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555話 共有の後の地獄

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555話 共有の後の地獄

前回の最後に言っていた通り、長くなっております

あれからテレスの後にミーファとレミアもアクセサリーについて説明し、最後にベルがセット効果について説明をした

ハンク「……頭おかしいな。全部やばすぎだろ」

ベル「SS迷宮は危険な分、それだけいいものが手に入るってことだよ」

ハンク「それにしてもレベルが違うよな。EXとかになると、もっとやばいのが手に入るってことだもんな」

ベル「そうだね……まぁ、取りに行くのはおすすめしないけど」

ハンク「行くわけないだろ、俺レベルだとS迷宮でも厳しいわ」

ベル「そうしな」

ハンク「もちろん。それと、もう終わりなのか?」

ベル「何が?」

ハンク「迷宮の話」

ベル「うん、終わりだよ。このアクセサリーを手に入れたところで帰ってきたからね」

ハンク「そうなのか、なら思ったよりも時間が余ったな」

ベル「そうだね」

ベルとハンクが時計を見ながら話していると

テレス「じゃあさ、ちゃんとできているかテストしてよ」

ベル「テスト?」

テレス「そう、私たちが即着の効果を付与できたら、その服をベルくんが着てくれるって約束だったでしょ?」

ベル「そうだっけ?」

ベルはとぼけるように言いながら、少し目を逸らしていた

テレス「そうだよ!私は覚えてるもん!」

ミーファ「私も覚えてるよ」

レミア「しっかり言ってたの覚えてるよ!」

ベル「嫌だって言ったら?」

テレス「ベルくんはなんだかんだ言って約束は守ってくれるって信じてるよ」

3つの信用の眼差しが、ベルに向けられていた

ベル「はぁ……見せてみて」

テレス「やったね!」

ミーファ「私たちの勝ち!」

レミア「やった!」

3人は勝ち誇ったように笑顔を浮かべ、約束していた服を机へと並べていた

ベル「……そうだ、3人ともあのゲートの中に入ってみない?」

テレス「突然どうしたの?」

ミーファ「急にどうしたの?」

レミア「いきなりだね」

ベル「いいじゃんいいじゃん、入ってみたかったでしょ?」

テレス「確かにそうだけど…」

ミーファ「確かに見てみたいけど…」

レミア「それはそうだけど…」

3人は顔を見合わせていた

テレス「その前に即着が先だよ」

ベル「もういいじゃん、即着なら俺が使えるからさ?」

テレス「どうして?」

ベル「………どんな服を着ようが別にいいんだよ…だけど、テレスたちに見られるのは恥ずかしいじゃん」

ベルは絶望と恥ずかしさで両手で顔を隠しながら、渋々認めていた

テレス「ベルくんに恥ずかしいって感情あったんだね」

ベル「なに?俺に恥ずかしさがないとでも思ってたの?」

テレス「別にそういう訳じゃないけど、今まで猫耳とかメイド服とか着てくれたり、髪も色々やらせてもらってたから、恥ずかしさとかないと思ってた」

