アトランティス奪還作戦 その14
アトランティス奪還作戦 その14
不幸中の幸い、六階層の守護者を討伐して迷宮を掌握すれば事態の収拾ができる。
……その過程でどんなことが起きても、悪いのは全部某神話なのです。
「とはいえ、死亡レーダーは鳴り響き続けているんですよね。ふぅ……アレですか」
意識を切り替え、映像を確認。
機体のカメラが捉え、俺が観ても発狂しないよう処理がされたソレは──ゴーレム。
もともと五階層の守護者がゴーレムという情報があったのだが、その姿は無かった。
どうやらこの階層に持ち込まれ、新たな迷宮でも守護者をさせられていたようだ。
「ゴーレムに見えますが……違うんでしょうね。映像が時々ブレますし」
《ゴーレムの形をしているようで、実際には違います。端的に申しますと、アレは肉で構築されたゴーレムです》
「肉ねぇ……」
深くは考えないでおくが、真っ当な肉なわけもない……いやそもそもそんな肉があるかどうかも微妙だけども。
ともあれ、普通に戦っていればかなり苦戦していたことだろう。
なんせ相手は存在するだけでこちらを精神汚染してくるうえ、守護者としても強い。
長く戦えば戦うほど、こちらは苦戦する。
他の肉系の魔物と同じ性質を持っているなら、高い再生能力なども持っているはず。
「しかし、問題ありませんね」
《はい。装甲にも対精神汚染のコーティングが施されております。飛び散った飛沫も予め障壁を展開していれば、機体含め問題なく行動可能です》
「……ならば、行きましょう!」
《畏まりました──『セバスチャン』起動、“パーフェクトバトラー”の条件達成。即座に発動します》
俺の指示という条件を満たし、万能執事AIの『プログレス』が本格的に始動。
もともと十分に受けていたサポートが、十二分以上なものへ。
《職業能力“職業系統樹”を起動、及び“操縦”を複数発動します》
系統が同じ職業の中には、補正量が異なる能力が複数存在する場合がある。
操縦系の職業であれば、操縦スキルに補正が入るものが該当した。
発動時間も補正量も違うそれらを、すべて把握して制御する。
それのみに注力するのであれば、いづれ努力次第で到達できるかもしれない 技巧 テクニック 。
他のことにも現を抜かす俺ではできないであろうそれを、『SEBAS』が代行する。
機体の制御だけではない、敵の行動分析に加え俺が観る映像の情報処理まで。
それを可能とする鍵こそ、『SEBAS』が起動した『セバスチャン』…………というわけではないのが、恐ろしいところだ。
ぶっちゃけ、先に挙げたことだけならば平時でもできてしまうハイスペック。
ではなぜ今それを起動したのか……答えは単純、都合が良かったからである。