516話 鞘を作る体験
516話 鞘を作る体験
武器屋ミレーユでの職業体験後半が始まった
ミネ「まずは鞘からだから…使う物はこの長い木と剣身ね」
ベル「どうやって作るんですか?」
ミネ「この木を2つ半々で剣の形に削って、その削った木をくっ付ける、くっ付けたら外側の見た目を整える感じ」
ベル(くっ付けるってどうやるんだろ?)
「へぇ〜そうやって作るんですね」
軽く驚いていた
ミネ「うん、ただ剣の形にピッタリ作らないといけないから難しいけど、出来そう?」
ベル「やるだけやってみます」
ミネ「まぁそうよね、じゃあ早速始めましょう」
ベル「はい」
鞘作りが始まった
ミネ「同じ物を2つ作らないといけないから、私が半分作ってもう半分をベルド君が作る感じになるわ」
ベル「わかりました」
ミネ「うん、まずは剣身を木の上に乗せて、木に剣の形の目印を付けるよ、この剣ならこことこことこことこことここに点を付けておくだけでもいいし、普通に最初から線で形を書いてもいい」
ミネの言うこことは一般的な西洋剣の刃の根元2箇所と剣の先端の3角になるところの2箇所と切っ先の頂点の1箇所を指していた
ベル「わかりました、じゃあ剣の形に線を引きますね」
ミネ「うん、とりあえず私がお手本を見せるからその通りにやって見て」
ベル「はい」
そう言ってミネは木の上に剣身を置き、剣を縁取るようにペンで線を引いていった
{木はただの角材、大きさは縦10cmの横20cmの長さ1.5mのただの木から作られた角材だよ。この大きさの物を2つ抱えて持ってきたミネの筋力は一体?}
ミネ「こんな感じ、収める剣の基準になるから線はしっかり書いておいてね」
ベル「わかりました、やってみます」
ミネ「うん、だけど手は気をつけてね、その剣は本刃付けまで終わってるから切れるよ」
ベル「気をつけます」
(まぁこの剣じゃ俺の体は傷付けられないけどね)
ベルは言われた通り、木に剣の形に線を引いた
ミネ「…問題ないわ、次は剣の形に合わせて木を削っていくよ、鞘作りで一番難しいところね」
ベル「難しいんですか」
(大丈夫かな?)
そう言うベルの表情はとても不安そうにしていた
ミネ「まぁ難しいね、この剣と全く同じ形で木を削らないといけないからさ」
今から鞘を作る剣はひし形の形をした剣のため少し作るのが難しくなっている
{この世界には断面がひし形の剣もあれば、潰れた六角形の剣など様々な剣が存在する}
ベル「ヤバそう」
その声は少し絶望したような声だった
ミネ「まぁ私がやって見せるから、それを見て真似してみなさい」
ベル「頑張ります」
ミネはノミを手に取り、木に書いた線の内側を削り始めた
それから少しして
ミネ「こんな感じ、この剣の形だと真ん中をある程度削り進めて、端っこはあとから調節すればいいからね」
ベル「そんな感じですね、わかりました、やってみます」
ミネ「うん、ノミも刃のとこ触ったら切れるから気をつけてね」
ベル「わかりました」
ベルも作業を始めた
ベル(まずは真ん中を掘り進めるって言ってたよね、慎重に)
メキッ!
ベル「あ……ごめんなさい」
ミネ「なんか変な音したけど」
ベル「慎重にやろうとして力入れすぎました」
持っていたノミをミネに見せた
ミネ「…潰れてる」
ベルの持っていたノミの持ち手がグシャッと潰れていた
ベル「ごめんなさい、すぐに直します」
『修復』
すぐに元に戻った
ミネ「……さっきすごい不安そうだったのってこういうことなの?」
(謎の力で戻ってるのは聞いていいやつかな?)
ベル「はい、全く同じに作るのは簡単です、だけど俺が力加減が下手すぎて上手く出来るかの心配ですね、バンカラさんの時もかなり迷惑をかけました」
ミネ「そうなのね、まぁ木はいっぱいあるから失敗しても大丈夫よ、だから貴方のペースで少しずつ頑張りなさい」
(バンカラさんが言ってたのはこういうことか)
ベル「分かりました」
ミネ「あとその直してるやつは何?」
ベル「これはただのスキルですよ」
ミネ(…教えるつもりはない感じかな?)