ベル「別に好きでやってるわけじゃないからね?むしろその全てに君たちが関与してるからね?」

テレス「ごめんなさい。でも、可愛いから仕方ないじゃん!ベルくんがかわいいのがいけないんだよ!」

ミーファ「そうだそうだ!」

レミア「そうだそうだ!」

テレスの言葉を聞き、2人も便乗するように声を上げていた

ベル「ハンクはどう思う?」

ハンク「俺に振るな……まぁ否定はしない」

ハンクは少し恥ずかしいのか視線を逸らしながら言っていた

テレス「はい私たちの勝ち!」

ベル「……」

ベルは机に置かれた服を見つめ、少しして1着の服へと手を置いた

ベル『即着』

声に出した瞬間、ベルの服は一瞬でテレスの選んだドレスへと変わった。

それは淡い水色のふんわりとしたドレス。

裾には幾重にも重なるフリルが波打ち、小さなリボンや花の刺繍が可憐なアクセントを添えている。

肩を包むのはふわっとしたパフスリーブで、胸元には繊細なレースが優雅に彩られていた。

まるで幼い王女様が特別な日に身にまとうような、とても可愛らしいドレスだった

テレス「……」

ミーファ「……」

レミア「……」

ベル「な、何か言ってよ」

3人はベルのドレス姿に目を奪われ、言葉もなくただ呆然と見つめていた

ベル「もういいなら着替えちゃうよ?……さすがにこれは恥ずかしいし」

テレス「え!?…ダメダメまだダメ!まだ目に焼き付けられてないもん!」

ミーファ「まだダメ!」

レミア「ダメだよ!」

何も言われず見つめられていたベルは、その状況に耐えかねて着替えようとしたら3人に全力で停められてしまった

ベル「あと10分だけね、時間が来たらすぐ着替えるから」

テレス「短いよ!」

ベル「知らない!10分って言ったらあと10分です!」

テレス「ぶー〜」

ベルにキッパリと断られ、テレスは不満そうに頬を膨らませながら言っていた

ベル「…ハンクはどうなのさ、何も言ってくれないけど」

ハンク「…へ?……俺?」

ベル「うん」

ハンク「普段のあの可愛げのない黒い服よりはマシだと思うぞ、むしろこっちの方がいいんじゃないか?ドレスとかを着ている方がお前の見た目的には正しいと思うけどな」

ハンクはまるで照れ隠しをするためにあえてからかっているようだった

ベル「バカが、俺が自主的に着るわけないじゃん」

ハンク「それもそうだな、もし着てたら今頃どっかの国の王子とかが、お前の可愛さに惚れて取り合って戦争でも起きてるだろうしな」

ハンクは笑いながらそう言うと

ベル「ハンクならする?」

意地悪をするような笑顔でそう聞いた

ハンク「…お前の性格を知ってるからするわけない」

ベル「もし見た目しか知らなければ」

ハンク「……」

ハンクはそう聞かれて、しばらく静かに目を逸らしていた

ベル「まぁいいや。もういい?」

ベルはハンクが返答に困ったのを見て、話を切りかえた

テレス「まだダメ、まだ5分残ってる」

ベル「そう…」

ハンクと話している間に、テレスたち3人はベルの周りをぐるぐると回りながら、珍しいドレス姿を少しでも長く見ようと、その目に焼き付けるかのように真剣な眼差しを向けていた。

