アトランティス奪還作戦 その11
アトランティス奪還作戦 その11
迷宮『鉱機鋼洞』 五階層
逐次自動で回復判定を行ってくれるリジェネポーション。
ある休人が考案したものを参考に、その万能薬版を開発していた。
体の主導権を『SEBAS』に委ねている状態でも、職業能力ならば問題無し。
ストックした消費アイテムの効果を取り出せる“再起運用”で、それを投与していた。
「……こりゃあダメだ」
アレから『SEBAS』が操縦し、最下層に辿り着いた──はずだったのだが。
五階層が最下層、そこを守護する守護者そのものが最高の資源という情報だ。
入ってすぐに広間があり、先が守護者の間ということで扉がある。
そして広間にもイイ感じで鉱石があるので採掘を、という話だったのだが。
最下層に足を踏み入れた俺が、そこで目にした光景は違う。
これまで通り歪められた迷宮内、扉などどこにも見当たらず無数の通路が映るのみ。
「──何かあるのか」
ピコーン、と脳裏に響くアナウンス。
いったい何だと思い、思念操作で通知された内容を確認──現状を把握できた。
「『SEBAS』──」
《どうやらそのようですね》
「……早い早い。俺たちがここに来たことが条件だったみたいだな。迷宮が『鉱奇怯洞』になってるじゃないか」
先ほどの通達はそれ、迷宮が大きく干渉を受けたことで正式に変質が発表されたのだ。
星が管理できていた物から、神話の影響を強く受けた未知のモノへ。
職業能力の内、既知の迷宮や場所に関する能力などもリセット。
一から調べ直し、すべてを把握するまでこれまでレベルの補正は受けられない。
「けどたしか、こういう完全に未踏破な迷宮だと踏破報酬が良くなるんだっけ? ……俺にはその実物が無いんだけれど」
本来、探索者が迷宮に最奥に着けば様々なボーナスが貰える。
特に最初に踏破した者には、その迷宮を象徴するっぽいアイテムが。
……しかし俺の場合、迷宮を内包している星そのものの管理者。
報酬を受け取れない分、代わりに迷宮そのものを報酬として吸い上げていた。
具体的には踏破した迷宮で使われていた物すべてを、俺の迷宮でも使えるようになる。
加えて迷宮のリソースも掻っ攫っており、俺の迷宮拡張に用いられていた。
《旦那様、ご注意を。地形にも精神汚染されるオブジェクトが配置されています》
「……差し込んだのか? 元の五階層はもっと下にある、みたいな感じで」
《そうですね。正規の干渉を行わず、というのであれば既存階層の変質に留まるかもしれません……が、しばらくの間この迷宮は手付かずでした。おそらく──》
「完全に汚染され切って、掌握された可能性があるわけだ」
そうなると、どこまで迷宮が続いているのかも不明だ。
……そもそもこれ、理物があるのかも微妙になってきたな。