アトランティス奪還作戦 その24
アトランティス奪還作戦 その24
機械大陸 地下
理物を得ることはできないまま撤退、エネルギーのみを抽出した不完全なものを持ち帰るだけとなってしまった。
理の力に作用するエネルギーなので、上手く使えば【科法師】や【魔学者】双方で行われているナノマシン運用をブーストすることができるだろう……開発段階だけれど。
『あっ、先生おかえり~。お土産って何かあるのかな?』
「ええ、戻りました。お土産ですか……すみませんが、お眼鏡に適うようなモノは」
『いやいや、そんな大層なものじゃなくていいって。ほら、アトランティス世界のエネルギーで充分だよ』
「……では、こちらを」
ド・ライブとのやり取りを終えた俺は、隠蔽工作を行った後に機械大陸の地下へ。
不穏な動きを取ったのは、それと同じくらい怪しいことをしている彼女のため。
メカメカ団が生み出したイレギュラーな存在、機械精霊のマキナ。
俺と接する端末の他にも、多くのアバターが同時に動き情報を手にしている。
そんな彼女は俺とド・ライブとの会話も把握しているようで、お土産を要求してきた。
元より渡すつもりだったもの、[インベントリ]を操作して取り出しソレを渡す。
『……石だね』
「はい、石です」
『ふむふむ、でもとんでもないエネルギーが籠められている。だけど鑑定とかで視ても何の変哲もない石って出てるよ? これ、どういうこと?』
「そのまま持ち出すのはアトランティス側に咎められてしまいますので。あくまでリソース量が異様に多いだけで、価値の無い石であると世界に示していただけですよ」
採掘した場所などで、実際内包リソース量に違いがあるという例は存在する。
……まあ、石ころについてはそもそも内包の限界量が極めて低いんだけども。
だからこそ、理物を筆頭にそれらの限度が高いアイテムなどは流出しないよう監視が徹底されている。
そうした中、大した量も溜め込めないアイテムについては捨て置かれる……そんなやり方の裏を突くことができるのが、かつて譲り受けた術式──“星記改悪”。
元の術者は『八大星魔:愚かな賢者』。
魔導世界の中でも問題を起こす彼(女)の犯罪の片棒を担いでいるのが、この術式なのだろう。
別世界で手に入れたアイテムも、価値を一時的に貶めて回収。
魔導世界に戻ってからそれを解除すれば、元の貴重品に戻るといった寸法だ。
「マキナ、理物として成立していない以上それも仮初の品です。時間経過で過剰分が流出するでしょうし、そうなればただの石ころとなります」
『……つまり、証拠も勝手に消えるわけだ。先生ったらやるー』
「ともかく、解析をお願いします。こちらもやれることはやってみますので」
持ち出したことがバレると、非常に面倒なことになりそうだしな。
マキナにその辺は任せておくとして、俺は俺で目的を果たさなければならない。