513話 失敗を何とかする
513話 失敗を何とかする
鋼を炉へ入れて少しして
バンカラ「ワシが1回叩いてどのくらいの力加減か見せる、だからお前は鋼の凹み具合を見て力を調節してくれ」
ベル「分かりました」
バンカラ「んじゃ行くぞ」
そう言って鋼を取り出し
カン!
バンカラは金槌で鋼を叩いた
バンカラ「見えるか?力加減はだいたいこんなもんだ、これよりちょっとくらいなら強くても問題ない」
ベル(俺が叩いたやつの4分の1くらいかな?)
「やってみます」
バンカラ「やれ」
ベル「はい」
そう言ってベルも置かれている鋼を叩いた
ガン!
バンカラ「抑えろ言ってるだろ!」
ベル「おかしいな、抑えたんですけど」
(これでも強すぎるのか)
バンカラ「…まぁ金槌が砕けてないってことはさっきよりは力を抑えられたんだな、そこはよくやった。とりあえずお前は金槌直しとけ、ヒビ入ってるだろ?」
1回怒ったバンカラはベルの方をチラッと確認し、本当に困った表情をしたベルを見て金槌が砕けなかったことを褒めていた
ベル「分かりました」
『修復』
バンカラ「このままだと歪になっちまうからちょっとだけワシが修正するな」
ベル「お願いします」
バンカラは素早く修正作業を進め、すぐに終わらせていた
バンカラ「お前は力加減が苦手なのか?」
ベル「弱めの力なら練習したのである程度は大丈夫です、だけどある程度の強さを求められる力加減は苦手ですね」
(メルちゃん達に偉そうに力加減の練習しようね、とか言ってるけど俺も結構力加減ダメなんだよね)
バンカラ「そうか、お前って確か冒険者やってたよな?」
ベル「やってますよ」
バンカラ「確かに戦うなら相手を思いっきり剣で切ったりすればいいから加減とかしないわな」
ベル「はい」
ベルは最初よりも見るからに落ち込んでいるようだった
{最初は興味津々でドキドキワクワクしていたよ、それでも表情は控えめ}
バンカラ「なら狙いはいいか?」
ベル「…多分狙いはいいと思いますよ?」
バンカラ「そうか、ならワシが何とかしてやるから2回目と同じくらいの力でワシの言ったとこを叩け」
ベル「さっきのでも金槌にヒビが入ってたんですけどいいんですか?」
バンカラ「それは承知の上だ、1回叩いたら直してけ、簡単に直せるんだろ?」
ベル「分かりました」
バンカラ「じゃあ再開だ」
炉から鋼を取り出し金床へと置いた
コンコン
バンカラ「ここ叩け」
鋼がくっついた棒を持った方とは逆の手に金槌を持ち、その金槌を使って鋼を軽く叩いてベルに叩く場所を指示した
ベル「わかりました」
ガン!
バンカラ「…次はここだ」
コンコン
ベル「行きます!」
ガン!
コンコン
バンカラ「ここだ」
ガン!
コンコン
バンカラ「ここ」
ガン!
さらに同じ作業を複数回繰り返し、鋼を炉へと戻した
バンカラ「多少強すぎる時もあるが概ねいい感じだ、これを予定の長さまで何回も続けるぞ」
ベル「わかりました」
その後も指示された場所をベルが叩くを何回か繰り返し、その後にバンカラが調節するを繰り返して何とか予定の長さまで伸ばした
バンカラ「何回か金槌が砕けたが無事にここまで来れたな」
ベル「ごめんなさい」
頭を下げていた
バンカラ「んな事しなくても大丈夫だ、力加減が下手なのを聞いてあと何回かやると思ってたからな」
ベル「すいません」
バンカラ「無事にここまで来たからなんの問題もない、だから謝る必要は無い。じゃあ進めんぞ」
ベル「わかりました」
かなり迷惑をかけて落ち込んでいたが少し回復した
バンカラ「次は切っ先だ、これは切るだけだから簡単だな」
炉から鋼を取り出し金床へと置いて、その上に切るためのものを乗せた
バンカラ「さぁ叩け」
ベル「はい!」
カキン!
バンカラ「…ほんとなら何回か叩くんだが、お前がやると一撃か……じゃあ反対側も」
カキン!
バンカラ「……よし、問題ないな。じゃあお前のやるところはここまでだ」
ベル「……あれ?茎はいいんですか?」
バンカラ「本当ならやらせてやりたいが、お前の力だと潰れるからな、すまん」
ベル「それなら仕方ありませんね、わかりました」
バンカラ(ここまでとは言ったがどうするか)
「……なんだもう昼過ぎてんのか、ならお前は飯食ってこい」
(ちょうどいい)
バンカラが時計を確認すると既に13時を過ぎていた
{一緒にやっていた生徒はお昼を食べに向かってもういないよ}
ベル「バンカラさんは?」
バンカラ「ワシは茎だけササッと仕上げて飯食いに行くぞ」
ベル「俺のせいで時間がかかったので終わるまで待ってます」
責任を感じているようだ
バンカラ「んなの気にしなくたっていい、だからワシなんてほっておいて適当に飯食ってこい、ガキは腹いっぱい飯食わなきゃダメだ」
バンカラはそう言いながら半ば強引にベルを工房の外へと追いやった
バンカラ「午後からは鞘とか外側のやつがあるぞ、そっちもやるなら飯食って帰ってこい」
ベル「…わかりました」
追い出されたので仕方なく、ベルはお昼ご飯を食べに向かった