530話 魔道具を作ってみる
530話 魔道具を作ってみる
色々と質問を交えた後、ベルは体験を再開した。
マグメル「さっきは魔法陣を描く腕前を見せてもらったから、次は実際に素体を魔道具に加工してみましょう」
ベル「わかりました」
マグメル「まずは蓋の裏に魔法陣を描いてみて」
ベル「はい」
返事をして、ベルは先ほど見せてもらった通りに魔法陣を描き始めた。
数十秒後――
ベル「こんな感じでいいですか?」
描き上げた魔法陣を見せる。
マグメル(早い……!)
「……うん、大丈夫よ。じゃあ、次はスピンドルに魔力回路を付与しましょう」
ベルの手元にある蓋とスピンドルを交換しながら、マグメルが続けた。
ベル「魔力回路を付与するって言いますけど、そんなに簡単にできるものなんですか?」
マグメル「全然簡単じゃないわ。魔道具作成で一番難しい工程がこの魔力回路の付与よ。正確な魔力操作ができないと、付与は不可能なの」
ベル「……そんな難しいことを普通の学生にやらせるんですか?」
ベルは不満げにマグメルを見つめた
マグメル「あなたが普通の学生?冗談でしょ。国の帝王で、しかも冒険者ランクSSSなんて普通の範疇じゃないわ。それが普通だったらこの国、どうかしてる」
ベル「なるほど。じゃあ、魔力回路の付与方法を教えてください」
ベルは軽く受け流して、具体的なやり方を聞いた。
マグメル「まず、付与したい場所に魔力を正確に流して、その流れを物に固定するイメージで進めるの」
ベル「特別な儀式や準備はいらないんですか?」
マグメル「特別な準備は必要ないけど、詠唱は必要よ」
ベル「あ、詠唱があるんですね」
マグメル「そう。ただ、これは特殊な詠唱で、魔力回路を付与するためだけの魔法みたいなもの。もちろん、慣れてくれば無詠唱でできる人もいるわ」
ベル:「つまり、付与は付与なんですね」
マグメル「そう。でも、一般的な付与魔法とは違って、時間も高度な技術も不要なの。魔力を流しながら詠唱すれば回路が完成するのよ。だから私たち魔道具職人は、この付与魔法を一般のものとは区別して、回路付与魔法と呼んでいるの」
ベル「どうして区別するんですか?」
マグメル「私たちの仕事は、物に魔力回路や魔法陣を刻み込み、魔石を動力源にして誰でも使える魔道具を作ることよ。付与魔法を使う職人たちは、武器や防具、アクセサリーに魔法を付与する専門家で、私たちとは異なる分野。だから一緒にされたら困るのよ。あっちの方が技術的に難しいからね」
ベル「なるほど。つまり、魔道具職人と魔法道具職人は別物なんですね」
マグメル「そう、まぁここではそういう区別をしてるってだけで、他の場所ではどうか知らないけど……。さて、それよりもやってみましょうか」
ベル「はい」
ベルは魔力回路の付与を開始した