LNCrawler

551話 生存報告とその後

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551話 生存報告とその後

SS迷宮から無事に帰還し、ベルたちはそのままギルドへ向かった

ベル「そういえば、朝来た時はここで待っててもらったけど、3人もギルマスの部屋に行ってみる?」

テレス「ギルドマスターってそんなに簡単に会えるものなの?」

ベル「ランクも関係あるかもしれないけど、俺は自由に合わせてくれるよ」

テレス「…帝王様だからってこと?」

テレスはベルの耳元で囁くようにそう聞いた

ベル「それもあるかもね。で、どうする?」

テレス「朝はめんどくさいことになったから、一緒に行けるなら行きたい」

ミーファ「テレスが行くなら私も」

レミア「私も」

ベル「了解、じゃあ受付でギルマスに会えるか聞こうか」

テレス「わかったわ」

そう言って、ベルとテレスたち3人は一緒に受付へと向かい、並んだ

ラミア「次の方どうぞ」

ベル「はい、ギルマスのとこ行ってもいい?」

ラミア「ベル様、お疲れ様です。ベル様でしたら、許可なしでもギルドマスターの下へ向かっていただいて大丈夫ですよ」

ベル「一応ね、居るか確認もできるし」

ラミア「そうですか。ギルドマスターはいますので、ご自由に向かわれてください」

ベル「わかった、ありがとう」

そう言って受付を離れ、ギルドマスターの部屋へと向かった

コンコンコン

ベル「失礼します」

そう言ってギルドマスターの部屋へと入った

グラウス「今度は何の用だ?」

ベル「無事に帰ってきた報告と、ついでに手に入れたけど不要なものを売りに来た」

グラウス「そうか……で、後ろの3人が言ってた子達か?」

ベル「そう」

〔俺関連のヤバいことは言わないでね〕

グラウス〔はいはい〕

「見た目じゃわからんもんだな。こんなに可愛くても戦えるなんて、すごいもんだ」

ベル「可愛いからこそ自衛できないと危ないからね」

ベルは軽く笑いながら言っていた

テレスたちはその後ろで「可愛い」と言われて頬を赤く染めていた

グラウス「ふーん……で、手に入れた不要なものってのはどれだ?」

ベル「迷宮で手に入れたけど、テレスたちがいらないものをここに出してあげて」

ベルはそう言いながら、目の前にある対談用の机を指さした

テレス「武器とかあるけど、ここでいいの?」

ベル「いいよ、全部出しちゃって」

テレス「ほんとに?」

テレスはベルの言葉を疑っているようだった

グラウス「その子たちはお前に比べてまともだな。そこに並べてくれて大丈夫だよ」

ベルは「酷いな」

テレス「わかりました」

テレスはグラウスの言葉を聞き、迷宮で手に入れた戦利品を机へと並べていった

テレス「終わりです」

グラウス「…確認するから待っててな」

そう言いながら細かく確認していった

グラウス「まず無シリーズの剣が1本だろ?それから超級ポーション5本、最後に混合魔石だな」

テレス「はい」

グラウス「こいつのことだ、まともにどんなものか教えてもらってないだろ? どんなものか説明しようか?」

テレス「混合魔石は属性が混ざった特殊な魔石で、超級ポーションは強いポーション、剣は耐久力の高いただの鉄の剣って教えてくれましたよ」

グラウス「意外としっかり説明してやってるんだな」

ベル「俺をなんだと思ってるんだよ」

グラウス「めんどくせぇ帝王」

グラウスはテレスと目を合わせながら、ベルの方を一切見ることなくそう言っていた

ベル「さすがに酷くない?」

グラウス「そのままなんだからいいんだよ…それと、剣の説明違うぞ?」

ベル「あれ、違ったっけ?」

グラウス「あぁ、この剣は無シリーズっていうなんか変なシリーズ装備なんだよ。剣は壊れることの無い鉄の剣って感じだ。それと無シリーズって名前のくせして剣と頭と胴の装備しかドロップしたことがないんだよ」