うっとりとした表情を浮かべつつ、時折ため息まで漏らしながら、ベルを観察することに全力を注いでいる様子だった。

あまりに真剣に見つめられているため、ベルでもさすがに恥ずかしいようで、少し頬を赤くしていた。

視線の熱に耐えきれず、思わず目を逸らそうとするが、テレスたちは容赦なくその可愛らしい姿を追い続ける。

まるで逃さないと言わんばかりの3人に見つめられ、ベルの頬はさらに赤みを増していった

時間が経つごとに羞恥心は募るばかりで、ベルの心は限界寸前。

それでもテレスたちの満足げな表情を見ると、無理に止めるのもためらわれ、必死に耐え続けていた。

そして、ついに5分が経過した瞬間

ベル「はい終わり!もう着替えるよ!」

待ってましたと言わんばかりに、ベルは3人に有無を言わせず即座に元の服へと着替えた

テレス「えぇー!もうちょっと見てたかったのに!」

ミーファ「早すぎるよ!」

レミア「記憶には焼き付けたけど、やっぱりもう一回……」

ベル「絶対にダメ!」

断固として拒否していた

テレス「そっか、残念……でも、どうしてメイド服は平気なのに、このドレスはそんなに嫌なの?」

ミーファ「ベルくん、メイド服は大丈夫って自分でも言ってたのに?」

レミア「ねぇ、もう一回だけ着てくれてもいいんじゃない?」

ベル「嫌です、どんなお願いをされてももう着ません」

テレス「えぇ〜……」

それでも納得いかない様子のテレスに、ベルは観念したように説明を始めた

ベル「メイド服はメイドという職業の仕事着みたいな感じだからいいの。だけど、これは完全に俺用に作られた服だから恥ずかしいんだよ!」

テレス「……まぁ、そう言われたら仕方ないか」

ミーファ「でも、すごく似合ってたよ?」

レミア「うん。もう一回見たい気持ちは変わらないけど……」

ベル「だから嫌だって、それにあと2着あるんだから許してよ」

半分諦めたような力の抜けた声で呟いていた

テレス「そうだった!!今来てもらってたのが私のだから、まだミーファとレミアの分が残ってるじゃん!」

ミーファ「あまりの可愛さに完全に忘れてた!」

レミア「今のドレス姿をもう見れないのは悲しいけど、まだ次があるもんね!」

3人はあと2着残っていることを思い出し、喜びとワクワクでとても笑顔になっていた

ベル「…ちなみにゲートに行ってみたりは?」

テレス「こっちの方が先!ゲートは後!」

ベルが気をそらそうとそんな提案をすると、テレスは即座に首を横に振り、机に置かれた服を指差して真剣な表情で言っていた

テレス「絶対に曲げないよ。これが先だもん!」

ベル「……5分待って、心の準備するから」

テレス「可愛いベルくんを見るためなら、そのくらい待つよ!」

ミーファ「うんうん!」

レミア「うん!」

嬉しそうに頷く3人を横目に、ベルはそっとため息をついた。

静かに目を閉じ、気持ちを落ち着けようとするが、先ほどの視線の熱を思い出すたびに身震いしていた

ベル(…もうどうにでもなれ)

そんな心の声を押し殺しながら、ベルは意を決して机に置かれた服へと手を伸ばした

ベル『即着』

そう呟いた瞬間、再びベルの姿は一瞬で別の服へと変わった

今度の服はミーファの選んだ、ふんわりとした白色のカーディガンに、桜色のスカート。

スカートには満開の桜の花がレースのように繊細な模様で描かれており、まるで春風に舞う花びらが優しく揺れているかのようだった

テレス「きゃー!今度のも可愛い!」

ミーファ「桜の柄がすごく綺麗!」

レミア「白と桜色の組み合わせ、ベルくんにぴったりだね!」

ベルは恥ずかしさを堪えつつも、再びじっと見つめられる視線から逃げられないことを悟り、諦めたような笑顔で固まっていた。

まるで心を無にすることで、羞恥心を誤魔化そうとしているようだ

テレス「はぁ……どうしてベルくんはこんなに可愛いんだろ…不思議」

テレスはうっとりとした表情で、夢見るように呟いていた

ベル「今回もあと10分ね」

力のない声で伝えると

テレス「えぇ〜!」

ミーファ「少しくらいおまけしてよ!」

レミア「ちょっとぐらい伸ばしてくれてもいいじゃん!」

3人はそれぞれ口を尖らせながら、不満そうに文句を言っていた

ベル「文句があるなら次のは着ないからね」

テレス「なんでもない!」

ミーファ「文句なんて言ってないよ!気のせいじゃない?」

レミア「うんうん!何も無い!」

ベルの言葉に、3人は慌てたように全力で否定していた

それから先程と同じように、3人に熱い視線を浴びながら耐えていると

ピクシー《少しくらいおまけしてあげてもいいんじゃないですか?》

無心で耐えていたベルの心の中へピクシーが野次を飛ばしに来た

ベル《嫌です》

ピクシー《マスターがテレス様方には不可能だと思って課した課題を、3人が見事に突破してきたのですから、少しぐらいおまけしてあげてもいいのでは?》

ベル《服を着ている姿を見せてあげてるだけでもいいじゃん、これだけでも地獄なんだから》

ピクシー《マスターは可愛いんですから、もっと可愛いポーズとかしてあげたらどうですか?》

ベル(……もうやだ、ピクシーまで敵サイドに落ちでるよ)

