576話 魔道具の授業終了
576話 魔道具の授業終了
テレスがやりすぎて的を吹き飛ばすというハプニングがあった後も、生徒たちは練習を続け、的を左右に動かしたり、距離を変えたりと、さまざまな工夫をしながら残りの時間を魔剣の練習に注いだ
楽しそうな声が絶えず響く中、ベルは全員の様子を見守りながら、必要に応じてアドバイスを送っていく
そして――
「じゃあ、今日はここまで。魔剣は危ないから先生が一度回収するから、また必要な時に使おうね」
そう言って、有無を言わせずに生徒たちの持つ魔剣をすべて回収した
「まだやりたいのに!!」
「もう終わりなの!?」
「足りないよ……」
不満の声が次々と上がる中、ベルは優しく微笑んだまま、こんな提案をした
「そう? なら、みんなのお昼ご飯を代償に、授業を続けます」
「それはダメ!」
「ご飯食べたい……」
「ご飯の方が大切!」
生徒たちは即座に反応し、さっきまでのやる気をなかったことにする勢いで首を振った
「だってまだ魔剣で遊びたいんでしょ? それに、もう4時限目が終わるから、お昼ご飯を代償にしないとできないじゃん。仕方ないよね」
にっこりと優しい笑みを浮かべながら、ベルは生徒たちの抗議をやんわりと押し切った
「えぇ〜、お腹すいたよ〜」
「お昼ご飯食べたい〜」
「ご飯……ほんとに無いの?」
「……誰が、まだやりたいとか、足りないとか言ってたんだっけ?」
ベルは意地悪そうに笑いかけた
「それは……」
「えっと……」
「ごめんなさい……」
生徒たちはしゅんとしながら、口ごもったり、小さな声で謝ったりしていた
「仕方ないにゃ〜。まだちょっと早いけど、着替えとかの時間を考慮して、4時限目の授業はこれにて終了します」
「やったー!」
「やったね!」
「ご飯!」
ベルがそう言うと、生徒たちは嬉しそうに歓声を上げた
「魔剣を使った時に、たぶん魔力をたくさん使ったと思うから。ちゃんとご飯をいっぱい食べるんだよ?」
「はーい。ありがとうございました!」
「はい、お疲れ様です!」
「わかりましたー!」
ベルにそう言われ、生徒たちは元気よく返事をして、嬉々として食堂へと向かっていった
「それじゃあ……」
『授業が始まってから、変化させたものをなかったことに 反転』
パチン
指を鳴らすと、広げた空間や的、線、椅子など、授業で使ったすべてのものが元の状態へと戻っていく
(俺は……一旦、城かな)
そんなことを考えていると――
「ベルくん、この後はどうするの?」
テレスがそう聞いてきた
「俺は一旦、城へ帰ろうかなって思ってる」
「じゃあ、今日もお昼ご飯は食べないの?」
テレスはベルと一緒にお昼ご飯を食べたいようだった
(今週はまだ、一緒に食べてなかったね)
「いや、そんなに急ぎの用事じゃないよ。だから一緒に食べよっか」
「やった!」
嬉しそうにそう言って、テレスはベルの手を引っ張って食堂へと向かった
その途中、生徒たちは体操服から制服へと着替えるのだが――
当然のようにベルは、テレスに女子更衣室まで引っ張って連れていかれた……のは言うまでもない。もちろん、中には入らず、更衣室の前で待っていた
テレスたちが着替えてから、ベルとテレス、ミーファ、レミアの4人で食堂へ向かい、途中でミラくんとヘングルくんも合流。6人は楽しそうに話しながら、今日のお昼ご飯へと向かっていった
{4年生は先週、職業体験だったため今週は4時限目までしか授業がないが、お昼ご飯は食べたければ自由に食べられるようになっているよ}