ベル「剣が大量にドロップするのは知ってたけど、まだ頭と胴しか出てないんだ」

グラウス「シリーズって名前だから恐らく脚甲と足の装備があるはずなんだが、今のところそれらしい報告も何も無いんだよな」

ベル「何個あるかはわかってるの?」

グラウス「なんにもわかってないな。わかってるのは無シリーズって名前くらいだ」

ベル「ふーん…まぁそのうちドロップすると思うよ」

ベルは興味無さそうに適当に返事をしていた

グラウス「興味無さそうだな!おい」

ベル「だって俺が鎧とか着けてるとこ見たことある?それに俺が剣で戦ってるところ見たことある?」

グラウス「……ねぇな」

ベル「でしょ?」

グラウス「いや、だからってそんなに興味なさそうにするなよ!もしこれが超良いシリーズ装備だったらどうするんだよ」

ベル「確かに揃ったら強いけど、俺が持ってるやつの方が強いし」

グラウス「……おい、待て」

ベル「ん?」

グラウス「今、お前“揃ったら強い”って言ったな?」

ベル「…あ」

グラウス「まだ全部揃った報告もねぇし、そもそも効果もなにもわかってないのに、なんでそんなこと言えるんだ?」

ベル「……なんとなく?」

グラウス「嘘つけぇぇぇ!!」

ベル「……じゃあ今のナシで」

グラウス「いや、遅ぇよ! なんで知ってんだよ、お前!」

ベル「ごめん、口滑らせた」

グラウス「謝ればいいってもんじゃねぇ!!」

ベルは素直に謝ったが、グラウスの鋭いツッコミが飛んできた

ベル「俺ってギルマスに滅多に謝らないじゃん?だから謝ったから許して?」

グラウス「いや、そういう問題じゃねぇんだよ!!」

ベル「ダメ?」

グラウス「ダメに決まってんだろ!」

ベルは反省する様子もなく、とぼけた顔でグラウスを見ていた

ベル「はぁ……仕方ないなぁ、ちょうどここに剣があるし、特別に見せてあげるよ」

グラウス「お前、その言い方がすでに怪しいんだが……」

ベル「まぁまぁ、特別に見せてあげるって言ってるんだから、素直に喜んでよ」

グラウス「余計に怪しいんだよ!!」

ベル「やるのはいいけど、この剣、使い物にならなくなるけどいい?」

グラウス「おいおい、使い物にならなくなるってどういう意味だ?」

ベル「そのままの意味だよ? まぁ、やるのはいいけど、後で文句はナシね?」

グラウス「……やばいのだけはやめてくれよ!!」

ベル「その辺は大丈夫、テレスたちもいるから、危ないことはしないよ」

グラウス「おい、危ないことはしないって言っても…お前がやったら何が起きるかわかんねぇだろ!」

ベル「大丈夫だってば。この剣を特別にセット効果が発動した状態にしてあげるから、剣がどうなるか見てなって」

グラウス「お前の大丈夫が1番あてにならねぇよ!」

グラウスの言葉を無視して、ベルは机に置いてあった剣を手に取り、本来なら無シリーズの装備を全て装備した時にしか発動しないセット効果を無理やり発動させた

すぐに鉄の剣から、虹色の光が一瞬だけ溢れ出した。その光が消えると、剣の刃は水晶のように半透明に変わり、繊細で美しい輝きを放ち始めた。刃はまるで精緻に彫られた芸術品のようで、持ち手にも変化が現れ、力強さと同時に神秘的な気配が漂っていた

ベル「これが無シリーズの剣がセット効果を発動した時の姿だよ」

グラウス「本当に同じもの、なのか?」

テレス「綺麗!」

ミーファ「さっきまでと全然違う!」

レミア「全然違う!」

グラウスは疑い、テレスたちは純粋に剣の見た目に驚いていた

ベル「同じだよ? 見たいって言うからせっかく見せてあげたのに、疑うの?」

グラウス「そうか、ならそれはどのくらい変わってるんだ?」

ベル「うーん……神話級に匹敵するくらい強くなるかな」

グラウス「ん!?」

目玉が飛び出るほど驚いていた

ベル「これはギルマスにあげるから、好きに鑑定とかしちゃって」

グラウス「神話級に匹敵するもんを、置いて行くなよ。危ねぇから」

ベル「別にいいよ。だって、今は無理やりセット効果を発動させた状態だから、いつか勝手に解除されると思うし、たとえ使えるとしても不安定すぎてまともに使えるとは思えないからね」

