543話 テレス達と冒険者体験へ⑤
543話 テレス達と冒険者体験へ⑤
進み始めてからすぐに
ミーファ「気をつけて、この先に敵」
探知力の1番高いミーファが先に魔物を発見した
テレス「了解」
レミア「いた?」
ミーファ「本物を見た事がないから分からないけど、多分だけどゴブリンだと思う」
テレス「今はそれがゴブリンかどうかなんて関係ないわ。重要なのは、敵かどうかよ」
ミーファの曖昧な答えに、真剣にそう言い返した
ミーファ「ごめん。敵よ、反応が人間の魔力じゃない」
テレス「了解、それが分かれば大丈夫よ」
ミーファは今、何が1番重要なのかに気が付き、謝ってから改めて敵の情報を伝えた
テレス「ねぇベルくん」
ベル「なに?」
探知魔法で敵が近くにいないことは分かっている。だが、テレス達にとって迷宮とは未知の場所、さらにはSSランク迷宮という高難易度な場所のため、わずかな気の緩みも許されない。そんな中テレスは、少し不安げにベルの方を振り返った
ミーファとレミアも周囲を警戒しているが、敵の有無以外何も分からない、そのためこの場で唯一迷宮について詳しいベルに、テレスは小さな声で問いかけた
テレス「ここにいる魔物なら、なんでも好きに倒していいんだよね?」
ベル「うん、見つけた魔物ならなんでも倒していいよ。ただ、誰かが戦っている魔物を横取りしないことと、ここには他の人もいるから、間違えてその人たちを攻撃しないように気をつけてね」
テレス「わかったわ。戦っているのを見かけても助けたりはしなくてもいいの?」
ベル「そうだね、まずチラッと見て余裕そうならスルーして大丈夫。分からない時は、助けがいる?って聞いてみて、いらないならそのままスルー。必要なら助けてあげて。あと、苦戦してそうなら聞かなくても助けてあげていいよ。助けて怒られたとしても、スルーして死なれるよりはマシだからね」
テレス「わかったわ。他には何かある?」
ベル「ここなら壁とかを破壊しても、勝手に治るからどれだけ強い魔法を使っても大丈夫だよ」
テレス「そうなんだね」
ベル「うん、だからと言って強い魔法を使って自分たちを巻き込まないようにね」
テレス「わかってるわ」
ミーファ「もちろんよ」
レミア「当たり前じゃん!」
ベル「他に聞きたいことは?」
テレス「じゃあ最後に1つだけ、ここの魔物って私たちの誰か1人の魔法でも倒せるの?」
テレスは少し真剣な表情で問いかけた。未知の迷宮では、力の配分や仲間との連携が勝敗を分ける。それを見越しての質問だった
ベル「さぁ?どうだろうね。試してみればわかるんじゃない?失敗したらフォローするから、安心してやってごらん」
テレス「そっか」
ミーファ「わかったわ」
レミア「私たちに倒せるかな?」
ベル「とりあえず進んでみよう」
テレス「わかったわ。2人とも、準備はいい?」
ミーファ「いつでも」
レミア「いいよ!」
2人はすでに杖を構え、わずかな緊張感が漂っていた。それでも、その表情には確かな覚悟と自信が見えていた
テレス「まずはミーファが見つけた魔物に向かって進む。その後、みんなで目視できたら、3人で同時に魔法を撃つ。その魔法で倒せていたらそこで終わり、倒せていなければ追加で魔法を撃つこと。いい?」
ミーファ「了解!」
レミア「はーい!」
テレス「よし、じゃあ行くわよ!」
そう言って魔物を目指して歩き始めた
テレス「2人とも、見えてる?」
ミーファ「うん、見えてるよ」
レミア「ばっちり!」
テレス「よし、じゃあせーので撃つよ。準備はいい?」
ミーファ「大丈夫!」
レミア「いつでもいいよ!」
テレス「じゃあ、せーのっ!」
『ファイヤーアロー』
ミーファ『アイスアロー』
レミア『ロックバレット』
テレスの掛け声に合わせて、3人の魔法が一斉に放たれた
炎、氷、そして岩の魔法が一直線に魔物へと向かい、美しい軌跡を描きながら見事に命中した
レミア「やった!倒せたかな?」
ミーファ「……んー、どうだろう?」
テレス「魔物が倒せたかどうかって、どうやったら確実にわかるの?」
{魔物は倒された後も魔石に魔力が残るため、魔力探知だけでは判別が難しい}
ベル「倒したかどうかを判断するのは簡単だよ。死んだら動かなくなるから、それで判断するのが1つの方法。だけど、もっと正確なのは、魔力の動きを見ること。生きている時と死んでいる時では、魔力の流れが全然違う。だから、俺ならそっちで判断するよ」
テレス「じゃあ、あれはどうかな?」
ベル「自分たちで近くに行って、しっかり確認してみて」
テレス「……わかったわ」
そう言って、3人は慎重に魔物が倒れた場所へと近づいていった
テレス「これ……倒せてる?」
ミーファ「んー、どうかな……動いてないけど……」
レミア「……おーい、生きてたら返事してねー?」
少し距離を取ったまま、3人は恐る恐る確認した
テレス「動かないわね……」
ミーファ「これ、倒せたってことかな?」
レミア「動いてないってことは、さすがに大丈夫だよね?」
3人は少し距離を取りつつ、倒れた魔物をじっと観察していた
しばらく見ていても、魔物が動く気配はなかった
ミーファ「……本当に倒したんだよね?なんだかちょっと怖いけど」
テレス「うん。でも、このまま動かなければ大丈夫そう」
レミア「それにしても、こういうのって確認するのちょっとドキドキするね」
ベル「おめでとう。初めて魔物を倒せたね」
テレスたちが魔物が死んだと確信したのを見届けて、ベルは微笑みながら声をかけた
テレス「ありがとう。でも、本当にこれで倒せてるのかな……?」
ミーファ「うん、動いてないけど、なんだか信じられなくて」
レミア「やったね!初めて倒せたよ!」
ベル「うん、大丈夫。しっかり倒せてるよ」
3人の不安そうな表情を和らげるように、ベルは優しく微笑みながら答えた
テレス「これで倒せるなら、案外余裕かもね」
少し得意げにそう言うテレスに、ベルが落ち着いた声で答えた
ベル「そう思うなら、次は誰か1人の魔法を当ててみて」
テレス「え?もしかして……1人だと倒せない?」
自信たっぷりだったテレスが、少し不安そうに眉をひそめていた
ベル「それは分からないよ。でも、3人で魔法を当てると3倍の攻撃をしているのと同じだからね。次は1人の魔法でどれくらいダメージを与えられるか、ちゃんと確かめてみよう」
ベルの言葉に、テレスたちは互いに顔を見合わせ、少し緊張した様子を見せながらも頷いた
テレス「じゃあ、試してみるわ。ミーファ、次の魔物がどこにいるか分かる?」
ミーファ「あっち」
魔力を探るように目を閉じ、一瞬で場所を特定して指を指した
テレス「わかったわ。その魔物に試しに行きましょう」
ミーファ「うん、気をつけて行こう」
レミア「了解!でも近づきすぎないようにしなきゃね」
3人は慎重に次の魔物の場所へと向かっていった