694話 残された戦力
694話 残された戦力
アマリアはミンちゃんとケンちゃんのもとへ向かい、移動しながら何があったのかを軽く説明した
そして3人でアリアのもとへと戻った
それからしばらくの間、アリアの呼吸と様子を見守りながら、動けるくらいまで回復するのを静かに待っていた
やがてアリアは地面に手をつき、ゆっくりと体を起こす
「よい……しょ」
「もう大丈夫なの? まだまだ休んでてもいいよ、相手も近くにいないし」
「大丈夫……まだちょっとぼーっとするし、頭痛くて視界もぼやけてるけど、動ける」
「ほんとに?」
「ほんとだって……もう立ち上がれるから」
そう言って、アリアはゆっくりと立ち上がる
「おっと……あぁ」
しかし、体が言うことを聞かず、ふらついて転びそうになり、とっさに近くの木へと手をついた
「ほら、大丈夫」
「どこが?」
アマリアは少し呆れたように、苦笑いを浮かべる
「大丈夫だって……」
アリアの足取りを見て、アマリアは小さく息をついた
「……ねぇ、まだ全然ふらついてる。もう少し休んでよ?」
「だめ……ベルを探さないと」
「今じゃなくても」
「今じゃないと、嫌……」
そう言って一歩踏み出そうとしたアリアは、また体を揺らす
前に進もうとする意思だけが先に立ち、足が追いついていない
アマリアは一瞬だけ迷うように視線を落とし、それから諦めたように肩をすくめた
「はぁ……ほんと、頑固なんだから」
そう言いながら、アリアの前にしゃがみ込む
「ほら、おぶるから。掴まって」
「で、でも……」
「今のまま歩かせる方が危ない」
アリアは少し躊躇いながらも、そっとアマリアの背に腕を回す
アマリアはその軽さに一瞬だけ表情を曇らせ、ゆっくりと立ち上がった
「無理しないで。無理だと思ったら、すぐ言って。すぐ休ませるから」
「……ありがとう」
その短いやり取りのあと、アマリアは小さく息を整えた
どうやら、このまま進む以外に選択肢はなさそうだった
「こんな状態だと、アリアはまともに指示出せないでしょ。だから、ここからは私が代わるわ」
そう言って、ミンちゃんとケンちゃんを見る
「ミンちゃんは今まで通り索敵。ケンちゃんは防御、お願い」
「わかった」
「任せて!」
「それから、ここからは敵を見つけても回避優先で行くわ」
「アリアが戦えないから、そうなるよね」
「うん。それが一番いいと思う」
一拍置いてから、アマリアは苦笑いを浮かべた
「それもあるけど……さっきアリアを閉じ込めてた土壁、あれを壊すのにほとんど魔力持っていかれちゃってさ。正直、まともな魔法を使える気がしないのよね」
「大丈夫?」
「そんなに使ったの?」
「うん。大丈夫は大丈夫よ。ただ、強めの魔法が使えないくらいだから」
そう言って、アマリアは安心させるように軽く笑った
「使った魔力は……だいたい9割くらいね。相手がシモンだったから、その程度で済んで良かったわ」
一瞬だけ視線を伏せてから、続ける
「最悪、私とアリアが一緒に退場しててもおかしくなかったわ」
そう言ってから、アマリアはミンちゃんの方を見て、はっきりと言った
「だから、シモンを落としてくれて本当に助かった。ありがとう」
「ううん……アマリアが隙を作ってくれたから当てられただけで、動いてたら当てられなかったよ」
「私は何もしてないわ……多分だけど、あれはわざと隙を見せてた」
一瞬だけ間を置いて、静かに続ける
「あのシモンが、敵を前にして本当に隙を見せるとは思えないもの」
「え……じゃあ、あのままやられてなかったら、私が危なかった?」
「そうなるね」
短く、迷いのない答えだった
「どうなのかは後で聞けばいいし、とりあえず進もう」
一瞬の間を置いて、返事が重なる
「うん」
「そうだね」
そうして、アマリアが先頭に立ち、ベルとミアラを探すため、一行は再び森の奥へと進んでいった