グラウス「ならありがたく貰っておくよ。鑑定だけなら構わないんだろ?」

ベル「お好きにどうぞ……ただ、鑑定くらいなら問題ないけど、剣のスキルを使うのはオススメできない。死にたくなければね」

グラウス(スキルまであるのかよ)

「わかった、気をつける」

ベル「じゃあこの辺の買取をお願い、もちろん剣の分もお願いね」

グラウス「くれたんじゃないのかよ」

ベル「いいや?テレスたちが売ったものをギルドが買い取る、その買い取ったものを使って俺がギルマスの要望に応えてあげた、だからきっちり払ってね」

グラウス「はいはい、そうかよ。ちょっと待っとけ」

そう言ってグラウスは超級ポーション5本と混合魔石を持って部屋を出て行った

テレス「ベルくんって、ギルドマスターの前だといつもこんな感じなの?」

ベル「そうだよ?」

テレス「私たちと話す時とは違うからちょっと新鮮だね」

ベル「そうかな?」

テレス「そうだよ、私たちとギルドマスターに対する態度が全然違うし」

ミーファ「それに、ギルドマスターの言い方を聞いてると、ベルくんっていつもとんでもないことしてるみたいだね」

ベル「まぁ…確かにね。相手がギルマスだからって、わざわざかしこまってやる必要はないし、自由にやってるよ」

ミーファ「まぁそうだよね、ベルくんの方が偉いし」

そんなことを話していると、意外と早くグラウスが戻ってきた

グラウス「お待たせさん。じゃあ早速だが、これが剣の代金の金貨1枚、それから超級ポーション5本で金貨10枚な。最後の混合魔石は金貨7枚で買い取るぞ」

テレス「意外と貰えるんだ」

グラウス「どれが意外だ?」

さっきまでベルと話していた時とは違い、穏やかな口調で優しく聞いていた

テレス「ポーションと魔石です」

グラウス「……お前、ポーションの説明もしてやってないのか?」

ベル「価値を知らないだけだよ」

グラウス「そうかよ。超級ポーションってのはな、例えば腕を切られたとしても、傷口をくっつけながらポーションを飲んだりかけたりすれば治るかもしれないってレベルの代物だ。だからこれくらいの値がつくんだよ」

テレス「そんなにすごいんですね……じゃあ魔石は?」

グラウス「混合魔石ってのは、複数の属性の性質を併せ持つ特殊な魔石だ。例えば、炎の魔法を強化するなら炎の魔石を使った杖がいいが、普通の魔石は単一属性しか持たない。でも、混合魔石なら炎と水、風と土みたいに、2つ以上の属性を強化できる。だから複数属性を扱う魔法使いに重宝されるんだ。もちろん、混ざってる属性が多いほど価値は跳ね上がる」

テレス「なるほど……あれはいくつありました?」

グラウス「あれは火と水と聖だったぞ」

テレス「3つ?」

グラウス「ああ。ただ、3つ目が聖属性じゃなければ、もう少し価値が上がったかもしれないが……残念だったな」

テレス「そうなんですか?」

グラウス「聖属性は適性を持ってるやつが少なすぎて、需要が低い。だから実質ハズレってわけだ」

テレス「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます」

グラウス「おう。 そいつ ベル がいるから大丈夫だとは思うが、暗くなる前に帰れよ」

テレス「はい」

グラウスは、まるでベルやテレスたちを追い出すように、強引に話を締めくくった

ベル「はいはい、帰れって言うなら帰るよ。ありがとう」

グラウス「気をつけて帰れよ」

ベルたちは、グラウスの望み通り素直にギルドを後にし、城へと帰って行った

その後グラウスは、帰ったのを見届けると、「ようやく帰ったか……」 とでも言いたげに息をつき、山積みの書類を見つめていた

グラウス「さて、仕事に戻るか……」

そう呟きながら、ベルのせいで仕事が増えなかったことを心の中で密かに感謝しつつ、再びギルドマスターとしての業務に取り掛かった