609話 白い依頼人の末路②
609話 白い依頼人の末路②
ベルは深呼吸し、視線を遠くに向ける
「さて……これでひとまず落ち着いた。次は、城から騎士たちを呼んで、この白い依頼人とその仲間たちを確実に捕まえてもらおうか」
カナエもナギも、小さく頷きながらベルの言葉に耳を傾ける
『ハデスに念話〔ハデス、ゲートは俺が開くからさ、二十人くらい連行できるように騎士を用意しておいて〕』
〔もう白い依頼人というのは捕まえたのですか?〕
〔そう。ロープで縛って拘束してるから、連行して欲しい〕
〔分かりました。私の合図がありましたら、牢の通路へと直接ゲートをお願いします〕
〔わかった〕
ベルはそう言って一旦念話を切り、ハデスからの合図を待った
「ベルドさん、この後どうするの?」
念話中、ベルが黙っているのを見て、カナエがそう聞いてきた
「この後ね、こいつら全員を牢屋へぶち込んでやれば、あとはエイルが何とかしてくれるから、騎士に連行してもらったら終わりだよ」
「そっか……私が懲らしめてやろうと思ったのに、全然何も出来なかった」
カナエは少し悔しそうに呟いた
「仕方ないよ、支配系のスキル相手だと、そう簡単には対処できないからね」
「そうだけど……ベルドさんはどうして動けたの?」
「単純に、あの人より俺の方が強いから」
「ホントにそんな理由なの?」
カナエはベルが冗談でそう言っていると思っていたようで、少し首をかしげた
「そうだよ? まぁ、理由はいろいろあるけどね。相手が強かったら出来ないし、弱かったら出来るって覚えとけばいいよ。支配系なんて、そう簡単に使える人はいないから」
「そっか、覚えとく」
そう話していると
〔騎士の準備が出来ました、こちらへゲートをお願いします〕
〔もうできた? じゃあ繋げるね〕
『転移門』
ベルが手を前に出すと、モヤっとした薄いピンク色の煙が現れ、すべてが広がりきるとゲートの奥は牢屋へと繋がっていた
「犯罪者の回収に参りました!」
ゲートの中から鎧に身を包んだ騎士が現れ、礼儀正しく敬礼をした
「おつかれ。その辺に転がってるロープでぐるぐる巻きの人たちは全員連れてって」
「了解しました! お前ら、運べ!」
「分かりました!」
最初に入ってきた騎士がそう言うと、後に続いた騎士たちも返事をし、ロープで縛られた人たちを順に牢屋へ運んでいった
騎士たちの手際の良さもあって、あっという間に全員を運び終わり、残されたのは散らかった空間だけだった
「連行完了しました。それでは私たちは失礼します!」
「ありがとう。今の分、ボーナス出しとくね」
ベルは手短に騎士たちの働きに感謝を伝えた
「帝王様のご好意に感謝致します!」
その言葉を聞き終え、ベルは「じゃあね〜」と手を振り、静かにゲートを閉じた
「なんか……ベルドさんにかしこまってるの、変な感じ」
「お? 嫌味か?」
カナエの言葉に、ベルは半笑いで冗談を飛ばした
「違う違う! ベルドさんっていつも緩い感じだから、騎士の人たちがかしこまってるの、ちょっと変な感じだね」
「ん〜、いつもあんな感じだから気にしたことないけど、硬いよね」
ベルは冗談っぽく笑った
「それは仕方ないんでしょ? だってベルドさん、帝王様だし」
「そうなんだけどさ……まぁいいや。この後どうする?」
ベルは長くなりそうだと察知し、無理やり話題を変えた
「この後、もう目的は終わっちゃったもんね」
「目的はね、だからあとは何も考えず、好きなように観光できたりする」
「じゃあせっかくだし、まだ行ってないとこ行こ!」
「ナギくんは?」
「僕もそれでいいよ」
「じゃあ決定! そうと決まれば早くこんなとこから出よ!」
そう言ってカナエは、2人の手を引き、観光を再開した