ジェネレーター 前篇
ジェネレーター 前篇
メカメカ団には語れない、少しばかり無理のあるプランをマキナと話し合った。
原人 このせかい の機人族を困らせないためにも、休人たちには彼の種族に転生してもらいたい。
──そんな会話から現実で一日後、俺が一度[ログアウト]して仕事を終えた頃には例の機関の開発が終わっていた。
「……時間は残酷ですね」
昔は時間の流れとは平等なものと言われてきたが、VR機によりその説は消えている。
少なくとも体感時間は倍以上、人生を倍以上仮想空間で過ごせるわけだからな。
俺が半日ほど空けている間に、EHO内部ではそれ以上の時間が流れていた。
──そして異端の機械精霊には、それだけあれば充分だったらしい。
《お待たせいたしました。すでに実験は行われており、結果は限定的に成功。個人で扱う分には充分な人工ナノマシンが製造できるとのことです》
「……限定的、ですか」
《大気への散布ができず、体内を循環させることでストックさせる形です》
「とはいえこういった問題があれば、原人の機人族を連れ回すようなことも無いはず。あるいはこれも?」
仕様として意図されたものでは、と思い浮かんでしまう。
……逆に言うと、意図しなければできてしまうわけだ。
「どうでしょう、その辺りは」
《人工ナノマシン自体、現状では使い切りの仕様です。その改善が図られない限りは、機関も今のままでしょう》
「…………例のアレは、どうですかね?」
仕事中に思いついた、それ専用に製造する新たなロジカルシリーズ。
機術としてならば、着装中でもナノマシンの運用が可能らしいからな。
そんな情報をネットで知り、ならばと思いついたこの案。
機人族に組み込む以上に、ロジカルシリーズならば誰でも着装さえすれば使用できる。
俺はこれを[ログイン]後すぐに伝え、実現可能かどうか『SEBAS』に問うた。
──この時マキナは秘密裏に実験を行っており、外部に情報は出ていなかったりする。
《シミュレーションを繰り返しましたが、問題は無いかと。ですが、現状ですと規格外の代物となってしまいます》
「……どれが問題ですか?」
《動力です。未だ情報のみとなっている、アトランティス世界の理を秘めたアイテムを組み込まなければなりません。人工ナノマシンであっても、ロジカルシリーズの場合はまずこれを得て解析をしなければ》
共通規格版のロジカルシリーズには、ムー世界の理を秘めたアイテム──を廉価とした鉱石を組み込んでいる。
同様に、ナノマシン関連の何かを行うのであればアトランティス世界の理を取り込む必要があるわけか……人工ナノマシンができたのは、ナノマシン自体が理の産物だからだ。
今はまだ、完全開放されていないアトランティス世界。
……結局のところ、また行かなければならないんだよな。