1番安全と思われた心の中でさえ、敵しかいないことにベルは落ち込んでいた

それからベルはテレスたちの熱い視線と、心の中から聞こえてくるピクシーの声をできるだけ気にしないように、10分という長い時間を耐えていた

ベル「はい終わり、もう終わり!」

そう言ってすぐに元の服へと着替えた

テレス「ちぇ、止める間もなく着替えられちゃった…!」

ミーファ「物足りないよ…もうちょっとだけでも見たかったな」

レミア「うーん、名残惜しいけど、でも次があるから我慢するしかないか…」

テレスたち3人は「もっと見たい」という気持ちと「次がある」と自分に言い聞かせる気持ちが入り混じり、複雑な表情でベルを見つめていた

ベル「……忘れてたけど、ハンクはどうなの?」

ハンク「いいんじゃないか?お前さくらってのが好きみたいだし……スカートも…なかなかいい感じだと思うぞ…」

ハンクは少し照れ隠しながらも、服のほうに重点を置いて話していた

ベル「…そう」

疲れたように返事をしていた

ベル「みんなはここで待ってて、俺は心の回復と心の準備してくるから」

そう言って、最後の服を手に持って部屋にあるゲートへと逃げるように入っていった

テレス「心の回復って、そんなにベルくんに負担かけてるのかな」

ミーファ「どうだろう?口では嫌がってるけど、ちゃんと着てくれてるもんね」

レミア「負担になってるんだったら、私たちのことを嫌いになったりするかもしれないね」

テレス「そうならないといいけど」

ベルの言葉を聞いて、テレスたちは少し不安になっていた

ハンク「恥ずかしいって本人が言ってたわけだし、10分とはいえそれだけの時間恥ずかしさに耐えてるんだから、それなりに心はすり減るだろうな」

テレス「……じゃあ、やめた方がいいのかな」

ベルが疲弊していることに気づき、テレスはとても不安そうな表情を浮かべていた

ハンク「まぁ、大丈夫だろ。ほんとに嫌なら、隠れたり転移したりして逃げてると思うぞ」

テレス「それもそっか。ベルくんなら逃げようと思えば、誰にも気づかれずに消えちゃうもんね」

ハンク「そうだろ?だから心配しすぎだよ」

そんなことを話しながら、ベルが出てくるのを待っていた

それから5分後、ゲートからベルが優雅に歩いて出てきた

テレス「嘘……さっきまでと全然雰囲気が違う…! まるでおとぎ話のお姫様みたい…!」

ミーファ「さっきまでと…レベルが違う…! なんかもう、言葉が出ない…!」

レミア「これは…間違いない! 1番の当たりを引いたのかもしれない!」

ゲートから出てきたベルを見たテレスたちは、先程見た2つの衣装の時とは比べ物にならないほどの衝撃を受けていた

ベルが身にまとっているのは、レミアの選んだ淡いピンク色のウエディングドレス。柔らかな色合いが彼の可憐な雰囲気を引き立て、華やかさの中に上品さを感じさせる一着だった

トップスはストラップレスのデザインで、肩を大胆に露出しつつも、品のある美しさを演出している。胸元には繊細に施された桜の刺繍が広がり、その花びら1つ1つが丁寧に縫い上げられている。刺繍の色は柔らかな桜色に合わせつつ、花の輪郭は金や銀色の糸で縁取られており、光が当たるたびにきらめきを放っていた

さらに、胸元からウエストラインにかけて、同じく桜の刺繍が流れるように施されていて、細かく描かれた枝や花びらが、ベルの華奢なシルエットをより一層引き立てるようなデザインになっている。刺繍の上には繊細なレースが重ねられており、透け感のある素材が肌を優しく包み込むように仕立てられていた

