アトランティス奪還作戦 その16
アトランティス奪還作戦 その16
恐れていた事態、凝らしていた幾重もの策が不条理にも潰され精神汚染を受けていた。
深く侵蝕される前に気づいたため回復できたが、悪化もまた時間の問題らしい。
「もともと逃げることは予定通りだったからまあいいんだけど……このままってわけにもいかないんだよな」
《旦那様、『星域』をご使用ください》
「ん? 了解」
言われるがままに擬似神代魔道具を起動。
アイスプルの領域がアイテムを起点として広がり…………なるほど、そういうことか。
「上書きできるのか」
《正しくは相殺、でしょうか。少なくとも、展開中は装甲と合わせることで旦那様への影響をゼロとすることができます》
擬似神代魔道具『星域』。
いっさい星由来の素材は用いていない、しかし神代の品々に匹敵し得る性能を秘めた魔道具……我ながらややこしいな、これ。
ともあれ、神代アイテムを模倣して作った領域形成ツールが上手く機能した結果、一時的にセーフティゾーンを確保できたようだ。
「つまり、こんな感じで場を確保できる何かがあれば問題無いのか」
《しかしこれは大前提。ゴーレムなどの問題とは別にあります》
「それもそうだ…………本当、他の人に押し付けた方が楽な気がする」
階層の入り口付近に移動して、安全地帯の確保を担当。
他にもバックアップを……って、これだとさすがに理物は狙えないか。
いい線を行きそうではあったが、残念ながらこの考えは無し。
ただ、ここの情報をあとで[掲示板]に出すよう、『SEBAS』に頼んでおく。
「迷宮は星由来のもの、だけどここのギミックは間違いなく某神話の影響…………聖職者系で何とかなるか? ──“安置聖定”」
《効果範囲内での汚染速度、低下しました。しかし……微々たるものです》
「俺自身の信仰の無さ、適性の低さ、あとそもそも出力不足が問題なんだろうな。上層の連中がやったらいけそうか?」
《彼らであればおそらく。『星域』の影響範囲を広げ、内部であればゴーレムを上手く引き剥がすことも可能でしょう》
「…………協力プレイが必要になるか。俺が居なくなったことは知られているだろうし、独断専行だもんな。うーん、印象最悪な状態で交渉するにも分が悪いし。さて、どうしたものだろうか」
迷宮の探索自体はアトランティス世界の依頼なので、メカメカ団の威光を借りるというのも難しい。
「──よし、戻るか」
ここに居てもそうなる。
なら、ここに居なければいい。
そう結論付けた俺は、さっそく準備を行って──自死を選んだ。