LNCrawler

第578話 本棚

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第578話 本棚

ナルアディードの港で半眼で見てくる猫船長とソレイユたちと別れ、煮詰まってるのか行き詰まってるのかわからない、ぶつぶつ言うハウロンをレッツェたちに任せて家に帰って来た。

とたとたと駆け寄ってきたリシュをわしわしとなで、しばし遊ぶ。ひっぱりっこと取ってこいと、リシュを転がす遊び。立ち上がったところでごろん、あっちにごろん、こっちにごろん。距離を取って、短く走ってきたところをごろん。

ごろんとリシュがジャレついてくるのはセット。俺の手の手前で、笑顔のままかぷかぷと空気を噛む仕草。かぷかぷされたらリシュをごろんとひっくり返す。

満足したところで切り上げて、夕食準備。そろそろまた粉挽きしなくちゃ。

本日はトマトの冷製出汁漬け、オクラつき。鳥もも肉の黒胡椒焼き、筍の混ぜご飯。お漬物と、赤だしなめこ汁。

トマトは、出汁に浸かって青臭さが消えている。ひんやり美味しい。鶏ももは皮が香ばしく、肉は汁気があって柔らかすぎずいい感じにできた。

出汁の文化も広めたくって、味覚についてはまっさらに近いチェンジリングに刷り込もうと頑張ってる。ただ、過去に味がしたものに執着してるところがあって、やつら偏食だ。

いや、味がするものは満遍なくなんでも食べるんだけど。たとえば、キールは甘いものに執着してる。あれみたいに個々に特別な食べ物があるっぽい。

島で初めて味がした……! というチェンジリングもいる。キュウリらぶなチェンジリングとかどうしたらいいのか。季節ものは困るから、通年食えるものを最初に食わせるべきだよね。

さて、明日は何をしようか。地の民との宴会まで予定はない。宴会の前に、島に依頼した酒を取りに行くくらいかな。

粉挽きと、しばらくしてなかった家の手入れをしよう。家自体はいたんでないんで、整理整頓的な意味で。

そう、まず目を背けていた メモ帳 ( ノート ) を綴って本にしたのが置いてある本棚。あからさまに本が溢れかかっている。具体的には並べられた本の上に横置きになってるのがある。

もう諦めて専用の部屋を作って本棚を並べるか。増えるのは確定だし。

そういうわけで、おはようございます。今日は絶好の粉挽き日和です。風がほとんどないから、ぼふっといかない日です。風はないけど涼しいし。

小麦をセットして、とりあえず粉挽きは大丈夫。興味津々な精霊に、紐を引いて、石臼に定期的にパラパラ小麦を落としてもらう。

で、棚の移動。移動場所はどうしよう、俺的には家の中で執事がいる部屋に置きたいんだけど。神々とああだこうだやった結果、この家はマナーハウスみたいになってるから、執事用の部屋があるんだよね。狭いけど。

どう考えても本棚をたくさん置いたら、いるところがなくなるどころか、すぐに本棚でみちみちになる。広い空いてる部屋に移すのが妥当だな。

広い西日が入らない部屋に決めて移動。【収納】は模様替えに便利だ。で、肝心の新しい本棚はどうしよう、他に空いてる同じ棚があるからそれ持ってって、同じものをたくさん作ってもらうのがいいかな。

……すでに溢れかけてるのに、地の民に頼んだら本棚ができるまで時間がかかる気がする。かといって、本棚を持ってって驚かれない職人の心当たりがない。島の職人さんはまだ大忙しで、島以外で使う本棚を頼むのも気が引けるし。

土偶ちゃんにもらった木材はまだたくさんある、久しぶりに自分でつくるか。

よし! まずは部屋のサイズを測って、部屋にピッタリ並べよう。あれだ、窓の周囲も全部本棚! っていう部屋にしよう。棚と棚の間の高さは全部揃いでいいし――

簡単な図面を書き、納屋に移動して『斬全剣』でせっせと材木を切り出す。この木、雑に扱うというか、俺が何かしたのがバレると、地の民とソレイユが地面を叩いて泣きそうだけど。

一応、【生産の才能】持ちなんですよ。

誰にともなく心のなかで主張しつつ、作業を続ける。上と下につける、飾り板だけ地の民に作ってもらおうかな。それならいつ出来上がってきてもいいし。

リシュが納屋のはじっこでエクス棒をあぐあぐとかじっている。作業中、視界に入るとものすごく癒される。うちの子かわいい。

本棚を作りつつ、粉挽きをする。

そういえば、扉とか棚とか一人で支えられずにレッツェに手伝ってもらったっけ。今は精霊に手伝ってもらってるけど。

うっかりしてたけど、これも叱られるやつだな?