ウエスト部分には、美しいフリルがあしらわれ、柔らかな曲線を描いていた。これにより、スカートとの切り替えが自然に見え、ドレス全体に立体感と動きが生まれている

そして最大の特徴は、まるで幻想の世界から抜け出したかのようなファンタジートレーン。後ろに長く引かれたトレーンは約5メートルにも及び、その圧倒的な存在感がベルの姿をより神秘的に見せていた

このトレーンにも、桜の刺繍と豪華なレース、そして繊細なフリルが惜しみなく施されている。無数の花びらが生地の上に広がり、金と銀の糸が織りなす輝きが、一歩踏み出すごとに美しい光の筋を描く

まさに、華麗さと可憐さを併せ持つ一着。ベルがそのドレスに身を包むことで、まるで物語の中の王女様が飛び出してきたのかとも思えた

さらにベルの髪は、まるで花の王冠をかぶったかのように美しく飾られていた。クラウンブレイドスタイルで、頭の周りをぐるりと編み込まれた髪が、まるで王女の冠のように輝いていた。その編み込みは緻密で、外側にはしっかりと見えるように編み目が浮かび上がり、髪全体に立体感を与えていた

内側には、桜の花や葉っぱが繊細に飾り付けられており、花の柔らかなピンク色が編み込みの間から覗く様子は、まるで春の風が吹き抜けたような、優雅で軽やかな印象を与えている。桜の花は一つ一つ丁寧に配置され、葉っぱもバランスよく散りばめられ、花冠のように華やかさを引き立てていた

後ろの髪は、編み込まれた部分から自然に流れ、何も手を加えずに柔らかく肩にかかっている。風に揺れるその髪は、全体のスタイルに軽やかさと動きを加え、ベルの優雅さを一層際立たせていた。花と編み込みが織りなすこの髪型は、まるで春の祭りのような華やかさと、自然の美しさを感じさせる一品であり、まさにベルを特別な存在に見せていた

