花畑問題 その05
花畑問題 その05
神霊から、サンシンチと交渉して花畑の拡大を停められないかと聞かれた。
それに対して俺は、[掲示板]に上げられた一本の動画を提供する。
◆ □ ◆ □ ◆
『本日はインタビューに応じて──』
『そういう話はいいかなー。それよりもー、この花畑は見てどう思うー?』
『……とても、美しい景観かと』
『そうかー、そうなるように整備しているんだから当然だねー。でもでもー、後ろを見てよー』
[後方の映像。そこはまだ花畑ではなく本来の第五魔道が残っている]
『ダメだよねー? うんうん、でもしょうがいのー。わたしも分かってるー、もともとの自然があってーそれを綺麗と思う人も居るってー…………きっと知らないの。もっともっと、本当に美しいものがあるってー』
『は、はあ……』
『リトルマイガーデンってオンラインゲームのことー、知っているかなー?』
『はい。有名でしたよね……例の事件のこともあって』
『それもあったねー。でもー、あの世界はまさに本物だったんだー。限りなく再現される世界にー、国境も私有も無く自由に望むままにできる場所ー。そこがわたしにとってのー本物だったんだー』
『しかし、リトルマイガーデンは例の事件を経て閉鎖が決定。開発者も行方が知れないまま、続編も出ていない』
『そうなの! あの凄い技術があればどんなことでもでき──』
[話の主軸から逸れた内容が続いたため一部割愛]
『……少し長くなっちゃったねー。EHO、このゲームはリトルマイガーデンとは似ても似つかないMMOの世界。始まった当初は落ち込んでたし知らなかったけどー……ある時から出たシステムがー気になったんだー』
『──『プログレス』ですね』
『そうそれー。個人の願望が実現する、それが本当ならって思ったのー。半信半疑、EHOを始めてみて……本当だって知ったよー』
『では、この状況こそが貴女の願望だと?』
『……そうだねー、そのはずー。うんうん、子供の頃に見た一面の花畑が忘れられなかったのー。リトルマイガーデンで満たされたその想いが失われてー、この世界でまた叶ったのー……だけどー、ここはわたしが創ったあの花園じゃーない』
[周囲に花々が咲き始める]
『……あの、サンシンチさん?』
『そうだねー、そうだよー。足りない、全然足りてないのー。もっともーっと、誰もが観たいって思ってー、残し続けたいーって考えられるような場所にしないとー』
[一気に周囲が花に埋め尽くされていく]
『サン、シンチ……さ──』
『まずはそうだねー、ここをぜーんぶ花畑にしましょー。あーんなにデッカい樹が在るから、この子たちがみんなに見てもらえないんだー……やっちゃいましょうかー』
[花がインタビュアーを覆い、映像は終了]
◆ □ ◆ □ ◆
「──といった感じでして」
『…………これ越しだと完全にそうとは言い切れないけど、少し変じゃなかった?』
「それも含め、交渉ができない状態にあると思われます。以降、近づく休人は尽く撃退されています。花畑を見せたい、と言っていたサンシンチとは思えない行動です」
『何かあるかもしれない…………でも、たしかに樹を狙うと言った。それを見逃すわけにはいかない──分かったわ、大元を絶たないとダメ』
サンシンチは指名手配を受けている。
なのでいかに復活する休人でも、蘇生不可の状態に追い込めばそのまま監極に送ることができる……その難易度が異常なだけでな。