558話 トラブル発生!
558話 トラブル発生!
最後にちょっとしたお知らせがあります
お昼ご飯を食べてからかなり進み、もう少しでマーベルド王都の外壁が見える場所まで移動してきた
道はある程度開けているものの、左右は鬱蒼とした森に挟まれている。木々の隙間からは時折、小鳥のさえずりが聞こえてくる
そんな穏やかな景色の中、馬車は順調に進んでいた
だが、その平和な光景の裏で、確実に迫る気配があった
??「……来たか。このまま静かに、確実に……絶対に逃がすな」
低く押し殺した声が、茂みの奥から漏れた
そして次の瞬間、ガサリと大きな音が響いた
道の両側の森から、複数の影が勢いよく飛び出してきた
武器を手にした盗賊たちに、一斉に馬車の隊列を取り囲まれた
盗賊A「へへっ、大人しくしろよ。この人数相手に逆らったらどうなるか、わかるよな?」
鋭い笑みを浮かべ、盗賊の一人が挑発するように声を上げた
一瞬の静寂。だが、その場に漂う緊張は一気に高まった
ベル「チッ…」
テレス「どうするの、ベルくん!」
ベル「大丈夫。盗賊なんて雑魚の集まりだし、みんなでなら簡単に倒せるよ。頑張って」
『システィーナへ 念話〔念話〔怪我したら全部治してあげるから、普段習ってる通りに戦うこと。もちろん命がかかってるから、危険と判断したら迷わず逃げること。全体にそう伝えて〕』
システィーナ〔戦わせていいの?〕
ベル〔自衛程度にはね。命までは取らなくていい〕
システィーナ〔分かったわ。でも私はまだ使い慣れていないから、全体への念話は無理よ!〕
ベル〔そっか、じゃあ俺が念話を繋ぐから、声だけ届けて〕
システィーナ〔了解!〕
ベル『遠隔発動 対象 システィーナ 発動スキル 念話 味方全員へ』
〔いつでもいいよ〕
ベルがシスティーナにそう指示を出すと、彼女はすぐに念話を届けた。
システィーナ〔生徒全員へ通達! 怪我をしてもベルくんがちゃんと治してくれるわ! だから、盗賊から何がなんでも自分の命を守りなさい! 先生と冒険者チームは、生徒の安全を第一に、必要なら盗賊の捕縛を!〕
瞬時に全体へ指示が出された
ベル「みんなは戦わなくてもいいけど、冒険者チームの人数も限られてるから、危険なら自分の身を守るために戦ってね。もちろん戦えるなら参加してもいいよ」
テレス「いいの?」
ベル「もちろん。怖いならここに隠れてればいいさ。きっとかっこいい男の子たちが守ってくれるからね」
そう言ってベルはチラッとハンクに視線を送る
ハンク「お、おう!任せろ!」
ベル「俺は全体を確認するから、ここはハンクに任せるよ」
ハンク「任せとけ!」
ベル「テレスたちにも一応言っておくけど、何があっても俺が絶対に何とかしてあげる。だから、危険だと判断したら戦ってね」
テレス「わ、わかったわ」
ベル「何かあればすぐ叫んで。俺がそこへ行くから。じゃ」
テレス(ベルくんの目がいつもと違う…怒ってるみたい)
そう言ってベルはひらりと馬車の屋根の上へと上がった
ベル(ふむふむ……盗賊の数がやたら多いな)
長い列を囲うほどの人数が揃っており、かなりの規模の盗賊団だった
ベル(とりあえず、指示を出さなきゃな)
『騎士の冒険者役へ 念話〔わかってるとは思うけど、盗賊の制圧をお願い。今回一番重要なのは生徒の命だよ。生徒だけはお前たちの身を呈してでも守って、必ず。その次に盗賊を殺さず制圧して。子供の前だから殺しは控えて、お願い〕』
騎士〔わかりました。でも、身を呈してでもって……俺たちが死んでもいいってことですか?〕
ベル〔ふっ、こんな奴らにやられるようなお前らじゃないだろ?〕
騎士〔違ぇねぇな〕
ベル〔もちろん治してやるから、安心して守って。身を呈して生徒を守った英雄には白金貨10枚のボーナス。そして生徒たちにかっこいいところを見せた奴には白金貨1枚のボーナスをくれてやる! しっかり働け!〕
騎士〔よっしゃ任せろ! ボーナスのためならやったるぜ!〕
騎士2〔最低でも白金貨1枚か……こりゃ燃えてくるな!〕
その指示と共に、騎士の冒険者役たちの動きが明らかに変わった
ベル(あいつら、余裕そうだな……って、なにあえてカッコつけてんだよ。そんなにボーナスが欲しいのか…)
『先生全員へ〔俺はここから危険そうな場所へ援護攻撃をするから。それから何かあれば叫んで、そこへ行くから〕』
その指示を出してすぐに、ベルは複数の魔法を空に向けて放ち、的確に盗賊のみを狙った攻撃を繰り出した
システィーナ〔あなたなら1人で壊滅させることができるんじゃないの?〕
ベル〔できるかできないかで言えばもちろんできるよ、だけど体験なんだからこういうことも体験しないと。それに、俺がそれをしてないってことは、ちゃんと対処できてるってことだからね〕
システィーナ〔それもそうね、ほんとに危険なら任せたわよ〕