全体的に、この髪型は華やかさと自然さを兼ね備えており、ベルの顔立ちとドレスにぴったりと調和し、まるで桜の精霊にでもなったかのようだ

{作者 調子に乗りすぎました}

ベル「お望み通り、サービスしてあげたよ。どうかな?」

テレス「…最高……!!」

ミーファ「…ここで死んでもいい…」

レミア「良すぎて、このまま飾りたい!」

ベル「遠慮します。だけど、ドレスだけならあげるけど」

レミア「ドレスだけはいいや、ベルくんがいないと価値がない」

ベル「そう」

先程までとは違い、ベルの表情にはどこか吹っ切れたような自信が溢れていた

ベル「ハンクはどう思う?」

ハンク「桜の精霊みたいだな。人間には見えん」

ベル「そうかい。まぁなんでもいいんだけど」

そこから、テレスたちに全身を見つめられながら、時間が過ぎるのを待っていた

ベル「じゃあ、終わり!」

テレス「何回も同じことはさせないよ!」

ミーファ「私たちも学習してるんだから!」

そう言って着替えようとしたが、両手をテレスとミーファに抑えられてしまった

そう言って着替えようとしたが、両手をテレスとミーファに抑えられてしまった。

ベル「何をする。離せ〜」

ベルは半分ふざけたように言いながら、身を捩って拘束を解こうとしていた。

テレス「レミア!ベルくんの服を持って逃げて!」

レミア「わかった!」

そう返事をして、レミアはベルの服を探したが、

レミア「どこにもないよ!?」

テレス「どうして!さっきまであったじゃん!」

ベル「残念でした。なぜ俺が中で着替えたのか、そして俺の服がどこへ行ったのか、不思議だねぇ〜」

テレス「っ!…ベルくんの服、ちょうだい!」

ベル「嫌です。着替えられないように持って逃げる気でしょ」

テレス「そ、そんなことないよ!」

ベル「じゃあ特別に、あと10分延長してあげる」

テレス「やった!ベルくん優しい〜」

ベル「その代わり、ここの床に散らばった花びらを全てゲートの中へ戻してね」

テレス「こ、これ全部?」

今ベルが立っている場所の背後に桜の空間へと繋がるゲートがあり、そこからベルの間には大量の花びらが散乱していた

ベル「うん、俺はあのゲートの中で待ってるから、片付けたらおいで。時間は俺がゲートに入った瞬間からスタートするから、早くしないと見れないよ?」

そう言い残し、ベルはゲートへと入っていった

テレス「急がなきゃ!!」

ミーファ「早く!!」

レミア「早く早く!」

慌ただしくテレスたち3人は花びらを手ですくいあげてゲートの中へ投げ込むというのを繰り返したが、なかなか終わる気配がない

テレス「どれだけあるのよ!!…ハンクくんも手伝って!」

ハンク「俺、見なくてもいいんだけど」

テレス「いいから手伝って!!」

ハンク「…わかったよ」

最初はやる気がなかったが、テレスのあまりの剣幕に恐怖し、ハンクは渋々手伝い始めた

テレス「お、終わった!」

ミーファ「無駄に疲れた…」

レミア「時間ないから早く行くよ!」

風魔法を使ったりと、3人は工夫を凝らし、地面に散乱していた花びらを迅速にゲートの中へと返していった

テレス「行くよ!」

その合図とともに、3人は一斉にゲートへと足を踏み入れた

テレス「ここはここですご…!」

ミーファ「何ここ…!」

レミア「すご…!」

ゲートの中は、どこを見ても桜が生い茂る空間で、地面には30cmほど積もった桜の花びらが一面を埋め尽くしてい

テレス「どこにいるんだろう?」

ミーファ「これだけ木が生えてたら、見つけるの大変だね」

レミア「魔力感知でも探せない。ここにある木も花びらも全部魔力を持ってるから、感知が乱される…」

テレス「とりあえず、この跡を辿って真っ直ぐ行ってみよう」

ミーファ「そうね」

レミア「行ってみよう!」

そう言って、3人はゲートに入った時に目の前の地面に残っていた跡を辿りながら進んでいった

テレス「あ!いた!」

ミーファ「ほんとだ!」

レミア「見つかってよかった!」

テレスが指差す先には、この空間の中でも一際大きな桜の木があり、その下でベルが3人に背を向けて静かに待っていた。まるで、新郎が新婦のもとへ歩み寄るのを待つかのように

