616話 部屋で休んで、探索開始
616話 部屋で休んで、探索開始
ラルドに連れられ、用意された部屋へとやってきた
「こちらがご用意したお部屋になります」
「……これ、合ってる?」
案内された部屋の内装は、どこか可愛らしい雰囲気に包まれていて、まるで王女様の部屋のようだった
「申し訳ありません。ご用意した際、ベルド殿のことを女性だと認識しておりましたので、女性用のお部屋をご用意してしまいました。不都合があれば、すぐに別の部屋をご用意いたします」
「俺は別にいいけど……わざわざ分けてるってことは、何か理由あるんでしょ? それでも問題ないなら、このままでいいよ」
「いえ、大した理由ではありません。あくまで使いやすさの違いで、内装や設備が男性向け・女性向けに分かれている程度です」
「新しい部屋用意するのも面倒だろうし、このままでいいよ。机と椅子とベッドがあれば、それで十分だから」
「承知しました。では私はこれにて失礼します。ごゆっくりどうぞ」
ラルドは軽く礼をして、そのまま部屋を後にした
(俺はちょっと休憩かな)
そう言ってベルは部屋に入り、クリーンを全身にかけてからベッドへと飛び込んだ
《俺さ、国王とラルドに名乗ったよね?》
《名乗っていましたね。冒険者名と、帝王としての本来の名前の両方を》
《だよね。俺が帝王ってのは知ってても、性別は知らない感じなの?》
《どうでしょう。強い人、という認識はあったようですが、見た目や性別に関しては全く知らない様子でしたね》
《やっぱり。帝王ってことと、強いってのが先行して、他の情報は伝わってないか》
《そのようです。でも、それはある意味好都合ですよ》
《好都合?》
《はい。名前を明かさない限り、どこへ行ってもマスターの正体がバレる心配はありません。ですので、知る者がいない限りは自由に行動できます》
《それはいいね。気にせず動けるのは助かるよ》
《強い帝王が、まさかこんな可愛らしい姿をしているとは、誰も思いませんよ》
《不本意ながらね!》
少しだけ本心を込めて、ベルは返した
《神の力が関係しているので、仕方ありませんよ》
(まぁ、この見た目になったのは私の努力の賜物ですけどね)
ピクシーが具体的に何をしたのかは、ピクシー本人にしか分からない。
当然それを知る由もなく、ベルはただ、自分の見た目をピクシーにいじられては文句を言うばかりだった
それから少し時間が過ぎ、部屋に来てからおよそ30分が経過した
(そろそろ探索を始めようかな)
《それがよろしいかと。依頼は明日からですので、それまでに城内と庭園の全体を把握しておくのが良いでしょう》
《行きますか》
そう言って、敷地内の探索を開始した
《今日は歩いて探索するんですね》
《変?》
《いえ。ただ、いつもなら空間認識などで構造や配置を把握できるので、少し珍しいなと》
《確かにそれでもいいんだけど……暇なのよ。実質、今日から護衛開始みたいなものだから、桜の空間に籠もるわけにもいかないし。だから、暇を持て余したから歩いて探索するの。行けなかったところは空間認識で埋めるけど……》
《暇を潰すには最適ですね》
《でしょ? まぁ常時発動してる魔力探知で分かっちゃうんだけどさ、それでも見て回った方が面白いし》
《確かにそうですね。空間認識だと何があるかの把握は出来ますが、その場所の美しさなどはほとんど分かりませんからね》
《そういうこと。じゃあ、とりあえず外回りから行きますか》
ベルはそう言って、城の外へ出て、王城の敷地内を探索し始めた