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パフェ実食

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パフェ実食

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パフェを完成させた俺は、即座にエルナ母さんエリノラ姉さんへと報告。すると、ダイニングルームで試食会を開くことになった。

「パフェっていうの楽しみね」

「ええ、一体どんなものなのかしら? ミーナによると夢が詰まってるって聞いたけど」

「じゃあ、クッキーいっぱいかもね」

エルナ母さんとエリノラ姉さんは既に席についており、残るはノルド父さんとシルヴィオ兄さんのみ。

二人はメルが呼びに行ってくれてるとのことなので、後は二人を待つだけだ。

俺は大人しく席に座りながら、楽しそうにする二人の会話を聞き流す。

ミーナの言葉によってハードルが上がっているみたいだが、大丈夫だろうか? 食べてみたらあんまり美味しくないとか怒られないといいけど。

俺がそんなことを思っているとメルが扉を押し開いて、ノルド父さんとシルヴィオ兄さんが入ってきた。

シルヴィオ兄さんが隣の椅子に座り、ノルド父さんがいつもの家長椅子に座る。

「お待たせ」

「あなた、仕事は大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ。ちょうど区切りのつくところまで終わったから」

「いつも言ってるけど、あまり無理しないようにね?」

「心配してくれてありがとう。もうひと踏ん張りすればゆっくりとできるから」

「その時を楽しみにしてるわ」

何だかパフェを食べてもいないのに甘い物を食べたような気になった。

それはエリノラ姉さんもシルヴィオ兄さんも同じだったようで微妙そうな顔をしている。

「さて、今日はパフェだったね? それはどんなお菓子なんだい?」

「グラスの中にたくさんのお菓子や果物って感じかな? とにかく見てもらった方が早いや。メル、パフェを持ってきてくれる?」

「かしこまりました。ほら、ミーナとサーラ、入ってきな」

俺が頼むまでもなく呼んでいたのか、メルが扉を開けるとそこにはトレーの上にパフェを載せたミーナとサーラがいた。

サーラは余裕の表情で運んでいるけど、ミーナはパフェを変に意識して緊張気味だ。

見ているこっちが不安になる。

「ミーナ、大丈夫?」

「す、すいません、これほどのお菓子が詰まったものとなると緊張してしまって」

「もしもの時は、俺がサイキックでパフェだけは死守するから大丈夫だよ」

「ええ!? それは安心できますけど、私よりもパフェの方が大事みたいで複雑です」

そんな風に俺が声をかけると、緊張が解れたのかミーナは問題なくパフェをテーブルまで運んでこれた。

「あら、凄いわね。今までのお菓子よりも華やかさが段違い。とても綺麗だわ」

「……これはまた随分と大きいね」

目の前に並べられたパフェを見て、エルナ母さんが嬉しそうに、ノルド父さんがそのボリュームに顔を引きつらせる。

今までのものに比べるとサイズもインパクトも違うからね。

「中に入ってるのは何かしら? パンとホワイトチーズ?」

「チーズっぽい匂いはしないよ? 触ってみると冷たいからかき氷の仲間じゃないかな?」

グラスの断面を観察しながら議論するエリノラ姉さんとシルヴィオ兄さん。

どっちも微妙に外れだ。

「上にはたくさんのイチゴと見たことのない白くてフワッとしたもの。さらにはクッキーやジャムもついていて……これは期待できるわね」

「エルナ母さんがイチゴのやつで、エリノラ姉さんがブドウの、ノルド父さんとシルヴィオ兄さんがオレンジで好みに合わせているから」

「わかったわ」

あくまで大きい奴などと言わず、好みで割り振ったと言うのがポイント。

エリノラ姉さんは気にしないだろうが、エルナ母さんはそこら辺がうるさいからな。

エルナ母さんとエリノラ姉さんが大きな容器のパフェを取り、ノルド父さんとシルヴィオ兄さんがホッとした様子で小さめのパフェを取る。

二人はそこまで胃が大きくないから、これを食べたら間違いなく晩御飯が食べられなくなるからな。

俺もパフェはどちらかというと好きな方だけど、通常のサイズで十分だ。

俺は自分好みにカスタマイズされたイチゴやオレンジの混ざったパフェを取る。

俺達がちょうどパフェを取ると、サーラとミーナがちょうどスプーンを配り終える。

ただ、スプーンの長さはパフェを食べるには少し心許ない長さだ。女性陣が気に入ることになれば、すぐにローガンの下に長いスプーンの発注がいくだろうな。

「それじゃあ、アル。頂くよ」

「どうぞー」

ノルド父さんの言葉に俺が返事をすると、皆がパフェの攻略にとりかかる。

「すごいわね。このプリンっていうのすごくプルプルしているわ」

スプーンでプリンを突きながら神妙な顔をするエルナ母さん。

「本当だね。スプーンで突くと弾き返してくる」

「冷やしたスライムみたいだね」

シルヴィオ兄さんの例えがかなり微笑ましい。

