611話 いざ、カールン王国へ!
611話 いざ、カールン王国へ!
子供たちと一緒に遊んでから、2日が経った12月9日。
今日はカールン王国へ出発する日だ
「ハデス、先に謝っておくね。マーベルド以外の国に行くのが初めてだから、もし何かやらかしちゃったらごめん」
「構いませんよ。そもそもベル様は“招かれた”立場ですから、よほどのことをしない限り大丈夫でしょう」
「一応、あとでエイルにも伝えといて。それじゃあ、行ってくるね」
「はい。ベル様なら大丈夫だとは思いますが、お気をつけて」
「うん。何かあったら教えて。すぐ転移して帰ってくるから」
「はい」
「あ、それから、呼ばれない限りは戻ってこないつもりだから、子供たちの様子を見ておいて」
「子供たちが来てから、ベル様が10日間も不在なのは初めてですからね。もちろん、任せてください」
「あとは……まぁ、よろしく」
「はい」
「それじゃあ、今度こそ行ってくるね」
「行ってらっしゃいませ」
そう言ってハデスに見送られながら、ベルはカールン王国へと出発した
歩いて城を出発し、外壁の門を抜けて少し進んだ頃――
「ねぇピクシー、もしこのまま歩いていったら、何日かかる?」
《一度も止まらず進み続けても、一月は余裕でかかりますよ》
「馬車なら?」
《馬車でも15日はかかります》
「じゃあ、早馬なら?」
《常時回復や速度バフをかけても2日。普通の早馬なら10日はかかります》
「それじゃあカールンの国王って、指名依頼を出したその日にでも出発しろって言ってたわけだ。俺じゃなきゃ断ってるよ?」
《そうなりますね。まぁ、指名依頼はギルドの通信端末を使って、どこにいるかもわからない人にも送れますから、移動手段までは考えてないんでしょうね》
「まぁ、いいけどさ。転移して楽しよ」
『転移』
そうしてベルは、カールン王国王都の一歩手前あたりまで転移し、そのまま王都へと向かった
「あれ……全然並んでないじゃん! ラッキー!」
王都に近づくにつれて見えてきた門の前には、両手で数えられるほどの人数しか並んでいなかった。
それを見たベルは、上機嫌で門へと向かっていった
「お待たせしました。身分証明書となるものはお持ちですか?」
「これで」
そう言って、冒険者カードを見せた
「一応確認させていただきます。冒険者ランクSSSの、ベルド・アスク・シルフロート様ですね?」
「そうだよ?」
「失礼しました。少々お待ちください」
「わかりました」
(何かあったのかな?)
対応していた門番は、そう言って中へと入っていった
それから間もなく、門番はある人物を連れて戻ってきた
「お待たせしました。この方がベルド様です」
「えっ、これが?」
門番が連れてきた人物がベルを見ての第一声がこれだった
「失礼な! いきなり“これ”とは何ですか!」
ベルはそれに対し軽く文句を言っていた
「……失礼。あまりに可愛らしくて、つい驚いただけです」
「それで、あなたは?」
「私は、国王陛下の名により、ベルド様をお迎えに参りました」
「そうなの? ありがと」
「国王陛下がお待ちです。早速、王城へ向かいましょう」
「はーい」
軽い返事を返し、ベルは素直に迎えの人物について行った
ついて行くと、まるで王族が乗るような豪華な馬車が用意されていた
「どうぞ、お乗りください」
「……これに?」
あまりの場違い感に、ベルは少し戸惑った
「なにかご不満が?」
「い、いえ……ただ、豪華な方と馬車、普通の人、場違い感がすごいです」
案内人、馬車、自分を順番に指さしながらそう言った
「まさか。あなたのような美しい方こそ、乗るにふさわしい馬車ですよ。遠慮なくお乗りください」
「……そうします」
渋々ベルは馬車へと乗り込んだ。
その少しあと、合図とともに馬車は動き出し、王城へと向かって進み始めた