く欲しています。そして、彼の世界で就ける職業は二つを同時には得られません」
これも後で分かった情報。
万能の適性がある休人なのだが、仕様としてどちらかにしか就けないようになっているとのこと。
なお、少なくとも俺は例外とする。
他にも『プログレス』によって職業を一部任意で弄れる者などは、二つ同時に就けるという情報が[掲示板]に挙っていた。
そんな例外はともかく、どちらかにしか就けない以上休人に二つ同時に就いてもらうという方法は取れない……つまりは奪い合い、場合によっては手段も選んでられないのだ。