そんな中でエリノラ姉さんは観察することよりも、食べることを優先したのか見事にプリンをすくって口の中へ。

「んっ!?」

エリノラ姉さんは口の中にスプーンを咥えたまま目を見開いて静止。それからゆっくりと視線を落として積み上がっているプリンを捉える。

「何これ! すごくプルプルで甘いわ!」

「こら、エリノラスプーンを口から抜いてから喋りなさい。行儀が悪いわ」

まったく以ってエルナ母さんの言う通りだ。

しかし、エリノラ姉さんはプリンを食べ進めることに夢中で、もはや聞いていない。

「そ、そんなに美味しいのかしら?」

エリノラ姉さんの興奮っぷりに我慢できなくなったのか、エルナ母さんもスプーンでプリンをすくって口の中へ。

瞑目しながら味を確かるエルナ母さんだが、すぐにその瞳は驚愕の色を加えて開かれる。

「まあ! なんて口当たりのいい甘さかしら! 舌の上で溶けて、スルリと喉に通るわ!」

よかった。プリンの味はエリノラ姉さんもエルナ母さんも気に入ってくれたようだ。

「牛乳と卵の味がよく出ているね」

「自然な甘さって感じがするよ」

プリンの味は甘党ではないノルド父さんやシルヴィオ兄さんにも大丈夫だったようで、好意的な意見だ。二人ならカラメルソースを抜きにして食べてもらってもいいかもしれない。

皆の反応を見たところで、改めて俺もプリンを食べる。

卵と牛乳のまろやかな甘みが口の中に広がり、舌の上で見事に溶ける。そしてそれは喉の奥を自然と通っていき、実に口当たりがよかった。

うん、牛乳と卵の甘みがしっかり出ているな。このままでも十分に美味しいが、しっとりとしたカラメルソースがまろやかな甘みを引き締めて、プリンのさらなる味わいを見せてくれる。

うん、いい甘さだ。

「何これ冷たい!」

俺がプリンの味を噛みしめていると、エリノラ姉さんがミルクジェラートを掘り当てたようだ。

「ああ、アイスクリームなるミルクジェラートだね」

「どっちなのよ?」

「ミルクジェラートです」

アイスクリームを作るにはバニラがなかったから、ミルクジェラートになったんだけどもう面倒だから説明しなくていいや。

「かき氷と違って食感も味もあるわね。あたしこっちの方が好きかも」

「中に入ってるこれはマフィンかしら? ミルクジェラートと相性が抜群ね」

「サクサクのクッキーも入ってるよ!」

エリノラ姉さん、エルナ母さん、シルヴィオ兄さんが中に入ってる具材を見つける度に喜びの声を上げる。こうやって食べるのにも楽しみがあるのもパフェのいいところだな。

俺もプリンだけでなくミルクジェラートとの相性を楽しみとしよう。

俺はスプーンでミルクジェラートを食べる。

牛乳と砂糖のまろやかな甘味が口の中に広がり、噛むと少しシャリッとする。やがて口の中の体温であっという間に溶けていく。

うーん、この程よい甘みが堪らない。バニラアイスもいいが、しっかりとした味の牛乳を使えば、より自然的な甘みを感じるアイスを作ることができる。

別にバニラなどなくても、これはこれで完成した一品だな。

ミルクジェラートを食べ進めると、今度は砕かれたクッキーが出てくる。それらと一緒に食べると口の中はサクサクだ。クッキーとミルクジェラートの味が見事に調和している。

夢中でそれを食べると今度はマフィン。甘さを控えめにして作られたふわふわの生地が、ミルクジェラートの甘みと水分を吸っており、噛み締めると牛乳とバターの味が同時に吐き出されてこれまた美味しい。

サクサクのクッキーとミルクジェラート。ふわふわのマフィンにミルクジェラート。サクサクとふわふわが何層にも繰り返されていて食べることが全く飽きない。

途中ではオレンジの酸味が良いアクセントになっており、箸休めにもなる。

このいつまでも飽きない食感と味がパフェの真価だと言ってもいいだろう。

「たくさん具材が入っているけど、それぞれが調和しているから飽きないね」

「量が多いと思ったけど、意外と食べ進められるよ」

気が付けばノルド父さんとシルヴィオ兄さんの容器は見事に空に。俺のパフェもほとんど底をついていた。

最後の方はもう夢中になって無心で食べていた気がする。

さて、エルナ母さんとエリノラ姉さんはどうだろうか? 思わず視線を向けると、そこではパフェの下の方にあるものを食べようと格闘している二人がいた。

「くっ、下にあるのが取れない!」

「はしたないけど少し容器を傾ければ……これでも届かないじゃない」

苦肉の策で容器を傾けるが、それでも下の方にあるミルクジェラートとクッキーは食べることができな

い。

少し調子に乗って大きい容器にしすぎたな。

「ねえ、サーラ。もうちょっと長いスプーンないの?」

「申し訳ありません。それが最も長いスプーンで、これ以上のものは……」

「くっ、今度ローガンに長いスプーンを作ってもらいましょう」

あくまでも容器を小さくするという方面には考えないようだ。

それにしてもパフェの容器は結構大きかったんだけどな。それをペロリと平らげてしまうとは女性の胃袋は計り知れないものだ。

そして後日。バルトロはひたすら、クッキー、マフィン、ミルクジェラート、プリンを作り続ける羽目になったとか。