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581話 犯人探し

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581話 犯人探し

ベルが聖女を治療してから、丸一日が過ぎた。

だが、聖女は未だに目を覚ます気配を見せなかった

「帝王様……聖女様は本当に目覚めるんですよね!」

青い髪の青年――護衛のアサルトが、縋るようにベルに問いかけてくる。

その表情には、焦りと不安が色濃く滲んでいた

「大丈夫だよ。体はもう完璧に治ってるし、ちょっと怖い夢を見てるだけ。ちゃんと目を覚ますから」

「……そうですか……」

安堵と戸惑いが入り混じった表情のまま、アサルトは力なく椅子に腰を下ろし、祈るように手を組んだ

「もし今日も目覚めなかったら……明日の朝、ちょっと話があるから護衛4人とも集まってね」

「お話……?」

「うん。君たちの大切な聖女をこうした犯人を捕まえるためのお話……何かあればすぐ呼んでね」

そう言い残し、ベルは静かに部屋を後にした――

だがその後、ベルのもとに聖女が目を覚ましたという報告が届くことはなく、静かに一日が過ぎていった

そして翌朝、ベルは改めて聖女の眠る部屋を訪れた

「護衛の4人……いや、代表して1人。特に、聖女の身の回りの世話をしている人がいい」

「では私が……」

護衛メンバー唯一の女性が名乗りを上げた

「じゃああなたで」

そう言って、ベルはその女性と共に部屋の外へ出た

「この後、聖女に危害を加えた犯人を捕まえるために動きたいの。だから聖女の服をなんでもいいから1枚貸して貰えないかな?」

「聖女様のお召し物をですか?」

「うん。可能ならここに来てから一度でも着たことのある服なら嬉しい」

「ありますが、どうして聖女のお召し物を?」

「確かに、先に説明だね。犯人は恐らく聖女を暗殺しようとしたんだろうね。だからそれを利用する。服を貸してほしい理由は、囮捜査をするためだよ。俺が聖女のフリをして、犯人に聖女を殺せなかったと思わせる。そこで襲ってきたところを捕えるため」

「なるほど……でも帝王様ご自身が囮になるなんて……?」

「うん。狙われるのは確実に囮だから、俺自ら囮をして捕える。だから聖女の服を1着貸してほしいの」

「……わかりました。お部屋へ向かいましょう」

女性の護衛は少し考え込み、すぐにベルを部屋へと案内した

「すぐに用意いたしますので、少々お待ちください」

「うん」

そう言い残して、ベルを部屋の前に残し、自身は中へと入っていった

その数分後――

「お待たせいたしました。こちらで……大丈夫でしょうか?」

少し緊張した様子で、持ってきた服を両手で広げて見せた

「もっと他にない? これだとお姫様にしか見えないから、もっと……街に出かける時とかに着そうなやつがいいかな」

持ってきたのは、エメラルドグリーンのとても美しいふわふわのドレスだった

「わかりました」

(せっかく一番良いものを選んだのに……お気に召さなかったのね)

ベルの要望を聞き、すぐに戻って行った

さらにその数分後――

「こちらで大丈夫でしょうか?」

「……うん、これなら大丈夫だよ。ありがとう」

今度持ってきたのは、クリーム色のワンピースと淡い水色のショートマントだった

「ご用意したのはいいのですが、サイズが合うかどうか……」

用意したワンピースとショートマントをベルへと手渡した

「そこは大丈夫だよ……」

『この2つをコピー』

ベルが右手で服を受け取ると直ぐに、左手にも全く同じものが現れた

「見た感じ……大事なものだと思うから、破れたり汚したりしたら大変でしょ? だから本物は返すね」

「え……?」

ベルはコピーしたものを残し、本物を女性の護衛へと返した。

女性の護衛は、驚いたように首を傾げてベルを見つめた

「……今のは、どうやって……?」

「ただ複製しただけだよ。その本物の服を複製して、全く同じものを作り出す魔法」

「こんな魔法があるんですね、初めて見ました」

「そう? まぁ使うの難しいと思うから、そんなのあるんだー程度に思ってくれてたらいいよ」

「わかりました。私はこちらを戻してまいります」

「うん。準備してくれてありがとう……戻せたら隣の部屋へ来てくれる? 着替えて待っておくから、聖女の髪のセットの仕方を教えて欲しいんだ」

「かしこまりました。少々お待ちください」

そうして護衛の女性は、ベルに一礼しながら服を抱えて部屋の奥へと戻っていった。

ベルは隣の部屋へと移動し、複製した服へとササッと着替え、女性の護衛が来るのを待っていた