637話 囲まれてお昼ご飯②
637話 囲まれてお昼ご飯②
お昼ご飯を食べようとすると、テーブルを囲むように、6人の人影が集まってきた。
それぞれが皿を手に持ち、自然にアリアのいる机へと腰掛ける
「見慣れねぇ顔が1人いんな、誰だ?」
先に声をかけてきたのは、赤い髪の高身長のイケメンだった、どこかで見たような――でも名前までは思い出せない。
そんな気持ちのまま、ベルは軽く会釈を返しながら、脳内を探っていた
「いつもながら思うけど、なんでそんなにまとまってきてるの?」
「どうせ集まんだから、まとめて注文して、料理を受け取ってここに来れば効率的だしな」
「確かにそうね……私たちも明日から混ざる?」
「いや来んでいい」
赤髪の彼はキッパリと断っていた
「なに、私だけ仲間はずれ?」
「いつも見てるから知ってるが、お前来ると、人混みが割れる割れる。俺らは一般枠だから、そういうの遠慮しとくわ」
「確かにそうね、みんな頼んでもないのに開けてくれるわ」
「王族の特権に俺らもあやかるわけには行かんからな」
「そう……」
「じゃあ私は?」
アリアは少し諦めたようにそう言い、代わるようにアマリアがそう聞いていた
「おめぇも王族だろ? お前はアリア側だな」
そう、赤髪の彼はキッパリと宣言していた
「それはいいけど、その子誰なの?」
同じ赤髪の女性が興味深げに尋ねてくる
「あぁ、この子はベル。訳あって、半分強制的な私の付き添い?」
「なにそれ、よく分かんない」
「大変だったのよ? 私もベルとは一昨日知り合ったばっかなんだけど――初日から平然と毒を食べるし、昨日お茶会に誘ったでしょ? そのときもいろいろ……だからもう、馬鹿なことさせないように私が監視してあげてるの」
「……ひどい言い草ですね」
ベルが小声でぼそっとつぶやいた
「どこが酷いよ。昨日なんて、“お花摘みに〜”とか言ってごまかしてたくせに、あとで聞いたらあなたに矢を放った犯人、その場で取り押さえてたんでしょ?」
「そんなことありましたっけ……」
「はぁ……ね? 問題児でしょ?」
アリアは呆れたように肩をすくめ、ベルの説明を続けていた
「そんなことがあったんだ……」
赤い髪の女性がベルをじっと見つめながら口を開いた
「思ったんだけどさ、君……どこかで会ったことある?」
「やめときな。この子のこと、あんまり詮索すると……最悪、消されるから」
アマリアがさらりと、とんでもないことを言い放つ
「……確かにラインは黒だけど、そこまでヤバい子なの?」
「こっち側に座ってる全員が、将来この子と関わるって思うと……正直、ゾッとするわ」
「なにそれ……」
「今は聞かないで。私はもう嫌」
「私もまだ全部理解してないけど、多分ね、この子に関することを話さなければ大丈夫だと思うよ? ほら、アマリアが今ここにいるのが何よりの証拠でしょ」
「じゃあこっち側に座ってる全員、この子のこと知ってるんだ」
「そうなるんじゃない? ベルとアマリアだけが、詳しい内容を把握してるんだと思うけど」
「……とりあえず、何かに気づいても話しちゃダメってことね。覚えとく」
「それがいい。私たちは安全圏から静かに眺めてるのが一番よ、ね〜?」
「そうね」
「それが一番いい」
アリア側に座っていたミルディとニャルナが、示し合わせたようにそう返した
「食べながらでいいから簡単に自己紹介しましょ、さっきからベルが誰だっけって顔で見てるからさ」
アマリアにそう言われてしまい、ベルは思わず視線を逸らした
「そんなことはないですよ」
「どこがよ、1人ずつ顔を見て首傾げてたくせに。会ったことあるんだからみんなの名前わかるでしょ?」
そう言いながら、アマリアはでかい赤髪の男を指さした
「ほら、このでかいヤツの名前思い出したなら言ってみて」
「えっと……」
ベルは言葉を詰まらせてしまった
「ほらね。じゃあ1番年上から自己紹介していって!」
「その前に、食べながらやるなら挨拶ね」
「あ、そっか。じゃあ手を合わせて」
その声を合図に、ベル以外の全員が自然と手を合わせた。
想定外の流れに、ベルは少し遅れて手を合わせる
「いただきます」
アマリアが自己紹介の流れを作ったが、それをアリアが一旦断ち切り、全員で“いただきます”の挨拶を済ませた