アトランティス奪還作戦 その20
アトランティス奪還作戦 その20
迷宮最下層で休人たちが侵蝕された守護者と戦う中、俺は鍬を振り下ろしていた。
ポーション飲んで結界で動かして、高速で地面を文字通り軟化させていく。
「──次、“ライトスコップ”!」
光、ではなく軽量スコップ。
形状を変化させたそのスコップを地面に突き刺せば、補正を受けた筋力でも持ち上げられないような大量の土を一気に掻きだす。
少しずつ、俺の体は地中へと沈んでいく。
本来、迷宮の最下層より下など存在しないのだが、それでも踏み締めている地面より下の部分が無いというわけでは無い。
そこを掘り進めても次の階層、本来の空間における地続き部分があるわけでも。
──ただしそれは、意味も無く掘り続けた場合は、という話だ。
迷宮の拡張はポイントによって行われるのだが、指定した範囲を迷宮化して加工する方法と加工後に迷宮化する方法が存在する。
前者はコストは掛かるがワンタッチでできるお手軽さが、後者は手間は掛かるがコストが軽くなるというメリットがある……確保する空間に存在した、物質の関係だろう。
結論から言おう、一番下まで行けばそれは底で在り壁となる。
──決してそこから先は掘れないが、星脈に触れている部分として機能しているのだ。
「……むっ、ありましたよ!」
硬い感触、それを受けて俺はすぐさま新たな形状にスコップを変形。
本来の担い手の成長に合わせ、追加された新たなフォルム。
「──“ピックピッケル”!」
効果は採掘時の判定増加。
ただ1を2に、2を3にといったものは従来の採掘スキルの効果──このピッケルの凄いところは、0を1にできる点。
いくつかの条件が存在し、これまではそれが満たせていなかった。
だが今、少々強引だがそれを満たせるようになる。
「まず、効果は壁……それも岩盤で無ければ発揮されない。そして前提として床に足を付けて壁に振り下ろした物でなければ効果対象にならない」
これまで使ってきた掘削具も一部同じ制限があり、基本的に無機物以外には使えない。
例外的に体内や外殻として鉱山を有しているなんて、とんでも魔物が居れば採掘可能。
「それでも床に足を着ける、という条件が現状だと満たせない──『SEBAS』!」
《“貼地路在”を起動します》
足場を生み出す術式だが、それ以外にも面白い使い方ができる。
最初は地面と平行だった床を、少しずつ斜めに……そのまま垂直なものへ。
自動的に操作される体、だが体幹はブレることなく最後の足場に。
《重力及び空間結界を作動、座標を固定します》
あとはそれを固定すれば準備は万端。
床(壁)から壁(地面)に振り下ろす、という条件を満たすことができた──時間が無い、どんどん掘っていこう。