ベル〔もちろん、生徒たちに血の一滴も出させないから〕
そこから数分が流れ、冒険者チームと先生だけでもある程度対処出来ていて、生徒の数十人が戦闘に参加しているようだった
ベル(この盗賊が一対多で戦う戦略をしてくれて助かった、それぞれ動かれてたら今頃大変だった)
システィーナ〔ベルくん!冒険者役の人が生徒守るために刺されたんだけど!〕
ベル〔了解、すぐ行く〕
その報告を聞き、ベルは急いで現場へと駆けつけた
ベル「誰が刺された?」
生徒1「あの人!あの人なんだけど刺されたのに戦ってるの!」
女子生徒が指さした先には、冒険者の1人が左腕から血を流しながら戦っている姿があった。その女子生徒の服には血がついており、彼女の手も震えていた
ベル「ありがとう、心配しなくても大丈夫だよ、あれだけ動けてるなら元気だから。君は隠れてて」
生徒1「私のせいで怪我しちゃったから……ベルドくんも気をつけてね!」
ベル「ありがとう」
女子生徒の目には少し涙が浮かんでいるが、それでも彼女はベルの言葉にうなずき、後ろへと下がった
そう言ってその冒険者に近付いた
ベル「身を呈してでも守れとは言ったけど、ほんとにやるやつがいるかバカたれが」
『完全回復』
騎士「いや、女子生徒の背後から近付いてたやつを見つけて、助けようとして間に合わずこうなりました」
ベル「まぁいいや、よくやった。お前は英雄だから胸を張っとけ、後で英雄ボーナスのことを仲間に自慢してやれ」
騎士「はい!」
そんなことを話しつつ、刺された騎士はさらに気合を入れて暴れ回り始めた
それから少し進んで
ベル〔ねぇねぇ、一番ヤバイやつが森に隠れてるんだけど、どうする?〕
システィーナ〔これだけいてまだ残ってるの?〕
ベル〔というか、今戦ってる奴らより強いのが、森にあと50人くらい隠れてる、その中でリーダーが1番強い〕
システィーナ〔まだそんなに!?〕
ベル〔うん、多分2部隊あって今戦ってるのが一陣、そこで奪えれば終わりだけど、ダメだったらこちらが油断したタイミングで第2陣が来るって感じだと思う〕
システィーナ〔それは私たちで対処できるの?〕
ベル〔騎士チームと白銀の吹雪のメンバー以外は、守りながらじゃ厳しいかも。それなりに強いと思うから〕
システィーナ〔そっか、じゃあリーダーは?〕
ベル〔白銀の吹雪のメンバー全員でかかってギリくらい〕
システィーナ〔そんなに強いのね〕
ベル〔うん、冒険者ランクで言うとSSくらいには強い〕
システィーナ〔はぁ?!なんでそいつは盗賊なんてやってるのよ〕
ベル〔俺に聞かれても知らないよ、もしかしたら人生に迷子だったんじゃない?〕
システィーナ〔まぁいいわ、無理そうならあなたが対処して〕
ベル〔はいはい〕
そう言ってからは特に大きな問題はなく盗賊を制圧した
システィーナ〔先生と冒険者チームへ、ベルドくん情報によると森にまだ潜伏してるみたい、だから警戒しつつとりあえず生徒の確認をお願い〕
システィーナがそう指示を出している中、ベルは冒険者チームの元へ向かっていた
ベル「ハクアさん、この2つのチームと一緒に、生徒に危害が加わらないように第2陣で来る盗賊を相手してください」
ハクア「いいけど、あなたは?ここにいる誰よりも強いでしょ?」
ベル「俺は隠れているリーダーを相手します」
ハクア「あなたが相手するってことは……強いの?」
ベル「ランクで言うとSSくらいかな」
ハクア「任せたわ」
それを聞くと、ハクアは迷いなく即答した
ベル「はい」
『システィーナへ 念話〔次の盗賊は俺と白銀の吹雪のチーム、それに騎士チームで相手するから、残りの2チームには生徒を守るのを任せて。いざこざが起きたら面倒だから、生徒を守るのが一番重要な仕事だってことも伝えて〕』
システィーナ〔わかったわ〕
すぐにシスティーナは赤の咆哮と氷塊の伝説の2つのチームへ、戦うのではなく生徒の安全を優先するよう指示を出した
ベル「じゃあ、俺が合図するからみんなは森に走って。ある程度進んだら敵が出てくると思うから、そのタイミングで俺が1発でかいのを打ち込むよ」
ハクア「さっき言ってた第2陣の奴らは全員あそこにいるの?」
ベル「そう、森の入口に真っ直ぐ並んでる。その少し後ろにリーダーが待機してる感じ」
ハクア「了解」
ベル「怪我したらすぐ治してあげるから、安心して腕の1本や2本落としてきていいよ」
ハクア「ひどっ!?」
そんな軽口を交わした後、ベルは赤の咆哮と氷塊の伝説のチームが配置についたのを確認した
ベル「突撃!」
その合図とともに、白銀の吹雪チームと騎士チームのメンバーが一斉に森へ向かって走り出した
お知らせ
次の話(559)とその次の話(560)までそのままで、561話から少し書き方を変えてみます
前に言っていた、名前の有無のやつです