「まぁなんだっていいけど」
その後も複数回ノミを握り潰しながらも少しずつ削る工程を進めていった
グジャ!
ベル『修復』
「もうダメだ、これお返ししますね」
全体の3割ほど進めたところで手を止めた
ミネ「どうしたの?これがないと削れないよ?」
ベル「それだとすぐに握り潰しちゃうので……代わりにこれ使います」
そう言ってベルは無限収納から無限超越結晶で作られたノミを取り出した
{即席で今作ったもののため、形は普通のノミだが色が無限超越結晶そのものの色になっている。無限超越結晶の見た目は半透明で虹色になっているよ}
ミネ「何それ?ガラス?」
不思議そうに見ていた
ベル「いえ、これはちょっと特殊な金属を加工したものです」
ミネ「それどう見てもちょっとじゃないでしょ、初めて見たよ?そんな金属」
苦笑いしていた
ベル「稀少ですからね」
ミネ「そう、まぁいいけどそれなら潰れないの?」
ベル「はい、これなら今の俺の力なら大丈夫です」
ミネ「ならいいよ、ずっと見てたけど潰れてまともに出来てなかったもんね」
(今のってどういうことなんだろう?)
ベル「見てたんですか?」
ミネ「うん、怪我しないか心配だからね」
ベル「そうですか」
怪我をしないのはわかりきっているため、ベルは適当に答えていた
ミネ「心配してあげてるのに冷たいなぁ〜」
ベル「話してると本当に怪我しますよ」
ミネ「それもそうね、怪我がないように集中して頑張りなさい」
言われた通りに集中して作業を進めた
ベルはノミを変えたことで快適に進められるようになり、先程までの作業スピードから約10倍ほど早くなった
ベル「ここはどうしたらいいですか?」
真ん中を削るのはだいたい終わったため、斜めに削るところを聞いた
ミネ「そこは斜めの角度で真っ直ぐ横からノミで少しずつ削るしかないね、縦に長く削ってもいいんだけど、今使ってるそのノミだと難しいかな」
ベル「わかりました」
言われた通りに少しずつ削っていった
{横とか縦に削るというのは、剣を縦に見た時の方向です}
ベル「……できました、こんな感じでどうですか?」
ミネ「ちょっと見せてね」
そう言ってベルの作ったものを手に取って確認していた
{ちなみにミネは自分の分を既に完成させているよ}
ミネ「…うん、見た感じはいい感じ……とりあえず私のやつと合わせてみて、仮固定して剣を刺してみようか」
そう言い終わる頃には既に合わせて固定までされていた
ミネ「引っ掛かりとかないか確認するからちょっとまっててね」
ベル「はい」
そう言ってミネは剣身を手に取り、仮固定された鞘に真剣な表情で剣身を入れたり出したりしていた
ミネ「引っ掛かりとかもなくすんなり入ってスっと出てくるから問題ないね、まだ作業もあるしさっさとくっ付けておこうか」
ベル「それはいいんですが、どうやってくっ付けるんですか?」
最初から気になっていたことを聞いた
ミネ「ベルド君は何だと思う?」
ベル「魔法で固定するとかですか?」
唯一思いつく答えを答えた
ミネ「違うんだなぁ〜」
ニヤニヤしながらからかうようにそう言った
ベル「じゃあ何なんですか?」
ミネ「正解はこれ」
そう言いながら白いドロッとした液体の入った瓶を机に置いた
{今更だが、瓶や窓ガラスなどを作る技術はあるが、色つきガラスや細かな装飾をするガラス細工などをする技術はこの世界にはないよ。あるとしたらベルの関わったところだけ}
ベル「ボンド…ですか?」
ミネ「ぼんど?ってのは分からないけど、これはちょっと特殊な木の樹脂だよ」
ベル「樹脂ですか?」
ミネ「うん、ビルニって言う木の樹脂を付けて放っておくと、くっ付いて取れなくなるんだよね」
ベル「そんなものがあるんですね、初めて知りました」
ベルは本当に初めて知ったためかなり驚いていたよ
ミネ「この作業は私がやっちゃうね、樹脂が手とか服とかに付いたらめんどくさいからさ」
作った2つの鞘の元に樹脂を付けて2つを合体させた、その後に上に重りを乗せてしっかり固定させていた
ミネ「これはとりあえず固まるまで放置、その間に柄の方進めようか」
ベル「わかりました」
続いて柄を作る体験が始まった