アトランティス奪還作戦 その09
アトランティス奪還作戦 その09
迷宮『鉱機鋼洞』 三階層
迷宮『鉱機鋼洞』に辿り着いた俺たち。
理物の手掛かりを求め迷宮に向かう俺は、メカメカ団の護衛代表アクアトルマリンに一抹の不安を零した。
「──やはり、そうでしたか」
「情報と違ってるぞ!」「ぎゃああ、出たぁああ!」「倒れたヤツはすぐに回収! ついでに拘束しとけ!」「おいおい、採掘するだけでいい仕事じゃなかったのかよ!?」
予め、アトランティス世界側から提供されていた迷宮のマップ。
地形情報だけでなく、出現する魔物や採掘スポットや採れる資源の情報も載っていた。
──が、それらの情報はゴミと化す。
事前情報とは異なる地形配置、徘徊する数多の異形たち、それらに精神汚染され発狂する休人たち。
「しかし、えげつないですね……まだ廃棄孔でギリギリカバーできる一・二階層ではなく三階層から改築するとは。おまけに物理的に異形が出口を阻む──狙っての策略ですか」
迷宮は下に行けば行くほど、希少な資源が確保できる仕様だ。
初めの内は良かった、情報通りに資源は取れるし出現する魔物も対処できた。
だからこそ意気揚々に、持ち帰れば報酬を増やしてもらえる資源を求めさらに下へ潜っていき──封鎖される。
それが現状だ。
突如のことに確立世界での迷宮探索に慣れているはずの休人たちも大混乱、それでも一部の冷静な者たちが適切な判断を取って鎮静させていく。
「……今ですね。『SEBAS』」
《畏まりました──術式展開及び職業組み換え、“再起運用”にて透明薬の使用効果を遅延発動します》
毎度お馴染みの術式や職業能力、そしていつもなら定期的に摂取している魔法薬。
今回は予め効果のみ保持しておいたものを取り出し、使ってみることに。
……劣化云々もあるが、消費期限もあるので使わないといけなかったのだ。
ちょうどいいタイミングだったし、せっかくなので発動してみた。
「さて、行きましょう」
独断行動を取ることになるので、誰にも知られず動いた方が都合が良かった。
すでにマッピングは済んでおり、物理的に塞がれているわけでは無い下へは向かえる。
「──っと、その前に。希釈した万能薬の詰め合わせを床に置いてっと、必要ならぜひどうぞ……と」
《よろしいのですか? 最悪、着服される可能性もございますが》
「その時はその時、このレベルまで希釈したモノは高く売れるだけで、殺してでも奪い取る……というほどでもありませんし。まあ、お詫びということで置いておきましょう」
そんなこんなで、俺は独り誰にも気づかれないよう移動を開始。
視界を閉じ、『SEBAS』の補助を受けながら異形を躱し、下層に入るのだった。