545話 ボス部屋
545話 ボス部屋
テレス「ねぇベルくん、この扉って何?」
テレスが不思議そうに、目の前の大きな扉を見上げていた
ベル「今いるのが9階層。その次は?」
テレス「10階層?」
ベル「さっき教えたよね。10階層は何かな?」
テレス「ボス部屋?」
ベル「そう、この扉はボス部屋の扉だよ」
テレスたちはあれからスムーズに進み、あっという間にボス部屋前までたどり着いていた
テレス「ボス部屋とは言っても、どんなボスが出てくるの?」
ミーファ「私もそれは気になる」
レミア「私も気になってた!」
3人は最初にボス部屋のことを聞いてから、どんなボスが出てくるのかが気になっていたようだ
ベル「基本的には1階層から9階層で出てきた魔物のどれかがボスになるよ」
(まぁ本当は固定なんだけどね。それを教えちゃったらつまらないし、少しドキドキしてもらわないとね)
ベルはボスが何なのかをあえて伏せながら、3人がどんな反応をするのかを楽しんでいるようだ
レミア「じゃあどんなボスが出てきてもいいように、その辺の魔物で動きとか見ておいた方がいい?」
ベル「うん、それも悪くないね。ボスは基本的に強化版だから、今まで見てきた魔物で特徴を掴んでおけば戦いやすくなるよ」
(とはいえ、実際は固定だから想定外のことは起きないけどね。でも、こうやって考えて準備するのは大事なことだね)
レミア「ベルくん的には、どの魔物が出てきたら厄介だと思う?」
ベル「この階層のボスなら特にないかな。どうせ瞬殺だし」
レミア「そっか。それなら安心ね。今まで見てきた魔物の動きも何となく覚えてるから、私はいつでも行けるよ」
テレス「じゃあ早速行きましょ。あんまりゆっくりしてると、帰る時間ギリギリになっちゃうからね」
ベル「ふふっ、了解。じゃあ行こうか」
(まぁどうせ俺が見てるし、なんならテレスたちでも余裕に相手できるボスだから何が出ても問題ないけどね)
そう言ってボス部屋へ足を踏み入れると、広がるのは円形の広い空間だった。
壁は滑らかで光沢があり、天井には微かに光る紋様が刻まれている
そして、その中央に立っているのはボス。堂々とした構えで、こちらを見据えている
テレス「っ!いきなりいるの?!」
ミーファ「え!?…入った瞬間って聞いてない!」
レミア「いきなりいる!」
ベル「まぁ、ボス部屋ってこういうものだからね」
(予想通りだけど、3人の反応が面白い)
テレス「いるならいるって最初に教えてよ!」
ベル「テレスたちは初めての迷宮だからあんまりネタバレするのは良くないでしょ?」
(とはいえ、ちょっと驚かせちゃったかな。でも怒るテレスも可愛い)
普通に怒られてしまったベルだったが、どこか楽しそうな表情を浮かべていた
テレス「もう!」
そう言いながらも、テレスはボスの繰り出す攻撃を軽々とかわしていた。怒りながらも冷静な視線でボスの動きを見極め、攻撃が確実に当たらない場所へと移動していた
ベル「文句言いながら攻撃かわすの、余裕そうだね」
(さすがテレス。こういうところは本当に抜け目ない)
ミーファ「ほんとテレスって器用よね。文句を言いながらでもタゲ取りして、攻撃が私たちの方に来ないように動いてるし」
レミア「だよね。そのおかげで私たち、ボス部屋に入ってから1歩も動いてないよ」
実際、テレスはボス部屋に入った瞬間からボスの注意を自分に向けさせていた。ボスの攻撃をかわしつつ、絶妙な位置取りで2人が動きやすい状況を作っている
ベル「さすがだね、テレスがいると戦いがスムーズだよ」
(こうやって自然に周りを守れるのは、いいね)
そうやって3人で、テレスがボスの攻撃をひらりひらりと避け続けているのを眺めていると
テレス「ちょっと!何のんびり見てるの!早く攻撃してよ!」
ミーファ「あ、そうだった!」
レミア「ごめんごめん!つい見とれちゃって!」
ベル「だって、あまりに余裕そうに避けるから、ついついね」
(この程度の攻撃なら、テレスに当てるなんて無理だろうな)
目の前では、ボスが怒りの咆哮を上げながら攻撃を繰り出している。しかし、テレスはその攻撃をまるで風が吹いた程度にしか感じていないかのように、軽やかにかわしていく
ミーファ「これじゃ攻撃するの忘れちゃうのも仕方ない」
レミア「むしろ、攻撃しているボスが可哀想に思えてきたよ」
ベル「まぁ、そろそろ手伝ってあげて」
(さすがにボスも疲れそうだしね)
ミーファ「そうね」
レミア「そうだね」
そう言ってミーファとレミアは杖を構えた
ミーファ「ちょっと強めの行くからちゃんと避けてね!」
レミア「じゃあ私はボスの動きを止めるね!」
2人はそう言って魔法の準備を始めた
テレス「いつでもいいよ!」
ミーファ「レミアに合わせる」
レミア「了解!」
『凍結』
レミアの魔法が発動すると、空気が一瞬で凍りつくような冷たさが漂い、動き回っていたボスの体がみるみるうちに氷に覆われ、その巨体がピタリと動きを止めた
ミーファ「いくよ」
『エクスプロージョン!』
ミーファが呪文を唱えると同時に、ボスの足元に赤い魔法陣が浮かび上がった。魔法陣から吹き出すように炎が溢れ、次の瞬間、轟音と共に強烈な爆発が起こった。空間全体が揺れるような衝撃と共に、熱風が周囲を包み込んだ