アトランティス奪還作戦 その08
アトランティス奪還作戦 その08
迷宮『鉱機鋼洞』
以降、護衛を請け負う者にはある程度条件が必要だと分かった。
個体によって差はあるが、強力な個体だと精神汚染を喰らいやすいからだ。
「ここが迷宮ですか……発生場所と後方以外は、特にいつものものと変わりませんね」
場所は海底、そして後ろを向けば休人たちが乗せられてきた無数のカプセル。
それらが浮上している海面、だが水は陸地へ及ぶことなく揺らめき一定量を保つ。
これ自体は俺も知らなかったが、冒険世界などでも確認されているらしい。
迷宮は一種の亜空間、その隔てりが機能すると都合の良いフィルターが掛かるのだ。
水だけを拒み、人が入ってくることは許容している。
まるで迷宮がそれを望んでいるかの如く、選別されているわけだな。
「──先生、よろしいだろうか?」
「大丈夫ですよ、アクアトルマリンさん」
「……やはり、残ってはもらえないか」
「そうですね。迷宮の情報はアトランティス側から充分に貰っていますので、問題は無いでしょう」
資源確保のため、ここを利用していたアトランティス世界。
俺たちに失敗されては困るので、必要な資源がある場所の情報をきちんと渡していた。
充分な情報がある以上、休人たちが資源集めを失敗することは無いだろう。
──問題は帰り、あるいは帰るまでの時間である。
「幸い、精神汚染も治していただけましたので。どうかここを、お願いします」
メカメカ団の護衛隊は、カプセルや回収艦のあるこの場に残る。
また、海に潜って護衛をしてくれた休人たちも、何人かがここで待機する手はずだ。
そうではない俺などは、資源を求めて迷宮へ向かう。
……もともとの目的である理物、それをどうにかして得られないか試す予定だ。
「……上層部から必要な情報は受け取っている。例の物は見つかるのだろうか?」
「それを調べるのも今回の目的です。最悪、強硬手段か砂漠で一粒の砂を探すようなことになりますかね……そうならないよう、今回成果を見つけたいものです」
ただ、問題が一つだけ。
迷宮の情報はたしかに正確だろう……少なくとも、アトランティス世界の者たちが訪れていた頃は。
「警鐘が鳴り止みません……これがただの魔物であれば良いのですが」
「……あの、フラグみたいに言うのは止めていただきたいのだが」
「まあ、きっと問題ないでしょう。ははっ、思い過ごしですね」
「…………こちらの警備は厳重にしておきます。くれぐれも、お気をつけて」
混沌の勢力でもある某神話であれば、あるいは……といった予感だ。
一抹の不安を押し込み、多くの休人たちと共に探索を開始するのだった。