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魔術の可能性 中篇

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魔術の可能性 中篇

「魔術を……刻む?」

「ルーンという技術がある。魔力で特定の文字を描くことで、事象を引き起こす手段だ」

「俺の世界にもルーンがあるんだが……同じなのか?」

魔術について細かく訊ねていると、俺でもできる魔術の可能性として提示されたもの。

それがルーン……だがこれ、たしか北欧神話とかで出てくる文字のはずだよな?

「一度やってみせるから、それで判別してくれ──『 火 カノ 』」

指先で宙に描かれた『く』のような文字。

魔力が籠められたその字は、一瞬ボッと火の玉になったのち、そのまま消滅する。

「……文字自体はこっちの世界と同じみたいだな。『騎士王』、この技術の発祥とかそういうのは分かっているのか?」

「かつての星渡りの民が持ち込んだ技術とされている。それを『マーリン』が学び、かつての『騎士王』にもたらしたのだ」

「星渡りの民、ねぇ……」

運営かαかβのプレイヤー、はたまた本当に異なるどこかのルーン技術を持つ世界の出身者なのか……。

いずれにせよ、過去の話なので今は考えないでおく。

「『生者』は魔力を籠めることは可能なのだろう? 要はスクロールと同じように使うだけなのであれば、『生者』だろうと魔術を行使できるということだ」

「理論上はそうだが……そもそもそれ、俺に刻むことができるのか? 使い捨てだろ」

「『生者』、お前の持つ才能とはなんだ?」

「……死なないことと物を作ること」

つまりはそういうことなんだろう。

我が意を得たり、そう言わんばかりの表情で頷く『騎士王』は告げる──

「無いならば作ればいい。そこに刻んだ文字が半永久に使える魔道具を。相応の礼さえしてくれるのであれば、私が文字を刻んでやろう……さあ、どうする?」

俺の答えは、すぐに決まった。

◆   □   ◆   □   ◆

「『SEBAS』……できるか?」

ルーンの技術を『騎士王』が逃げ出すまで訊きだしたので、改めて確認する。

基本の文字数はまったく同じ、そのすべての開示をさせたのでそれなりに時間は掛かったが……その分の知識を得られた。

《ルーンの刻印を刻むこと自体は、やはり旦那様ではできません。魔道具に使われる回路と異なり、こちらはその文字そのものが術式として完成しているからです》

「『SEBAS』たちが代わりに刻むってのも無理なのか?」

《はい。私やカエンは魔力を扱うことはできても、それを精製できません。精製されていない魔力では、使うことはできても生みだすことができないのです》

「つまり、ルーンはやっぱり他のヤツに頼まなければならないってことか……仕方が無いな、言われた通りにやってみるか」

必要なレシピも、素材も分かった。

いろいろとツッコみたかったが、それを言うべき相手はここには居ない──極致とやらに届くかどうかやってみよう。