花畑問題 その02
花畑問題 その02
魔導世界のイレギュラー、アルス・ナギマとの取り引きで入界できた俺。
辿り着いた第五魔道、花畑に侵蝕されつつある領域で情報のおさらい中。
「『八大星魔』は基本、それぞれの魔道でしか動かない……ここであれば『界樹の神子』がその担当、となるわけですが」
《花畑による世界の上書きは、星脈や世界樹にも影響を及ぼしており。権能を十全に使えなくなっているようです。また、花にいくつも特殊な性能を有しており、それらが防衛手段として機能しているとのこと》
「……なんとも厄介な」
休人が『プログレス』を用いて犯罪を行う場合、デメリットを踏み倒せる自信を持っていることが多い。
圧倒的強者たちに命を狙われる、死んだら即監獄行き──それでも生き延びられるナニカがあると、そう自負しているわけだ。
サンシンチの場合、それは自らが生み出した花畑。
初動を潰せなかった今、どこまでも戦力は広まっていく。
「こう、一気に殲滅するといった形で対処できなかったんですかね? 上空から術式や爆弾の雨を降らすなんてことも、できなくはなさそうですが」
《それもまた、第五魔道の特殊性ゆえに失敗に終わっています。多くの自然が存在し、それらが異なる性質を持つこの領域では、自然界のエネルギーが人の制御下から離れ暴走する場合があるのです》
「……それに阻害された形ですか」
《はい。特に『ガーディニアン』はそれらを花の種として確保可能なようで、サンシンチにより植えられたそれらが、新たな魔力溜まりとして機能しております》
花畑の形成に関することなら、ほぼ何でもできる『プログレス』なんだよな。
本来のゲームとは少し違う、サンシンチ自身の願望によって生み出された擬似権能だ。
《加えて、有志による看破によって職業も判明しております──メインにセットするのは【栽培家】及び【花術師】。どちらも花に作用する職業ですが、その環境の影響で実力者たちを蹴散らす力を発揮しているようです》
「時間を味方につけると凶悪になるタイプですね……独りでも、場所が分かっていても生き残っているのはそれが原因ですね」
また、俺たちは一部を除き『プログレス』の詳細を把握できる。
花ばかりが知られているようだが、『ガーディニアン』には他の能力もあるわけで。
「たしか、“フラワ―ガーディアン”でしたか。花を媒介とした守護者兼斥候を外部に生み出す…………これ、情報出てますか?」
《確認します────────[掲示板]に該当すると思わしき投稿は0、未だ露見していない模様》
「領域の拡大にも使えるこれを、まったく使用していないとは思えませんね。すぐの調べてください、このまま放置していては最悪また逃げられそうですので」
《畏まりました》
サンシンチの花畑は何度も攻撃を受けているが、たとえ一時的に破壊できてもまたしばらくするとどこかで復活するらしい。
もしもその絡繰りに、“フラワーガーディアン”という外部に潜む存在が関わっていたならば……それは根本的な対応を、これまでできていなかったことを意味するな。