悪人密入界 後篇
悪人密入界 後篇
アトランティス世界 学法の広間
原人トップレベルの大商人【非業商人】。
彼の協力を(対価込みで)手にし、犯罪者がアトランティス世界限定の職業に就ける算段を整えた。
準備ができたその日、俺と犯罪者たちはアトランティス世界に乗り込んだ。
……都合がいいことに、確立世界から遺失世界へ行くことには制限が無いんだよな。
そして今居るのは、就職用の結晶が配置された広間。
本来複数あるのだが、残念ながらアトランティス世界の現状で使えるのはここだけ。
だからこそ厳重に管理されているはずのここを、【非業商人】は──冒険世界の、特異な場所に在る暗躍街から──伝手を通じて使えるようにしてくれた……とんでもないよ。
「よいしょっと……すみません、私までついでにさせていただいて」
犯罪者たちが次々と結晶に触れていく中、俺もまたそうして結晶と接触。
──『SEBAS』が鑑定結果を操作し、【魔学者】に就いているよう見せる。
その状態で向かうのは、【魔学者】に就く集団が居る受け付け。
職業の鑑定をしてもらい、【魔学者】に就いているかを確認される……それだけだ。
「いえ、話は伺っております……ただあの、本当に大丈夫なんですよね?」
「彼らは就職したあと、すぐに元の世界に戻るよう誓約書を交わています」
「……そう、ですか。いえ、一人でも多く就いていただけるのであれば」
ほぼ確実な情報として、アトランティス世界の特級職は【科法師】と【魔学者】それぞれの就職人数を条件の一つとしている。
原人たちには職業に就くための適性が存在し、全員が全員就きたい職業に就くことができるわけではない。
だが休人は上級までの職業なら、ほぼすべての職業に就くことができる。
……まあ俺のように職業に就いたとて、十全に能力を使えない場合もあるのだが。
「──はい、確認しました。では、こちらをお受け取りください。【魔学者】の初級機術が使えるチップです」
「ありがとうございます」
「……くれぐれも、この世界での悪用はなさらぬように」
ここじゃなきゃいい、みたいな言い方なのは気にしないでおくとして。
俺が表向き、【魔学者】に就いたことにしたのはこれが理由。
ナノマシンに干渉するため、【魔学者】が用いるのがチップ。
一方の【科法師】にはそういったものが無いので、物が貰える方にしたわけだ。
なお【非業商人】が彼らと交渉した時、ここの利用時間も条件を出されている。
一般休人たちが使えない状態なので、可及的速やかに済ませる必要があった。
そのため、本来はあるチュートリアルなども省いている。
──[掲示板]などを通じ、犯罪者たちには通信教育をさせていくつもりだ。