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569話 短剣が導く王国への旅

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569話 短剣が導く王国への旅

ミセスさんとレストくんと別れ、ベルは王城に戻り、ボルトの元を訪れた

「もう帰ってきたのか。どうだ? 探していた人は見つかったか?」

「うん、見つかったよ。ありがとう」

「そうか、それはよかった」

書類に目を通していたボルトだったが、ベルの報告に表情を和らげた

「それで、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……いい?」

「そいつのことか?」

ベルの抱えている子犬を指さした

「違う違う、別のこと」

「そうなのか、なんだ?」

「昨日の盗賊のアジトに行って、探してた人を見つけたんだけど……帰る前に、宝物庫だけ覗いたんだよね」

「わざわざ言うってことは、何か気になる物でもあったのか?」

「見せた方が早いか。これ、見て」

ベルは盗賊のアジトで拾った短剣を取り出し、ボルトの机の上に置いた

「っ!? おい、これ……!」

ボルトは短剣を見た瞬間、目を見開いて立ち上がった

「わかった? こういう時って、どうすればいいの?」

「そんなこと、俺に聞くなよ。分かるわけないだろ」

「やっぱり、そうだよね……」

ベルは少し困ったように笑った

「紋章を見る限り、これはこの大陸の最北、カールン王国のものだな」

「カールンね、ありがとう。ここに来たのも、ほぼそれが目的だったから」

「……知らずに見せたのかよ」

「まぁね。でも、この剣の形と紋章を見て、“どこかの王家のもの”だってことはわかったよ。だから確認しに来たの」

「そうか。まぁ、こんな大事なものを捨てるわけないから……盗まれたんだろうな」

「だよね。しかも、ちゃんと管理されてなかったせいで錆びちゃってるし」

(あとで綺麗にしておこ)

「それで、返しに行くのか?」

「こんなの、返すしかないでしょ。さすがに俺でも、こんな厄介なもの持っておきたくないし」

「まぁ、そうだろうな。最悪、戦争の火種になってもおかしくない代物だし……さっさと返すのが無難だな」

「はぁ……やっぱり手紙とか出した方がいいのかな?」

「この場合は、出さずに行った方がいいと思うぞ。事前に手紙なんか送ったら、お前が盗む手引きをしたって疑われかねない」

「なら、直接行くよ」

「お前の立場なら、そっち方面の依頼でも受けてやれば、すぐ行けるだろうな」

「その手があったか。探してみるよ。じゃあ、ありがとう」

「へいへい。どう考えても厄介事にはなるとは思うが……頑張れ」

ボルトはそう言いながら、苦笑いを浮かべていた

その後、マーベルドを離れたベルは、ドルナードの城へと戻ってきた

「ハデス、近いうちにカールンに行かないと行けないから、よろしく」

「カールン王国へ、ですか?」

「うん、生徒のお願いでお母さんを探してる最中にこんなの見つけたの」

例の短剣をハデスにも見せた

「これは……国王の短剣ですね。返しに行くのですね」

「そう、だから一応行くよって報告だけね、まぁさすがに聖女がここを出発してからにするけど」

「それがいいですね。それから1つご報告が」

「報告?……まさかあれだけ警告したのに、赤髪が何かやらかしたとかじゃないよね?」

「いえ、冒険者ギルドから、ベル様宛に指名依頼が届いていると頼りが届いています」

「指名依頼? 指名依頼は受けないって伝えてるはずだけど」

「はい、ですが今回は相手が相手なので断れないようでして」

「了解。時間的にもう遅いから明日行くって伝えて」

「わかりました。それと、その子は?」

「拾った」

「まぁ、そうでしょうね。どうするおつもりですか?」

「盗賊に捕まってたんだよね、だから連れてきたの。とりあえずこの子が起きたら森へ離すよ、そこでこの子を飼うかどうかが決まるかもね」

「わかりました。今日はどうしますか?」

「何があるか分からないから、一応俺の部屋で寝かせておくよ」

「わかりました」

そうして、ベルの慌ただしくも充実した一日は、静かに幕を下ろした