ナノマシン講座 前篇
ナノマシン講座 前篇
アイスプル
犯罪者たちと共にこっそりアトランティス世界へ、そして【魔学者】に就いたことにして就職記念のチップを【魔学者】集団から受け取った。
犯罪者たちは就職したことを確認された時点で、強制送還である。
……逃げようとした場合、言うまでもなく監獄行きです。
「『SEBAS』、解析が完了したとのことだが……上手く使えそうか?」
《アトランティス世界であれば、と就ける必要はございますが》
「……そうなるか。もともとの仕様として、魔力の関与抜きで成立しているものだしな。外部だと何かしらの問題があるわけだ」
アトランティス世界は世界をナノマシンが覆う代わりに、魔力が失われた世界。
神秘性が尽く排除された結果、異形を引き連れた神話に侵食されたわけだが……。
現在は『機械皇』が残したプログラムをメカメカ団が発展させ、アトランティス世界の住民でも魔力をナノマシン経由で使えるようになっているので最低限の対策は為された。
「それはそれとして。この初級機術チップとやら、どういう理屈なんだ?」
《原理で言えば、機械箱庭の魔動と類似したものでしょうか。働きかけるものが異なるだけで、どちらもそれらに特定の行動を取らせるというものです》
「……チップだし、そういうコマンドを実行させているってことか? 検証班とかが挙げていた[掲示板]上の情報だと、火とかの超常現象も起こせていたはずだが……」
《ナノマシン自体に、火を作らせています。ナノマシンという名称ですが、旦那様の世界の機械とは異なる存在です。機械としての性質は有しつつも、魔力の万能性も部分的に内包しているようです》
要は電気で故障することも無いし、水や火で破損する恐れも無いわけだ。
そんな便利なナノマシンに、何をさせるか決めるのがチップという存在。
「ただこれ、かなり複雑だよな……一つひとつチップでできることが決まっているけど、組み合わせの総数が多い。まあ、初級というだけあって制限はされているみたいだが」
《制限とは正確に言えば、最低限の権限でナノマシンに送信できる命令のデータ量です。理論上、権限とナノマシンさえ足りれば組み込んだ命令通りの事象を起こしてくれます》
「……その辺、俺みたいな連中は少しだけ優位に立てるってことか?」
《そうですね。【科法師】と【魔学者】双方の持つ権限向上、旦那様は本来は成立しない二職の同時就職によって、二つ分の権限を得ております》
「ふむ……ところで権限って、就職以外で向上させることができるのか?」
《可能です。しかし現在はできません、権限の向上に必要な施設は、異形の軍勢によって占拠されております》
「……ダメだった、いやフラグ不成立でクリアできなかったみたいな感じか? まだ就けるようになったばかりだし、準備期間みたいな感じか」
俺たちがナノマシンを使いこなせるようになれば、いつか解放するためのイベントが発生するのかもしれないな。
……ただそれは、休人たちが開発した人工ナノマシンを想定していたのだろうか?