アトランティス奪還作戦 その17
アトランティス奪還作戦 その17
迷宮『鉱■■洞』 一階層
いったん戻った方がいい、そう判断した俺は自死を選ぶ。
居るだけで発狂する空間、対抗には優秀な聖職者が必要だ。
「──ということです」
「なるほど、情報提供感謝する」
一階層で艦の番を務めていたアクアトルマリンに、状況を報告する。
現状が危ういことは彼らも理解していたようだが、把握しきれていなかったらしい。
俺同様に何らかの理由で死亡、予め準備していた死に戻り地点に戻ってきた連中から問題を聞いていても、その原因までは分かっていなかったようなので。
「……先生の専用機であっても、それそのものだけでは汚染を防げない。であれば、我々の汎用機も同じことだろう」
「外部からの汚染であれば、問題ないでしょうが。最下層は汚染こそが仕様、という風に書き換えられています。探索すること自体がその理を受け入れた扱いとなり、通常方法での防御が不可能となるのです」
「そのための聖職者、というよりも神の存在ですか」
「相手が神の力を奮っている以上は、こちらも同じく神頼みが最適解なだけですよ」
俺が『星域』で対抗したように、方法次第で相殺や中和は可能だ。
しかしもっともお手軽に、かつ効果的な対抗手段が神由来の力を使うやり方である。
それを使った方が楽だし、聖職者さえいれば行えるのがいい。
特に探索している休人たちは優秀だ、情報さえあればきちんと対抗できるはず。
そして今、メカメカ団の一人が[掲示板]に俺が持ってきた情報を書き込んでいる。
死んでも情報を持ち帰り、無限の残機でトライ&エラーを繰り返す……それが休人だ。
「──[掲示板]にアップできました」
「ご苦労。先生、この後の予定は?」
「そうですね……[掲示板]で動向を窺いながら、少し休みます。例の物を探すことは諦めていませんので、完全踏破をされる前にまた動くことになりますか」
「分かりました。何かご必要な物があれば、仰ってください」
「ええ、ありがとうございます」
独りになったところでほっと一息。
会話中に調べてもらったが、自死した場合は精神汚染も完全に除去されているらしい。
これは俺だけでなく、戻ってきている連中もチェックを受けて同様だった模様。
…………あの神話だからな、それこそ悪辣な仕込みがあることも警戒する必要がある。
「──それじゃあ、ゆっくりとしますか」
《では、飲み物をご用意しますね》
今なお探索している休人たちには申し訳ないが、少々お疲れ気味なので。
深々と用意した椅子に腰かけ、お茶を啜りながら時間が経つのを待つのだった。