LNCrawler

第184話 質問と相談

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第184話 質問と相談

「火をつけてねぇから茶はねぇぞ。何かあったか?」

だいぶ気温が上がってきたので部屋の暖炉は使わず、茶を入れたり何かする場合は下の共有スペースの暖炉か竃を使うのだろう。レッツェの暖炉は綺麗に掃除されていた。

「ちょっと聞きたいんだけど、リードって変だったか?」

俺も掃除しないとな、と思いながら聞きたいことを聞く。

「ああ……、昨日はディノッソのところか。変っちゃ変だが、クリスからユニコーンの精霊の影響だとも聞いている。俺は見えねぇから本当かよってかんじだったが、リードはそれ以外はまともだったからな」

いや、馬に対しても変でしたよ?

精霊の姿は精霊の性質に影響を与える。――逆かな精霊の性質が姿に影響を与えるのかな? よくわからんけども、薔薇の精霊は薔薇のドレスを着ていたりするのは普通として、光とか闇とか、風――物質界に姿のない精霊は自分の興味を持ったものの姿を写す。

興味を持ったものを写すから影響を受けるのか、興味をもった時点でもう影響をうけてるのかは謎だ。人間の前に出てくる精霊が人の姿を取ることが多いのもそのせい。特に花の精霊は花を愛でる人間の姿をとってることが多い、と言われている。

んで、ユニコーンの精霊はきちんとユニコーンの姿をしてれば性質がそっちに引っ張られるのもわかるんだけど、 馬頭 ( めず ) だからなぁ。あと、ユニコーンの姿してたら人よりユニコーンか馬の側にいる。

ディノッソの 火の精霊 ( どらごん ) みたいなのもいるし、絶対ないとは言えないけど。――リシュ? リシュはうちの番犬です。

混ざった姿をしているのは、悪意はないけど人間にちょっかいを出してイタズラすることが多いって図書館の本で読んだ。馬と人の混じったあれはどうなんだろ?

俺が見た時は愉快な外見ではあったけど、そう悪いものには見えず、リードが馬に謎の信頼を置いてたのは、精霊の影響かもしれないけど嫌な感じではなかった。

「ティナと対応してる時のリードは、俺と会う直前のディーンと比べてどうだ?」

俺は一度しか会ったことがなく、その時はティナの話題は全く出なかった。

「……妹に対してと同じような感じだな、多分だが。俺も影響を受けてたんで、はっきり言えねぇ」

レッツェが嫌そうに顔をしかめる。

「……」

「……」

なんとなく黙り込む。

「くっそ。気分悪ぃな」

乱暴に頭をがしがしとかいて、吐き捨てるレッツェ。

ディーンに聞くのは蒸し返すようでためらって、付き合いの長そうなレッツェにしたんだけど。そうか、ディーンの友達で冒険者だったら妹に会ってるよな。

「俺、リードを避けてたから現場を見たことないからな。とりあえず戻ってくるのを待つか」

「あんま一人で無茶すんなよ。ティナの親は二人とも金ランクだし、クリスは銀ランクだ」

「はい」

そう言えばそうだ。

戻ってくるのを待つ間に相談しよう、伝えて丸投げでもいいのか? どうやって話そうかな。

「下で飲もうぜ。俺だけ食ってたら恨まれるし、確かディーンもいい酒買ってたはずだ」

俺が持ってきた籠を持ち上げるレッツェ。

「いいけど、下はなんか水浴び中だったぞ。あとこの部屋でエロ本の捜索とかしたい」

友達の家でやる作法だと漫画で読んだ。

「せんでいい」

素っ裸で鍵を掛けてねぇのはディーンだな、と呟き、レッツェが枕元から冊子を引っ張り出す。

「エロ本?」

「違う。お前こういうの、興味ありそうだから」

パラパラと中身を見させてもらったら、虫除けの草の種類とか、逆に特定の虫を寄せる植物の種類だとか、その調合法や扱い方の注意が書いてある。

「虫除けはわかるけど、何で寄せるんだ?」

「それを餌にする魔物を釣り出すためってのが多いな。逆にその虫を散らしとけば魔物も出てこなかったり。虫除けも虫刺され防止だけじゃねぇの!」

「へぇ」

考えていることが顔に出てるのだろうか、俺は。森に行く時に塗る虫除けクリーム用の調べ物しかしてなかった。

俺は【探索】で見つけてしまうけど、擬態して隠れている魔物は多く、特に小さな魔物にその傾向がある。そんな中に薬の材料になるやつとかが混じってて、時々薬師ギルドから冒険者ギルドに収集の依頼があるらしい。

エロ本の存在をごまかされた気がするが、確かに興味はある。ただ、転移直後の蚊やブヨ、ヒルとかとの被害のせいで、狩りのためでも集めようとは思わないけど。

「またどっか狩りについてっていいか? あと雨降った時でいいから家具の組み立てを手伝って欲しい」

「知ってるだろうが、俺の狩りは地味だぞ。手伝うのはいいけど、この季節雨は降らないだろ」

ああ、そういえばこっちは日本と違って梅雨がない。カヌムは俺の家やナルアディードよりは降るけど、これから冬まで雨は少ない。

家より森は涼しいし、狩りに積極的に行く気がする。お手伝い計画が頓挫しそう。

「今年は遠征の予定もねぇし、夏の依頼は少ねぇから三日にいっぺんくらいなら普通に手伝うぞ。酒と酒の肴で」

なんかまた顔色を読まれたきがするけど、労働力ゲット!