622話 護衛の障壁
622話 護衛の障壁
カールン王国へ来た次の日――
朝食を食べたあと、なぜかアリアがベルの部屋へとやって来た
「どうかしましたか?」
「昨日、お父様が来たでしょ? その時に“大丈夫”って聞いてはいたけど……やっぱり心配だったから、自分でも見に来たのよ」
「見ての通り、大丈夫ですよ」
「……ほんとに大丈夫そうね。なら、いいわ」
ベルの顔をじっくりと見て、アリアは安心したようにそう言った
「心配されるほどのことはありませんから」
「目の前で毒を食べたのを見たら、誰だって心配するわよ。それと、昨日は途中で中断しちゃったから……今日あらためてお茶会を開くわ。だから、あなたを最初からちゃんと招待します」
「いいんですか?」
「もちろん。今日は他に誰か呼べたら呼ぶつもりだから、楽しみにしていて」
「分かりました」
「学園が今日はお昼までだから……15時にしましょうか。だから、それまでに準備しておいて」
「……何を?」
ベルは一瞬考えるようにしてから、不思議そうに首を傾ける
「何をって、お茶会に参加する準備よ。例えば可愛いお洋服に着替えたりとかね」
(可愛いお洋服って……)
「わかりました」
「うん。場所は昨日と同じ場所だから……それじゃ、またお茶会の時にね」
「はい」
そう言って、アリアは部屋を出ていった
部屋に残されたベルは、小さく息を吐く
「……ちょっと待って、学園? 学園行かれると護衛できないが?」
《ルーカスに相談するか、もしくは透明化してついて行きますか?》
「透明化は不法侵入で、ほぼストーカーみたいだし、とりあえずそれはなし……国王に相談だね」
そう決めたベルは、すぐにカールン王国国王・ルーカスを探し、相談しに向かった
だが、ルーカス本人を見つけるよりも先に、ラルドに出会うことになった
「急いで探していたようですが、何かありましたか?」
ラルドに事情を話すと、すぐにルーカスへと取り次いでもらえた
「何かあったか?」
ルーカスの元へ向かうと、早々にそう聞かれた
「アリアさんが学園に行っている間は護衛ができないんですが、どうすればいいですか?」
「学園か……ベルは何歳なんだ?」
「10歳です」
「っ?! ……見た目通りの若さだな。それだと、まだ学園には入れない歳だな」
ルーカスは驚いた様子でそう呟き、少し考え込んだ
「この学園は少し前まで貴族の子女しか通えなかったからな。警備体制はかなり厳重だ。中に入ってしまえば、まず心配はないはずだ。だから、登下校中だけ見守ってくれればいい」
「分かりました。アリアさんは馬車で登校しているんですか?」
「ああ。ベルをここへ連れてきた時に使った、あの馬車だ」
「あれですね。了解です……それじゃあ失礼します」
そう言ってベルはルーカスの元を離れ、アリアの馬車を追いかけた――
馬車を見つけ、バレないように上空から見守る
だがこの日は、登校時も下校時も特に何事もなく、穏やかな一日が過ぎていった
この投稿で、2025年最後の投稿になります
2025年も読んでいただき、本当にありがとうございました
今年も気まぐれに、そして楽しく書き進めることができた気がします
来年も、この調子で気まぐれに続けていけたらいいですね
去年の今頃は、クリスマス番外編が全然できていなくて、地獄を見ていました(笑)
計画も立てずに、「25日に投稿したいな」と思いながら、23日に思いつきで書き始める
……今思えば、完全に自業自得ですね
それがもう1年前のことだと思うと、本当にあっという間です
改めて、今年もありがとうございました
また来年もよろしくお願いします
それでは、また1月1日に会いましょう