テレス「どこにいるかくらい教えてよ」

ベル「ごめんね、ここの木々たちが魔力を持っているのをすっかり忘れていたわ」

テレス「……ベルくん?」

そう言いながら振り返ったベルの声や顔つき、話し方などが普段のベルとは全く違うものになっていた

ベル「どうしたの?」

テレス「いや…声は普段からたまに変えて遊んでるの知ってるからいいんだけど、話し方とか雰囲気が全然違うからびっくりしてる」

ミーファ「なんというか、大人の女性って感じ」

レミア「髪型も顔も服だってさっき見た時と一緒なのに、全然雰囲気がが違う」

普段と違うベルを見て、3人は驚きつつもこの状況を楽しんでいるようだった

ベル「そうかしら?私はあなたたちをここで待っていただけなのだけれど、不思議ねぇ…」

テレス「そうね……で、今度は何を企んでるの?」

ベル「何も?吹っ切れでもしないと恥ずか死するから」

テレス「そっか、普段からそれでいいんじゃない?」

ベル「それはめんどくさい」

テレス「いつものベルくんだ」

ベル「ちなみにあと3分」

テレス「え!?」

ミーファ「先言ってよ!!」

レミア「もっと早く言って欲しかった!」

ベルを見つけてから、テレスたちは周りの桜に圧倒され、制限時間があることをすっかり忘れていた

ベル「部屋に散らばった花びらは掃除してくれた?」

テレス「したよ、全部ゲートの中に入れておいた」

ベル「ありがとう、ご褒美に5分追加」

テレス「やった!」

ミーファ「今度こそ目に焼きつけるよ!」

レミア「一生分くらい見ておかないと!」

そう言って、テレスたちは満面の笑みを浮かべながら、残りの時間を堪能していた

ベル「はい、終了です」

テレス「も、もう少し!」

ベル「ダメです」

『即着』

空間収納を開き、手をその中に入れて即着を発動。その瞬間、ベルはウエディングドレスから普段の服へと戻った

テレス「あーあ、もう終わっちゃった」

ミーファ「終わっちゃったね」

レミア「3つとも可愛かったけど、一瞬だったね」

ベルはテレスたちが選んだ3着に着替えていたが、その間におおよそ1時間が経過していた。1時間経過していたにも関わらず、テレスたちにはあっという間に感じられたようだ

ベル「じゃあ俺のファッションショーは終わり、あとはこの空間でも堪能しておいて」

テレス「そうするわね。それより、即着は上手く付与できていたの?」

ベル「それ聞く意味ある?」

分かりきっていることを聞いてきたため、ベルは呆れたように聞いていた

テレス「一応ね」

ベル「即着がちゃんと付与されていたから、俺が着ることになったんだけど?それとも嘘ついて着なくても良かった?」

テレス「ごめんね!ありがとう!!」

そう言って、テレスたちは1番大きな桜の木の下へ向かった

ベル「あ、そうだ。ここに落ちてる桜の花びらにはあまり触れすぎないようにね」

テレス「どうして?危ないの?」

ベル「いや、そういう訳じゃないけど、あまり触れすぎると香りが服とかに移っちゃうよ」

テレス「…もう手遅れな気がするんだけど」

テレスは自分たちの足元を見てそう言っていた、テレスたち3人はドレスのような服を来ていて、スカートが足首ほどあるためガッツリ桜の花びらに埋もれていた

ベル「それもそっか、まぁ短時間ならすぐ取れるから安心して」

テレス「もし長時間触れ続けたら?」

ベル「前にテレスたちが俺から“この香りがする”って言ったでしょ?」

テレス「うん、ここはまさにベルくんの香りがするよ」

ベル「そうなる」

テレス「ん?」

ベル「だから、あまり触れすぎると香りが取れなくなっちゃうくらい染み付いちゃうから、気をつけて」

テレス「じゃあ、ベルくんはずっとここにいるってこと?」

ベル「そうだよ、暇な時は基本ここにいる」

テレス「いるだけならそんなに移らないと思うんだけど」

ベル「俺が普段どうなってるか見せてあげるよ」

ベルはそう言いながら1番大きな桜の木の下へ移動し、木の横で横になった

ベル「いつもだいたいこれ」

テレス「埋もれちゃってどこにいるか分からないよ、そうなってたら取れなくなるのも納得」

この空間の地面には30cmほど花びらが積もっているため、ベルが横になると体は完全に見えなくなっていた

ベル「そういうこと、じゃあ気が済んだら出ておいで」

テレス「うん、色々見て回るね」

そう言ってベルとテレスたちは別行動を始めた

改めて説明すると、この空間の中心に1番大きな桜の木があり、そのまわりにはあらゆる種類の桜の木が沢山生えている

ベル「ハンクは中を見に行かなくていいの?」

ハンク「見た方がいいか?」

ベル「どっちでもいいけど、見たら俺の桜好きがどの程度が分かると思う」

ハンク「見てくるか」

ベル「そうしな」

そう言ってハンクもゲートの中へと入って行った

そうして、テレスたちとハンクは桜の空間を堪能し、気がつけばお風呂の時間になって、お風呂に入って5日目の夜が終了した

次の投稿は2日後の30日、その次が4月4日になります

この後の数話は全体的に長めになります

(今回ほど長くはありません)